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ニジェールのサツマイモ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新のデータによると、ニジェールのサツマイモ生産量は1961年の27,384トンから2022年の233,697トンまで増加の傾向を見せています。特に2006年以降、生産量の成長速度が顕著に上昇し、2020年から2022年にかけては200,000トンを超える高い水準を維持しています。一時期、減少した期間も見られましたが、近年は安定した増加傾向が続いています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 211,498
-9.5% ↓
2022年 233,697
3.05% ↑
2021年 226,779
8.06% ↑
2020年 209,864
21.19% ↑
2019年 173,171
33.25% ↑
2018年 129,959
8.77% ↑
2017年 119,484
9.69% ↑
2016年 108,924
-4.5% ↓
2015年 114,059
40.31% ↑
2014年 81,291
-16.87% ↓
2013年 97,784
25.33% ↑
2012年 78,021
31.61% ↑
2011年 59,284
35.15% ↑
2010年 43,864
-10.01% ↓
2009年 48,742
-15.78% ↓
2008年 57,877
-52.98% ↓
2007年 123,100
34.24% ↑
2006年 91,700
83.77% ↑
2005年 49,900
11.14% ↑
2004年 44,900
-25.32% ↓
2003年 60,120
34.26% ↑
2002年 44,780
49.97% ↑
2001年 29,860
1.56% ↑
2000年 29,400
-40.61% ↓
1999年 49,500
53.73% ↑
1998年 32,200
6.98% ↑
1997年 30,100
-23.02% ↓
1996年 39,100
-24.81% ↓
1995年 52,000
21.5% ↑
1994年 42,800
-13.08% ↓
1993年 49,240
20.1% ↑
1992年 41,000
-10.97% ↓
1991年 46,050
31.57% ↑
1990年 35,000
5.35% ↑
1989年 33,222
-5.08% ↓
1988年 35,000
-7.89% ↓
1987年 38,000 -
1986年 38,000 -
1985年 38,000
-44.12% ↓
1984年 68,000
70% ↑
1983年 40,000
72.41% ↑
1982年 23,200
42.33% ↑
1981年 16,300
-3.55% ↓
1980年 16,900
-38.67% ↓
1979年 27,555
16.27% ↑
1978年 23,700
-42.62% ↓
1977年 41,300
-24.64% ↓
1976年 54,800
331.5% ↑
1975年 12,700
73.97% ↑
1974年 7,300
-54.06% ↓
1973年 15,892
33.19% ↑
1972年 11,932
26.26% ↑
1971年 9,450
13.24% ↑
1970年 8,345
-4.66% ↓
1969年 8,753
-9.78% ↓
1968年 9,702
-23% ↓
1967年 12,600
89.96% ↑
1966年 6,633
-66.35% ↓
1965年 19,713
-16.29% ↓
1964年 23,550
-1.92% ↓
1963年 24,012
-20.33% ↓
1962年 30,139
10.06% ↑
1961年 27,384 -

FAOのデータを基に分析すると、ニジェールのサツマイモ生産量は、いくつかの時期で大きな変動を見せながらも、長期的には増加傾向を示しています。1960年代から1970年代にかけては生産量が減少し、多くの年で10,000トン未満の水準を記録していました。この間、特に1966年から1970年にかけての低生産量は、乾燥気候や灌漑設備の不足、農業技術の低さが生産に影響を及ぼしていたことが背景として考えられます。また、1973年から1974年にかけての干ばつも生産量の減少に寄与したとされています。

しかし、1976年以降、サツマイモの生産量は回復を見せ始めました。特に1980年代後半から1990年代初頭にかけて安定的な増加が見られ、その背景には農業開発プロジェクトの導入や品種改良、肥料の使用促進などの取り組みがありました。それでも、1990年代後半には再び生産量が低下する傾向が見られ、農業政策やインフラ整備の未整備が課題として浮き彫りになっています。

2000年代に入ると、ニジェールのサツマイモ生産には明確な転換点が訪れました。特に2006年から2007年にかけての大幅な増加は注目に値し、近代的な農業技術の導入や国際的な援助を通じた支援が奏功した結果と考えられます。さらに2010年代後半から2020年代初頭にかけては、ほぼ毎年のように記録的な生産量を達成しており、2022年にはついに233,697トンという過去最高値を更新しました。

この成功の一因には、気候変動に適応したサツマイモ栽培が位置づけられます。サツマイモは比較的乾燥に強い作物であるため、降水量の不安定なサヘル地域の気候条件にも適しており、その特性がニジェールの農業政策において注目されてきたといえます。また、国内市場の拡大や、周辺国への輸出によって経済価値が向上し、農民たちのモチベーションが高まったことも影響していると考えられます。

一方で、課題も複数存在します。最も顕著なのは、地域ごとの生産量の偏りです。灌漑設備が整備されていない地域や、持続的農法が十分に浸透していない地域では、経済的および技術的な格差が依然として生産の安定を阻む要因となっています。また、近年の気候変動リスクは依然として高く、長期的な視点でみると継続的な生産量を維持するには作物の多様化が欠かせません。

未来に向けた具体的な対策としては、まず持続可能な農業技術の普及が挙げられます。これは、乾燥地向けのサツマイモの品種改良や、節水型灌漑システムの導入、土壌改善技術の共有を含みます。また、農業従事者への教育と訓練を強化することで、収量の安定化と品質向上を目指すことが重要です。さらに、農業生産者と市場を効果的につなげるインフラの強化や、周辺国との輸出協定の推進も求められるでしょう。

最後に、気候変動の影響が今後さらに大きくなり得ることを考慮し、地政学的リスクを踏まえた国際的な協力体制の構築が不可欠です。これには、国際機関や近隣のサヘル地域諸国との連携による気候変動対策、および紛争リスクの軽減が含まれます。持続可能なサツマイモ生産を基盤として、ニジェールの農業全体の発展を支える政策を推進することが、今後の経済的安定と食料安全保障の向上につながると考えられます。