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ブータンのジャガイモ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ブータンにおけるジャガイモの生産量は、1961年の14,000トンから2022年の31,146トンまで推移しています。この間、生産量の多くの変動が見られ、特に1987年には50,000トン、2007年には63,743トンという突出した年が存在します。一方で、2020年代に入ると生産量は減少傾向を示しており、トップ時期を大きく下回る状況となっています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 37,749
21.2% ↑
2022年 31,146
-19.25% ↓
2021年 38,573
-15.23% ↓
2020年 45,500
4.45% ↑
2019年 43,560
-1.62% ↓
2018年 44,278
-22.62% ↓
2017年 57,223
-2.72% ↓
2016年 58,820
21.84% ↑
2015年 48,276
3.39% ↑
2014年 46,695
12.17% ↑
2013年 41,629
-3.19% ↓
2012年 43,000
-17.51% ↓
2011年 52,126
18.43% ↑
2010年 44,014
-9.27% ↓
2009年 48,513
-11.15% ↓
2008年 54,600
-14.34% ↓
2007年 63,743
1.24% ↑
2006年 62,960
17.53% ↑
2005年 53,568
13.01% ↑
2004年 47,402
16.76% ↑
2003年 40,599
29.07% ↑
2002年 31,454
16.5% ↑
2001年 27,000
22.73% ↑
2000年 22,000
-0.01% ↓
1999年 22,002
3.16% ↑
1998年 21,328
2.59% ↑
1997年 20,789
-25.92% ↓
1996年 28,063
-13.06% ↓
1995年 32,279
-2.44% ↓
1994年 33,084
-1.96% ↓
1993年 33,746
-1.04% ↓
1992年 34,100
4.28% ↑
1991年 32,700
4.47% ↑
1990年 31,300
4.33% ↑
1989年 30,000 -
1988年 30,000
-40% ↓
1987年 50,000
78.57% ↑
1986年 28,000
3.7% ↑
1985年 27,000
-17.18% ↓
1984年 32,600
25.38% ↑
1983年 26,000
4.31% ↑
1982年 24,925
0.1% ↑
1981年 24,900
3.75% ↑
1980年 24,000
2.13% ↑
1979年 23,500
2.17% ↑
1978年 23,000
2.22% ↑
1977年 22,500
2.27% ↑
1976年 22,000
2.33% ↑
1975年 21,500
2.38% ↑
1974年 21,000
2.44% ↑
1973年 20,500
2.5% ↑
1972年 20,000
2.56% ↑
1971年 19,500
2.63% ↑
1970年 19,000
2.7% ↑
1969年 18,500
2.78% ↑
1968年 18,000
2.86% ↑
1967年 17,500
2.94% ↑
1966年 17,000
3.03% ↑
1965年 16,500
3.13% ↑
1964年 16,000
3.23% ↑
1963年 15,500
3.33% ↑
1962年 15,000
7.14% ↑
1961年 14,000 -

1961年から2022年にかけてのブータンのジャガイモ生産量の動向を見ると、初期は緩やかに上昇していましたが、1983年以降急激な伸びを見せました。特に1987年には50,000トンへ達し、それまでの成長速度を大幅に超えた急激な増加が見られました。この背景には、国の農業政策の推進や人工肥料などの現代農業技術の普及が考えられます。また地理条件として、ブータンの高地がジャガイモ栽培に適している点も重要な要因です。

2003年以降は50,000トンを超える年が続き、2007年には過去最大の63,743トンを記録しました。しかし2008年から生産量は減少傾向を示し始め、2022年には31,146トンにまで落ち込みました。この減少の原因の一つとして、近年の気候変動が挙げられます。降水量や気温の不安定さが、農業生産に負の影響を与えている可能性があります。また、農業の過度な集約化や土壌の剪定不足、害虫の増加も生産減少の要因と考えられます。さらに、2020年以降の新型コロナウイルスのパンデミックによって輸送網や農業労働者の手配に遅れが生じたことも、収穫量の低迷を招いた重要な要因といえるでしょう。

他国の状況と比較すると、中国やインドなどの農業大国は、技術革新や効率的な資源配分によって一貫した生産量の増加を維持しています。一方でブータンのような小規模農業主体の国では、生産量が不安定となりやすく、自然条件や国際的な経済変動に対する脆弱性が浮き彫りになっています。これは、国内の農業インフラや技術的な能力の拡充がまだ十分でない点と関連しています。

今後の課題としては、生産の持続可能性を維持しつつ、効率的な農業技術を導入することが挙げられます。灌漑技術の改善や高品質な種子の使用、土壌の肥沃度向上プログラムなどを導入することで、生産性を飛躍的に向上させることが可能です。また、ジャガイモ生産におけるサプライチェーンの改善も急務であり、輸送インフラや冷蔵設備の整備は、生産物の品質保持や輸出拡大に不可欠です。さらに、気候変動対応型の農業政策の策定も重要です。気象データの活用や早期警報システムの導入により、気候リスクに先んじて対応する仕組みを整える必要があります。

また、地域間協力の枠組みを拡大することも、ブータンジャガイモ産業の未来に寄与するでしょう。隣国インドや中国との農業技術協力、さらには国際援助の活用が、国内農業の近代化を加速させる可能性があります。特に気候リスクが高まる中、地政学的にも優位な位置にあるブータンは隣国との穀物や食品貿易を活発化させれば、一定の食糧安全を確保するだけでなく、国内農民の収入向上にもつながります。

結論として、ブータンのジャガイモ生産量の推移は、1970年代の漸進的な増加から1980年代後半の急成長、そして2000年代後半からの減少傾向が顕著に表れています。この変化を踏まえると、気候変動への適応と生産基盤の強化が今後の鍵となることは間違いありません。国際機関や地域協力の支援を得ながら、ブータン政府が技術的革新と環境適応型政策を推進することが重要です。それにより、持続可能で安定したジャガイモ生産が実現できるでしょう。