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朝鮮民主主義人民共和国のサツマイモ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータによると、朝鮮民主主義人民共和国のサツマイモ生産量は、1961年の110,000トンから2022年の566,601トンへと約5倍以上増加しました。このデータは、国の農業生産が時間とともに大きな変化を遂げたことを示します。しかしながら、特定の時期においては生産量が大幅に減少したり急増したりする傾向も見られ、地政学的背景や自然災害、農業政策の成功・失敗など、さまざまな要因が影響を及ぼしていると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 571,936
0.94% ↑
2022年 566,601
0.85% ↑
2021年 561,840
0.93% ↑
2020年 556,675
-2.63% ↓
2019年 571,708
-8.53% ↓
2018年 625,000
41.24% ↑
2017年 442,500
-35.31% ↓
2016年 684,000
62.57% ↑
2015年 420,750
6.86% ↑
2014年 393,750
-12.69% ↓
2013年 451,000
18.68% ↑
2012年 380,000
-13.44% ↓
2011年 439,000
2.81% ↑
2010年 427,000
9.49% ↑
2009年 390,000
2.61% ↑
2008年 380,070
2.72% ↑
2007年 370,000
2.78% ↑
2006年 360,000
2.86% ↑
2005年 350,000
-2.78% ↓
2004年 360,000
2.86% ↑
2003年 350,000
2.94% ↑
2002年 340,000
6.25% ↑
2001年 320,000
10.34% ↑
2000年 290,000
-40.82% ↓
1999年 490,000
15.84% ↑
1998年 423,000
41% ↑
1997年 300,000
74.42% ↑
1996年 172,000
19.44% ↑
1995年 144,000
-25% ↓
1994年 192,000
41.18% ↑
1993年 136,000
-52.78% ↓
1992年 288,000
10.77% ↑
1991年 260,000
3.17% ↑
1990年 252,000
0.8% ↑
1989年 250,000
0.4% ↑
1988年 249,000
0.81% ↑
1987年 247,000
1.65% ↑
1986年 243,000
3.4% ↑
1985年 235,000
4.44% ↑
1984年 225,000
12.5% ↑
1983年 200,000 -
1982年 200,000
5.26% ↑
1981年 190,000
1.6% ↑
1980年 187,000
1.08% ↑
1979年 185,000 -
1978年 185,000
2.78% ↑
1977年 180,000
4.65% ↑
1976年 172,000
3.61% ↑
1975年 166,000
3.75% ↑
1974年 160,000
6.67% ↑
1973年 150,000
2.74% ↑
1972年 146,000
4.29% ↑
1971年 140,000
2.94% ↑
1970年 136,000
1.49% ↑
1969年 134,000
1.52% ↑
1968年 132,000
1.54% ↑
1967年 130,000
1.56% ↑
1966年 128,000 -
1965年 128,000
3.23% ↑
1964年 124,000
3.33% ↑
1963年 120,000
5.26% ↑
1962年 114,000
3.64% ↑
1961年 110,000 -

データから見られるように、朝鮮民主主義人民共和国のサツマイモ生産量は、1961年の110,000トンから順調に増加し、特に1980年代に急速な成長を見せました。これには、当時の農業政策の改善や協同農場の効率化が寄与した可能性があります。1982年以降、生産量が200,000トンを超え、1984年には225,000トンに達するなど、持続的な成長が見られました。しかし、1990年代には深刻な経済危機(「苦難の行軍」とも呼ばれる食糧不足)を背景に、生産量が大幅に減少する事態が発生しました。例えば、1993年の生産量は136,000トンと、1980年代後半の水準から半減していることが確認できます。

1997年から1999年にかけて、サツマイモ生産量は急激に増加しており、1998年には過去最高の423,000トンに達しています。この急増は、サツマイモが米やトウモロコシなどの主食に代わる食料として注目されたこと、そして地下作物として冷害や干ばつに比較的強い特性が災害時代替作物として見直されたことが要因だと考えられます。一方で、2000年以降は安定志向の農業生産に移行した影響もあり、生産量には年ごとに緩やかな変動が見られるようになりました。

2010年代以降では、2016年の684,000トンという突出した数値が注目されます。これは国内の食料不足を背景に農業生産に政府が大きな資源を割いた結果と考えられていますが、経済制裁や資源の制約、さらに農業技術の限界が災いして、その後数年間で再び減少傾向に転じています。2022年の時点では566,601トンと、比較的安定した水準へと収束していることがわかります。

これらの推移は、朝鮮民主主義人民共和国が直面する地政学的リスクや食糧政策の現状を反映しています。国際的な経済制裁や地元の気候条件、技術的な限界が生産に与える影響は小さくなく、特に2020年代のパンデミックによる国際的物流の混乱も農業生産に影響を与えた可能性があります。他国との比較を見ても、例えば中国やインドが生産効率の高い集約型農業を展開しているのに比べ、朝鮮民主主義人民共和国では依然として土地利用や技術導入に課題が残されています。

今後の課題として、農業生産のさらなる効率化と気候変動への適応が挙げられます。例えば、サツマイモは干ばつ耐性が比較的高い作物でありながら、地味(じみ)の改善や灌漑技術の向上によって、生産量と品質をより高水準で安定させることが可能です。また、国際社会との協調を図り、技術や資源の共有、柔軟な政策改革を進めることが、長期的な振興につながるでしょう。特に、近隣国である中国や韓国と協力関係を構築し、農業技術を学ぶ機会を増やすことで、国内の農業生産基盤の強化につながることが期待されます。

総じて、過去のデータから見られるように、朝鮮民主主義人民共和国は生産量を安定化させる能力を一定程度有しているものの、外部環境や政策上の脆弱性が大きく影響を与えることが課題です。これは、食料安全保障と国の安定にとって極めて重要な問題であり、国際的な協力と画期的な政策設計が求められます。国として持続可能な農業を目指す道筋の中で、サツマイモのような適応性の高い作物の役割を重視することが鍵となるでしょう。