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リトアニアのジャガイモ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新のデータによると、リトアニアのジャガイモ生産量は1992年の1,079,200トンから始まり、1996年に2,044,300トンというピークを迎えました。しかしその後、全体的に減少傾向が続き、直近の2022年には226,420トンという大幅な減少が確認されました。この30年間でリトアニアの生産量は約80%近く減少しており、同国の農業や経済におけるジャガイモの役割が変化していることを示唆しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 267,330
18.07% ↑
2022年 226,420
13.12% ↑
2021年 200,160
-32.55% ↓
2020年 296,740
-10.02% ↓
2019年 329,780
13.8% ↑
2018年 289,800
22.26% ↑
2017年 237,045
-32.56% ↓
2016年 351,484
-11.95% ↓
2015年 399,191
-14.79% ↓
2014年 468,500
9.85% ↑
2013年 426,500
-22.44% ↓
2012年 549,900
-6.43% ↓
2011年 587,700
23.23% ↑
2010年 476,900
-28.02% ↓
2009年 662,500
-7.52% ↓
2008年 716,400
24.35% ↑
2007年 576,100
26.03% ↑
2006年 457,100
-48.91% ↓
2005年 894,700
-12.4% ↓
2004年 1,021,400
-29.32% ↓
2003年 1,445,200
-5.62% ↓
2002年 1,531,300
45.23% ↑
2001年 1,054,400
-41.15% ↓
2000年 1,791,600
4.89% ↑
1999年 1,708,100
-7.63% ↓
1998年 1,849,200
1.06% ↑
1997年 1,829,800
-10.49% ↓
1996年 2,044,300
28.29% ↑
1995年 1,593,500
45.34% ↑
1994年 1,096,400
-38.15% ↓
1993年 1,772,600
64.25% ↑
1992年 1,079,200 -

リトアニアのジャガイモ生産量の推移を年代ごとに見てみると、1990年代初めは年間100万トン以上の安定した生産量を誇っていました。1996年には2,044,300トンという最大値を記録しましたが、その後は減少が目立ち、特に2000年代には減少傾向が顕著となります。この背景には、農業の近代化やEU加盟後の農地再編、そして労働環境の変化がありました。また、リトアニア国内の消費傾向の変化や世帯規模の縮小も需要の減少に拍車をかけたと考えられます。

ジャガイモは元来リトアニアを含む東ヨーロッパ地域で重要な主食の一つでしたが、近年のグローバル化により米やパスタなど他の主食への代替が進みました。さらに、農業のコストパフォーマンスを考慮するとジャガイモの生産から他の作物への転換も起こり得ます。こうした中でとの生産量の減少は、国内需要に応じた調整だけではなく、農業従事者の減少や外的な競争要因も影響を及ぼしている可能性があります。

2020年以降は新型コロナウイルス感染症の影響による物流や市場需要の混乱も指摘されるべきでしょう。パンデミックによる経済の停滞が、農産物価格の低下や輸出の困難を引き起こし、生産意欲に影響を与えたと考えられます。一方、2021年以降の生産量がさらに減少している要因には、気候変動の影響や農作物の生育環境の悪化、そして地政学的な緊張によるエネルギー価格の高騰も挙げられます。

具体的な課題として、第一に農業従事者の高齢化とその後継者不足が挙げられます。次に、リトアニアの農業は本質的に多くの部分で気候に依存しているため、異常気象による収穫量の変動が今後も継続的に注目されるでしょう。また、EU諸国間の競争がジャガイモのような低収益の作物の生産をさらに圧迫する可能性もあります。

この解決策としては、収益性の高い農作物へのシフトを進める一方で、ジャガイモの高付加価値商品の開発も検討すべきです。例えば、加工食品や有機栽培の需要が高まる市場をターゲットにすることで、国内外の市場でリトアニア産のジャガイモを差別化することができます。また、持続可能な農業方法や灌漑技術、そして気候変動に強い品種の導入も重要な対応となります。さらに、他国と協力した農業支援プログラムや市場インフラの整備を構築することも有効でしょう。

リトアニアは長い農業の伝統を持つ国ですが、現代の課題に対応するためには、新しい戦略が必要です。地元農業の保護と競争力の維持には、政府や地域の農業団体の積極的な政策と、国際的な協調が欠かせません。FAOを通じたデータ共有や技術支援を活用し、この課題に立ち向かうことが期待されます。