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エチオピアのサツマイモ生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(FAO)が発表した最新データによると、エチオピアのサツマイモ生産量は過去30年にわたる大きな変動を伴いながら推移しています。なんと2013年から2014年にかけて過去最高生産量を記録する一方で、近年は減少傾向にあります。2022年の生産量は1,000,576トンとなり、2014年のピークである2,831,660トンと比べて半分以下に落ち込んでいます。多くの要因がこの変動に関与しており、今後の生産安定化に向けた取り組みが必要です。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 1,295,060
29.43% ↑
2022年 1,000,576
9.5% ↑
2021年 913,785
-42.85% ↓
2020年 1,598,838
-8.94% ↓
2019年 1,755,855
16.12% ↑
2018年 1,512,112
-15.96% ↓
2017年 1,799,384
-18.5% ↓
2016年 2,207,820
35.07% ↑
2015年 1,634,520
-42.28% ↓
2014年 2,831,660
39.92% ↑
2013年 2,023,765
49.97% ↑
2012年 1,349,480
153.16% ↑
2011年 533,046
-26.37% ↓
2010年 723,958
60.63% ↑
2009年 450,697
71.68% ↑
2008年 262,514
-49.99% ↓
2007年 524,976
35.02% ↑
2006年 388,814
-4.89% ↓
2005年 408,796
-9.58% ↓
2004年 452,083
-9.06% ↓
2003年 497,143
46.58% ↑
2002年 339,150
9.15% ↑
2001年 310,711
3.57% ↑
2000年 300,000
36.36% ↑
1999年 220,000
10% ↑
1998年 200,000
-2.48% ↓
1997年 205,095
28.99% ↑
1996年 159,000
1.27% ↑
1995年 157,000
1.29% ↑
1994年 155,000
-7.55% ↓
1993年 167,654 -

エチオピアにおけるサツマイモの生産量推移は、農業生産が地理的条件や経済状況、政策的サポートの影響を大きく受ける実態を反映しています。サツマイモは農村部で主に生産される食用作物で、食料安全保障を支える重要な役割を担っています。特に栄養価が高く、ビタミンやエネルギーの供給源として貴重な存在ですが、この生産量は劇的に上下しています。

1993年には167,654トンであったサツマイモの生産量は、2000年に300,000トンを超え、大きな成長を示しました。この成長期は農業技術の普及や農家への支援プログラムの効果が寄与した可能性があります。しかし、その後も生産量は一定ではなく、2003年には497,143トンに達したものの、2008年には大幅に262,514トンへ低下している点が注目されます。このような周期的な低迷は、気候変動の影響や農業インフラ不足、病害虫被害、さらには国内外の市場動向の影響を示唆しています。

注目すべきは2013年から2014年の間で、史上最高となる2,831,660トンに生産量が到達したことです。この時期はおそらく気候条件が好条件であったことや、市場拡大、新たな政策支援などが重なったことが要因と考えられます。しかし2015年以降、生産量は減少傾向に転じ、2021年にはわずか913,785トンに落ち込みました。この低迷は、干ばつや作物病害の発生、行政の支援不足など複合的な要因が絡んでいると推定されます。

地政学的背景もこの変動に影響しています。エチオピアは近年、内戦を含む地域紛争や、気候変動による降雨パターンの変化に直面してきました。これらはサツマイモのみならず、主要農作物全般の生産効率に影響を及ぼしています。また、新型コロナウイルスのパンデミックにおいても物流と市場が混乱し、農家が十分な収益を得られなかった可能性があります。

このような現状に対して、長期的な安定生産を実現するためには、いくつかの具体的対策が求められます。まず、気候変動に対応した耐干ばつ性のサツマイモ品種の開発と普及が重要です。また、灌漑システムの整備や農業技術トレーニングを通じて農家支援を強化する必要があります。さらに、病害虫被害を最小限に抑えるための農薬利用技術の改善、または持続可能な有機農法の導入が効果的と考えられます。市場面では、国内市場だけでなく国際市場をターゲットにする戦略を構築することで、生産者が安定的な収益を得られる可能性が高まるでしょう。

国際的な支援についても、多国間協力や専門技術の共有が鍵となります。エチオピアは他のサツマイモ生産国と連携し、技術移転や研究開発で協調を図るべきです。例えば、中国ではサツマイモを加工食品やバイオエネルギー生産に活用するなど、多用途な活用方法で生産を発展させています。エチオピアもこのようなモデルを学び、自国内で応用する形が効果的でしょう。

結論として、エチオピアのサツマイモ生産量推移は、短期的な変動が激しいため、長期的な視点での安定化と改善が求められています。この地域資源を最大限活用することで、食料安全保障を向上させるだけでなく、農業セクター全体の強化につながる可能性があります。今後、エチオピア政府と国際機関の連携を通じた効率的な政策実践が極めて重要となるでしょう。