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エチオピアのサトイモ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、エチオピアのサトイモ生産量は1993年の739,393トンから2022年には1,690,619トンに増加しました。この間、特に2020年には2,327,972トンという急増が見られ、その後は比較的安定した生産量を記録しています。しかし、過去には2000年から2002年の下落期もあり、全体的には長期的な上昇トレンドの中で変動が目立つ結果となっています。2022年の生産量は、過去30年間にわたりエチオピアが農業生産性の向上を図ってきた成果の一端を示しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 1,889,591
11.77% ↑
2022年 1,690,619
18.48% ↑
2021年 1,426,900
-38.71% ↓
2020年 2,327,972
60.24% ↑
2019年 1,452,764
-8.54% ↓
2018年 1,588,494
5.3% ↑
2017年 1,508,609
22.33% ↑
2016年 1,233,247
-2.59% ↓
2015年 1,266,050
-13.07% ↓
2014年 1,456,365
18.24% ↑
2013年 1,231,719
36.86% ↑
2012年 900,000 -
2011年 900,000
5.88% ↑
2010年 850,000
6.25% ↑
2009年 800,000
0.21% ↑
2008年 798,296
2.58% ↑
2007年 778,180
2.04% ↑
2006年 762,632
1.58% ↑
2005年 750,757
1.23% ↑
2004年 741,661
0.98% ↑
2003年 734,451
0.85% ↑
2002年 728,234
-8.69% ↓
2001年 797,582
-0.1% ↓
2000年 798,359
-15.08% ↓
1999年 940,140
2.37% ↑
1998年 918,344
2.83% ↑
1997年 893,075
3.43% ↑
1996年 863,438
4.21% ↑
1995年 828,541
5.21% ↑
1994年 787,491
6.51% ↑
1993年 739,393 -

エチオピアのサトイモ生産量は過去30年間で著しい変化を遂げ、特定の時期には大きな上昇が見られます。1993年から1999年まではほぼ連続的に増加し、農業技術や土地利用の改善、農家の努力が結実した時期と考えられます。しかし2000年から2002年にかけての生産量減少は農業環境の不安定さを映し出しており、この時期の要因として、干ばつや洪水といった気候変動の影響、または農業支援政策の停滞が推察されます。

2013年以降では、生産量は急激に増加し、特に2014年(1,456,365トン)と2020年(2,327,972トン)という最大のピークが確認できます。2020年に見られる極端な増加要因として、新しい農業技術の導入やこれに関連した農業支援プログラムの有効性が考えられます。しかし、新型コロナウイルスのパンデミックが世界的な物流の不安定さや生産性の変動に影響を及ぼしたことも想定され、エチオピア国内市場の需要と供給の変化が反映されている可能性もあります。その後の2021年には、生産量は一旦減少(1,426,900トン)していますが、2022年には1,690,619トンと回復しました。このことで、波のある成長ではあるものの、サトイモ生産業は長期的には強まっていることが示されています。

エチオピアは地政学的にもアフリカの角と呼ばれる地域に位置し、気候変動の影響を特に受けやすい国の一つです。異常気象や洪水、また隣接する地域の紛争による農業基盤への影響を考慮する必要があります。2020年には紛争や気候変動に加え、物流や供給ラインの不安定さが相互に作用し生産量に大きく影響を及ぼした可能性が高いです。また、食糧安全保障の観点からもサトイモはエチオピア人々の食生活に重要な役割を果たしており、持続可能な生産計画が求められます。

今後、エチオピアがサトイモの生産量を安定させ、さらに増加させていくためには、気候変動への対応が最優先課題となります。例えば、乾燥耐性のある新品種のサトイモの開発や、適切な灌漑設備の整備が重要です。また、大規模農家だけでなく小規模農家への技術支援や経済的支援が必要不可欠です。さらには、国内市場における効率的な物流ネットワークの整備や、隣接国との農業協力プロジェクトが、地域内外での安定した供給に寄与するでしょう。

また、エチオピア政府および国際機関が協力して、食糧生産の長期的な計画を策定し、外的要因の変動にも耐えられる持続可能な農業システムを構築することが急務です。適切な政策や資源の導入が実現すれば、エチオピアはサトイモをはじめとする農産物の主要生産地域として、持続可能な発展を遂げる潜在力を大いに秘めています。