Food and Agriculture Organization(国連食糧農業機関)が提供した最新データによれば、ナイジェリアのCO2排出量は1990年から2020年にわたり大きく変動してきました。1990年の排出量は291,350,515トンで、2020年には432,155,921トンと約48%増加しました。長期的には増加傾向が見られるものの、年度ごとに上昇と減少を繰り返す特徴があります。特に2018年以降は高水準で一定の値を保っています。
「ナイジェリア」のCO2排出量推移
年度 | CO2排出量 |
---|---|
2020年 | 432,155,921トン |
2019年 | 432,861,629トン |
2018年 | 433,703,581トン |
2017年 | 420,285,454トン |
2016年 | 397,643,845トン |
2015年 | 395,625,487トン |
2014年 | 408,909,050トン |
2013年 | 397,222,312トン |
2012年 | 405,672,314トン |
2011年 | 411,597,288トン |
2010年 | 383,450,462トン |
2009年 | 331,270,395トン |
2008年 | 355,807,784トン |
2007年 | 361,997,570トン |
2006年 | 376,657,187トン |
2005年 | 398,283,607トン |
2004年 | 393,923,836トン |
2003年 | 392,895,436トン |
2002年 | 361,198,531トン |
2001年 | 396,187,546トン |
2000年 | 391,237,608トン |
1999年 | 362,379,117トン |
1998年 | 374,431,396トン |
1997年 | 399,481,876トン |
1996年 | 422,841,318トン |
1995年 | 376,072,494トン |
1994年 | 356,425,668トン |
1993年 | 335,223,574トン |
1992年 | 331,304,318トン |
1991年 | 307,777,174トン |
1990年 | 291,350,515トン |
ナイジェリアのCO2排出量の推移を分析すると、経済活動や地政学的要因の影響を強く受けていることが分かります。1990年から2000年にかけては一貫した増加傾向が見られ、特に1996年の422,841,318トンに到達した時期は石油産業の活発化、都市化、人口増加が要因とされています。しかし、その後2000年代に入ってからは排出量が一時減少し、最大で2009年の331,270,395トンまで減少しました。この減少は、原油価格の下落や社会不安による産業活動の停滞が影響したと考えられます。
それでも2010年以降は再び増加に転じ、2020年には432,155,921トンに達しました。これは、ナイジェリアが資源依存型経済であり、特に化石燃料の生産と輸出に経済基盤を大きく依存していることが背景にあります。また、この間に急速な人口増加が進んでおり、エネルギー需要が高まったことも排出量の増加要因の一部です。特に2018年以降はほぼ一定の水準に達しており、新型コロナウイルス感染拡大の影響で2020年の一部経済活動が停滞したものの、CO2排出量にはそれほど顕著な減少は見られませんでした。この点は、基本的なインフラ供給や日常生活における化石燃料への強い依存を考慮する必要があります。
ナイジェリアの排出量は国際的には中程度のレベルにあるものの(2020年のデータではインドや中国が膨大な排出量を占める中、ナイジェリアはそれらの国に比べて低水準にとどまる)、国民一人当たりの排出量で見るとさらに低い数値です。しかし、これを理由に排出削減への取り組みを遅らせてはなりません。同国の都市部では急速な人口増加と自動車利用の拡大が進んでおり、今後さらにCO2排出量が増大する可能性が高まるため、持続可能な都市政策の展開が急務です。
この地域特有の問題として、ガスフレアリング(天然ガスの焼却)が依然としてエネルギー産業の一般的な手法であり、大きなCO2排出源になっています。この慣行は、特にナイジェリアの石油採掘において普及しており、政府が法規制を強化する必要があります。同時に、代替エネルギー政策の推進が課題と言えます。例えば、太陽光エネルギーや風力発電など再生可能エネルギーの開発を進めることで、エネルギー供給と排出削減の両立が期待されます。
加えて、ナイジェリアは気候変動による悪影響を受けやすいと言われており、干ばつや洪水などの自然災害が農業や生活に深刻な影響を及ぼしています。そのため、排出削減だけでなく、適応策の実施も重要です。国際的な支援と技術移転を通じて、効率的な灌漑システムの導入や耐性の高い作物の導入を検討するべきです。
最後に、ナイジェリアだけでなく他の国々とも協力して、地域全体での低炭素経済への移行を推進する必要があります。西アフリカ地域では、再生可能エネルギーや技術の共有が相乗効果を生む可能性があります。国際社会としては、技術的支援や資金提供を行いながら、ナイジェリアの持続可能な開発を共に目指すことが鍵となるでしょう。
結論として、ナイジェリアにおけるCO2排出量増大の背景には、地政学的条件、経済活動や人口動態の変化が絡んでいます。これを踏まえた上で、ガスフレアリングの廃止や再生可能エネルギーの導入を進めることが不可欠です。また、国際的な協力を通じて、地域のエネルギー転換と気候変動への適応を促進することが、未来の環境と経済の両立につながると考えられます。