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アラブ首長国連邦

United Arab Emirates

アラブ首長国連邦のCO2排出量推移

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が2024年11月に発表した最新のデータによれば、アラブ首長国連邦のCO2排出量は、1990年の約78.8百万トンから2020年の約235.7百万トンへと大幅に増加しました。特に2000年代初頭以降の増加が顕著であり、2013年には278.8百万トンと最高値を記録しました。その後の数年間において排出量は一部の減少傾向を示しているものの、依然として高水準を維持しています。

「アラブ首長国連邦」のCO2排出量推移

年度 CO2排出量
2020年 235,706,450トン
2019年 248,838,958トン
2018年 246,854,274トン
2017年 250,294,053トン
2016年 290,994,513トン
2015年 302,032,328トン
2014年 274,496,922トン
2013年 278,781,538トン
2012年 271,396,325トン
2011年 221,854,443トン
2010年 205,379,913トン
2009年 212,112,791トン
2008年 199,989,142トン
2007年 179,174,255トン
2006年 166,480,680トン
2005年 156,976,859トン
2004年 152,632,749トン
2003年 146,961,858トン
2002年 122,495,263トン
2001年 140,621,554トン
2000年 149,947,315トン
1999年 113,082,679トン
1998年 115,735,858トン
1997年 109,278,823トン
1996年 109,182,989トン
1995年 104,458,050トン
1994年 104,986,654トン
1993年 98,481,164トン
1992年 87,439,449トン
1991年 85,327,894トン
1990年 78,829,267トン

アラブ首長国連邦(UAE)のCO2排出量の推移は、同国の経済成長と密接に関連しています。1990年から2020年の間におけるCO2排出量の3倍近い増加は、急速な都市化、エネルギー消費の増大、産業活動の本格化が主要因となっています。特に2000年代前半には、石油や天然ガス産業を中心とした精力的な経済開発がCO2排出量の急増をもたらしました。2008年には約200百万トン、2013年には約278.8百万トンを記録し、それ以降、やや減少に転じているもの、2020年でも約235.7百万トンと依然として大きな排出量です。

同地域のエネルギー政策は石油や天然ガスに大きく依存しており、持続可能なエネルギー転換が課題となっています。他国と比較すると、UAEの一人当たりのCO2排出量は非常に高く、エネルギー消費と人口のバランスが他の国々とは異なる独自の動態を示しています。日本やドイツなどの先進工業国が再生可能エネルギーの導入を進め、排出量を抑制しているのに対し、UAEは再生可能エネルギー政策への取り組みが遅れていると指摘されています。

2010年以降、政府は持続可能性を重視した政策転換を打ち出しました。例えば、マスダールシティの開発や再生可能エネルギーへの投資などが挙げられます。また、2018年以降はCO2排出量の緩やかな減少が見られますが、これは産業構造の一部転換、輸送部門の効率化、また新型コロナウイルス感染症による経済活動の低下など、複数の要因が絡んでいると考えられます。

将来的に、アラブ首長国連邦が果たすべき課題は、依然として炭素排出量を削減する具体策の強化です。化石燃料の消費を減らすためには、太陽光発電、風力発電、水素エネルギーといった再生可能エネルギー源へのさらなる投資が不可欠です。同時に、エネルギー効率を高めるためには産業用設備の最新化、より効率的な輸送システムの導入、電動車の普及が有効な手段として考えられます。

また、地域ごとの地政学的な背景も考慮が必要です。UAEは中東地域で重要な石油輸出国としての地位を持ちながらも、気候変動リーダーシップの一端を担うことが期待されています。その実現には、近隣諸国と協力して地域規模での排出削減計画を策定し、国際的なパートナーシップによる資本および技術支援を受けることが有効でしょう。

さらに、疫病や自然災害、地域紛争などが経済や社会に与える影響も考慮する必要があります。新型コロナウイルス感染症は短期的にCO2排出量を抑えましたが、長期的な持続可能な削減には一時的な外的要因ではなく、制度的・技術的な変革が求められます。

結論として、アラブ首長国連邦はこれまでの経済成長を背景に世界有数の排出国の1つとなっていますが、政策転換による排出量削減を進展させる余地が大きい国でもあります。政府は国内外の持続可能性目標を踏まえ、エネルギー転換、インフラ改善、国際協力に基づく具体的な戦略を策定し、地球規模での温暖化防止に貢献することが求められています。