ラオス人民民主共和国のCO2排出量は、1990年の約7,746,042トンから2020年には35,753,546トンに増加しました。この30年間で約4.6倍に増加しており、特に2015年以降の伸びが顕著です。2015年から2019年のわずか4年間で約1.6倍となる急激な増加を記録しています。この急激な増加は、経済成長に伴うエネルギー消費の増大と、主に発電や工業活動に関連していると考えられます。
「ラオス人民民主共和国」のCO2排出量推移
年度 | CO2排出量 |
---|---|
2020年 | 35,753,546トン |
2019年 | 35,349,229トン |
2018年 | 33,294,949トン |
2017年 | 32,073,670トン |
2016年 | 28,300,127トン |
2015年 | 21,851,111トン |
2014年 | 16,434,498トン |
2013年 | 16,003,810トン |
2012年 | 14,981,398トン |
2011年 | 13,930,347トン |
2010年 | 14,079,223トン |
2009年 | 13,054,625トン |
2008年 | 12,116,568トン |
2007年 | 11,678,887トン |
2006年 | 11,142,622トン |
2005年 | 10,698,864トン |
2004年 | 10,741,547トン |
2003年 | 10,260,138トン |
2002年 | 10,006,512トン |
2001年 | 9,683,940トン |
2000年 | 9,322,785トン |
1999年 | 8,822,815トン |
1998年 | 8,871,691トン |
1997年 | 9,283,871トン |
1996年 | 8,969,182トン |
1995年 | 8,817,573トン |
1994年 | 8,554,861トン |
1993年 | 8,123,487トン |
1992年 | 8,047,189トン |
1991年 | 7,690,596トン |
1990年 | 7,746,042トン |
国際連合食糧農業機関(FAO)による最新のデータによれば、ラオス人民民主共和国のCO2排出量は過去30年間で持続的に増加しており、多くの他国と同様に社会経済活動との関連が重要な要因となっています。特に2015年以降、急激な増加傾向が見られるのは、経済成長とエネルギー需要の大幅な拡大が背景にあります。この増大の一部は、国内での水力発電プロジェクトなどのエネルギー開発や輸出産業の拡大に起因しているとされていますが、これに伴う化石燃料消費の増加がCO2排出量を押し上げている可能性が指摘されています。
ラオスのCO2排出量は1990年代には比較的緩やかな増加を示していました。しかし、2000年代から徐々に増加ペースが上がり、2015年には21,851,111トン、2019年には35,349,229トンと急激な伸びを見せています。この期間の増加は約60%にも達しており、産業化が進む国としての特徴的な動きが見られます。このトレンドは、国際的な動向と比べても顕著です。たとえば、日本やドイツのような先進国では同期間に排出量の頭打ちや減少が見られる一方で、ラオスを含む途上国では経済成長に伴い排出量が増大する傾向が確認されています。
ただし、この増加は持続可能な発展(SDGs: Sustainable Development Goals)を推進する上での課題を浮き彫りにしています。CO2排出の増加は気候変動に直接結びつき、地域や国際レベルでの対策が必要とされています。特に、ラオスのように気候危機に脆弱とされる地域では、このような影響が村落や農業に打撃を与えるリスクがあります。
さらなる問題として、地政学的背景も考慮する必要があります。ラオスは中国やタイのようなエネルギー需要が大きい国の隣に位置し、これらの国との間でのエネルギー輸出入が排出量の増大に影響を与える可能性が考えられます。一方で、水力発電の拡大はクリーンエネルギー供給のポテンシャルを持つものの、大規模ダムの建設は生態系への影響や共同河川の利権争いを引き起こすことが懸念されています。
今後の具体的な対策として、ラオス政府はエネルギー政策の転換を行うべきです。まず、再生可能エネルギーのさらなる導入を奨励するとともに、効率的な資源利用を進める政策が必要です。たとえば、太陽光発電や風力発電の普及、あるいは森林保護プログラムの強化を進めることが提案されます。また、国際社会との連携による技術支援や環境保護のためのファンド活用も効果的でしょう。
さらに、ラオスは社会経済的に発展を続けながらも、地域間協力を深化させることが重要です。ASEAN(東南アジア諸国連合)の枠組みを活用し、他国と協調して気候変動対策を講じるべきです。特に、共同でのクリーンエネルギー開発や二酸化炭素の削減目標に向けた技術的・資金的なサポートはラオスにとっての重要な課題解決の鍵となるでしょう。
全体として、ラオスの経験は、発展途上国の多くが直面するジレンマを如実に示しています。すなわち、持続的な開発と環境保全を両立させるためには、明確な政策目標と国際的支援の統合が必要です。