国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、マリのCO2排出量は1990年の約1,748万トンから2020年の約4,745万トンへと大幅に増加しています。この期間中、特に2000年代からの急激な増加が顕著で、年間増加率が高まっています。このデータは、マリの経済成長や産業構造の変化、またエネルギー資源の利用拡大を反映していると考えられます。
「マリ」のCO2排出量推移
年度 | CO2排出量 |
---|---|
2020年 | 47,446,229トン |
2019年 | 45,272,056トン |
2018年 | 43,801,328トン |
2017年 | 42,195,077トン |
2016年 | 41,546,599トン |
2015年 | 38,102,144トン |
2014年 | 36,643,371トン |
2013年 | 35,552,509トン |
2012年 | 34,253,218トン |
2011年 | 33,213,427トン |
2010年 | 32,433,117トン |
2009年 | 30,621,766トン |
2008年 | 30,473,478トン |
2007年 | 28,699,959トン |
2006年 | 27,596,052トン |
2005年 | 27,325,219トン |
2004年 | 26,432,303トン |
2003年 | 24,130,883トン |
2002年 | 23,280,932トン |
2001年 | 22,754,969トン |
2000年 | 23,200,256トン |
1999年 | 22,553,463トン |
1998年 | 21,127,333トン |
1997年 | 19,849,049トン |
1996年 | 19,553,354トン |
1995年 | 18,547,137トン |
1994年 | 18,139,349トン |
1993年 | 17,759,338トン |
1992年 | 17,517,625トン |
1991年 | 17,462,556トン |
1990年 | 17,482,549トン |
マリのCO2排出量の推移を見てみると、1990年から2020年にかけて約2.7倍に増加しており、その背後には経済成長や産業活動の変化が影響していると考えられます。特に1990年代後半から2000年代初頭における上昇が目立ち、2020年までの30年間を通じて顕著な増加傾向を示しています。年ごとのデータを見ると、1990年代のCO2排出量は比較的緩やかに増加しているものの、2004年以降急速な伸びが見られ、2018年以降は年平均2%以上の増加率となっています。
マリの経済活動は主に農業を基盤としており、多くの国民が農業や伝統的な燃料(木炭や薪)に依存しています。一方で、近年では都市化やインフラ整備が進みつつあり、化石燃料の利用が増大していることが、この排出量の増加に寄与している可能性があります。また、人口増加もCO2排出量増加の大きな要因の一つです。国際比較においても、マリの排出量は主要先進国(例えばアメリカの2020年の排出量は約48億トン)と比較すると依然として低水準ですが、GDP(国内総生産)やエネルギー消費の観点からみると、増加ペースが他のアフリカ諸国より早い点が特徴です。
この状況は、地政学的な背景も影響しています。マリはサヘル地域に位置し、資源競争や地域紛争が安定したエネルギー供給や低炭素開発の妨げとなっています。さらに、気候変動が農業や水資源に与える影響も深刻です。 CO2排出量の増加が気候変動の悪化に寄与する可能性がある点を踏まえると、将来の環境政策はより持続可能な経済発展を模索する必要があります。
マリがこの課題に取り組むためには、いくつかの対策が考えられます。第一に、再生可能エネルギーの開発と普及を推進することが重要です。例えば、太陽光発電や風力発電を活用することで、エネルギー供給を多様化し、化石燃料への依存を減らすことが期待できます。第二に、農業分野や都市開発におけるエネルギー効率化を進めることも欠かせません。第三に、国際的な資金援助や技術移転を活用することで、気候変動適応策を強化しつつ低炭素社会への移行を進めるべきです。特に、国際社会がサヘル地域全体で協力し、広域的なエネルギー政策や環境保護プログラムを支援することが求められます。
結論として、マリのCO2排出量増加は国内の成長や構造的な問題に起因し、地球規模の気候変動に対する挑戦でもあります。この増加傾向を抑制するためには、再生可能エネルギーの普及や効率的なエネルギー利用といった国内での努力に加え、国際機関や他国の協力による支援が不可欠です。持続可能な開発を目指すためには、エネルギー政策や地域協力の強化が急務となっています。