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ネパール

Nepal

ネパールのCO2排出量推移

国際連合食糧農業機関が公表した最新データによると、ネパールのCO2排出量は1990年から2020年の約30年間で、年間25,029,863トンから51,040,757トンまで増加しています。この期間における全体の増加率はほぼ倍増に相当し、特に2000年代後半からの増加ペースが顕著に見られます。背景には経済成長やエネルギー需要の高まりがある一方、近年の国内外の環境対策の不足も大きな課題として浮き彫りになっています。

「ネパール」のCO2排出量推移

年度 CO2排出量
2020年 51,040,757トン
2019年 50,739,165トン
2018年 49,134,081トン
2017年 47,007,072トン
2016年 44,627,915トン
2015年 41,079,732トン
2014年 42,041,490トン
2013年 40,174,604トン
2012年 38,820,161トン
2011年 38,311,067トン
2010年 37,239,533トン
2009年 36,201,985トン
2008年 34,584,088トン
2007年 32,895,366トン
2006年 32,598,427トン
2005年 32,693,159トン
2004年 31,901,525トン
2003年 31,809,734トン
2002年 31,060,857トン
2001年 31,445,936トン
2000年 31,047,273トン
1999年 30,859,816トン
1998年 29,624,512トン
1997年 29,778,225トン
1996年 29,143,413トン
1995年 28,665,219トン
1994年 26,917,542トン
1993年 26,219,665トン
1992年 25,294,336トン
1991年 25,391,254トン
1990年 25,029,863トン

ネパールにおけるCO2排出量の推移を眺めると、1990年から緩やかな増加基調が見られ、2020年には約51,040,757トンに達しました。この数値は同国の工業化や都市化の進展およびエネルギー需要の拡大と密接に関連しています。特に2000年代後半から2010年代にかけての急激な増加が特徴的で、これは発電や産業活動に伴う化石燃料消費の増加が主な要因と考えられます。

さらに世界的な視点で比較すると、ネパールの排出量は隣国のインドや中国と比べて相対的に少ないものの、国内GDPや人口規模に対しては急激に増大していることも無視できません。例えば2020年のデータでは、日本の年間CO2排出量約10億トンと比較して微小ですが、ネパールの経済規模(2020年のGDPは約360億ドル)に鑑みると、その成長ペースは相応に高いと言えます。

ネパール特有の地政学的背景も重要です。同国は山岳地帯が多く、再生可能エネルギーに適した地形を持ちます。特に水力発電は成長余地が大きい分野です。しかし現状では、化石燃料に依存した発電が多数を占め、環境への影響が懸念されています。周辺国とのエネルギー輸出入やインフラ整備が課題として挙げられ、政策的な対応が十分に進んでいないことも要因となっています。

また疫病や自然災害もCO2排出量に影響を与える要因です。例えば2020年の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック以降、多くの国で排出量が一時的に減少しましたが、ネパールではその影響が限定的だったと考えられます。これは経済活動が外部依存度の高い構造にあり、内需型のエネルギー消費が大きな割合を占めたためと推測されます。

将来的な課題としては、排出量削減に向けた持続可能なエネルギーへの移行が急務です。具体的には、以下のような対策が国際的にも有効と考えられます。まず、水力発電のさらなる拡充や太陽光エネルギーの導入促進が重要であり、地域的なエネルギーインフラの強化、ならびに資金調達のための国際協力が不可欠です。また、環境に配慮した都市計画や公共交通機関の強化を行い、都市部におけるエネルギー効率の改善にも注力することが求められます。

結論として、ネパールのCO2排出量の増加は、経済や生活水準の向上と密接に関連している一方で、気候変動への影響も無視できません。同国の未来の発展には、再生可能エネルギーの拡大と輸入依存型のエネルギー構造の見直しが鍵となります。国際機関や近隣諸国と連携した政策提案の実行が不可欠であり、持続可能な発展を目指すための長期的な視点が求められます。