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ハンガリーのジャガイモ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新した最新データによると、ハンガリーのジャガイモ生産量は長期的な減少傾向にあります。1960年代前半には年間約200万トン以上を生産していたのに対し、2020年代後半には年産量が20万トン前後にまで減少しています。この50年以上にわたる生産量の減少は、土地利用や農業技術、さらには市場需要の変化など複合的な要因によるものと考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 209,950
5.39% ↑
2022年 199,210
-16.94% ↓
2021年 239,840
-11.2% ↓
2020年 270,090
-21.38% ↓
2019年 343,540
4.87% ↑
2018年 327,580
-18.68% ↓
2017年 402,853
-6.19% ↓
2016年 429,435
-4.99% ↓
2015年 452,008
-20.34% ↓
2014年 567,430
16.43% ↑
2013年 487,360
-11.02% ↓
2012年 547,710
-8.72% ↓
2011年 600,000
36.4% ↑
2010年 439,897
-21.53% ↓
2009年 560,615
-18.03% ↓
2008年 683,935
21.46% ↑
2007年 563,100
-0.24% ↓
2006年 564,443
-14.05% ↓
2005年 656,721
-16.2% ↓
2004年 783,686
34.57% ↑
2003年 582,346
-22.59% ↓
2002年 752,244
-17.19% ↓
2001年 908,359
5.19% ↑
2000年 863,511
-27.96% ↓
1999年 1,198,681
4.43% ↑
1998年 1,147,818
0.73% ↑
1997年 1,139,550
-12.91% ↓
1996年 1,308,465
19.04% ↑
1995年 1,099,170
16.23% ↑
1994年 945,682
-10.57% ↓
1993年 1,057,411
-12.73% ↓
1992年 1,211,633
7.59% ↑
1991年 1,126,153
-8.16% ↓
1990年 1,226,153
-7.96% ↓
1989年 1,332,257
-5.32% ↓
1988年 1,407,105
30.67% ↑
1987年 1,076,843
-14.82% ↓
1986年 1,264,173
-8.27% ↓
1985年 1,378,167
-11.15% ↓
1984年 1,551,148
25.69% ↑
1983年 1,234,058
-15.44% ↓
1982年 1,459,390
-9.24% ↓
1981年 1,607,950
15.52% ↑
1980年 1,391,965
-7.96% ↓
1979年 1,512,428
-19.67% ↓
1978年 1,882,778
14.14% ↑
1977年 1,649,577
18.13% ↑
1976年 1,396,399
-14.33% ↓
1975年 1,629,948
-5.23% ↓
1974年 1,719,865
26.93% ↑
1973年 1,354,929
-10.01% ↓
1972年 1,505,668
-16.22% ↓
1971年 1,797,166
-0.86% ↓
1970年 1,812,669
-9.94% ↓
1969年 2,012,708
23.31% ↑
1968年 1,632,257
-12.01% ↓
1967年 1,855,134
-36.17% ↓
1966年 2,906,524
64.96% ↑
1965年 1,761,996
-9.6% ↓
1964年 1,949,097
-15.17% ↓
1963年 2,297,645
6.94% ↑
1962年 2,148,619
17.41% ↑
1961年 1,830,022 -

ハンガリーは18世紀後半以降、ヨーロッパにおける穀物やジャガイモ生産の一大地域の一つとして発展してきました。しかし、FAOによるデータを分析すると、1966年の290万トンをピークとして、ジャガイモ生産量は一貫して減少しており、2022年にはその数字が199,210トンにまで落ち込んでいます。この減少は70年代半ばから特に目立つようになり、90年代以降に急速化しています。

背景としては、いくつかの要因が考えられます。一つ目として、既存の農業政策の変遷と土地利用の変化が挙げられます。特に冷戦終結直後の1990年代、農地の集約や農業構造の転換が行われ、この過程でジャガイモ生産が次第に縮小されました。また、自由市場経済の導入によって安価な輸入ジャガイモが市場に流入し、国内生産の競争力が低下したことも影響しています。さらに気候変動が重大な課題として浮上しており、高温化や干ばつの頻発がジャガイモ生産を一層困難にしています。

ハンガリーのジャガイモ生産の減少は、他の国々にも共通する問題です。例えば、同じくヨーロッパに位置するドイツやフランスでは、農業の効率化や海外輸入の増加により、国内生産が停滞の傾向を示しています。一方で、中国やインドといった新興農業大国では需要と供給が共に拡大しており、世界のジャガイモ市場の動向が大きく分散化しています。

気候の問題としては、ハンガリーが属する中欧地域は水不足や高温ストレスに悩まされるようになりました。特に2010年代半ば以降、持続的な干ばつが農業全般を直撃しており、収穫量の大幅な減少を招いています。これに加えて、土壌の劣化や耕作地の減少も挙げられます。このような状況では、産業全体の競争力を維持するために、新たな灌漑技術や耐高温性の高いジャガイモの品種開発が急務となります。

政策提言としては、まず第一に、持続可能な農業の再構築が求められます。具体的には灌漑施設の整備と効率的な水資源管理の徹底が必要です。併せて、農家に対する技術的支援や気候変動に対応可能な農作物への転換を促す取り組みが重要です。更に国内需要を掘り起こすため、地域の消費促進キャンペーンや農産物市場の透明化を進めることが考えられます。

また、EUとの協働を強化し、気候適応策や技術共有を進めることも有効です。特に、気候変動が農作物に与える影響が懸念される今、ハンガリー国内で気候変動に強い農作物研究施設を設立することは、将来的な工具にもなり得ます。そして国際市場への輸出にも再び注力し価値あるブランドの確立を目指すべきです。

結論として、ハンガリーにおけるジャガイモ生産量の推移は、地政学的背景、気候変動、農業政策の変化が複雑に絡み合って経済や社会に影響を及ぼしている例と言えます。国のみならず、地域全体が持続可能な農業方式を模索することが不可欠です。そして、その取り組みが成功すれば、ハンガリーの農業セクター全体の基盤強化につながるだけでなく、他のヨーロッパ諸国や農業に課題を抱える国々にとってもモデルケースとなる可能性があります。