国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ヨルダンのCO2排出量は1990年の13,043,643トンから2020年の27,209,369トンへと大きく増加しました。特に2000年代中盤から2014年にかけて急激な増加傾向がみられましたが、2016年以降は減少傾向も見られます。2020年の排出量は2014年のピーク時である33,065,431トンと比較して約18%減少しています。
「ヨルダン」のCO2排出量推移
年度 | CO2排出量 |
---|---|
2020年 | 27,209,369トン |
2019年 | 28,334,715トン |
2018年 | 27,863,783トン |
2017年 | 33,250,240トン |
2016年 | 31,544,390トン |
2015年 | 32,720,510トン |
2014年 | 33,065,431トン |
2013年 | 30,676,970トン |
2012年 | 30,291,793トン |
2011年 | 27,498,179トン |
2010年 | 26,390,463トン |
2009年 | 26,963,101トン |
2008年 | 26,352,899トン |
2007年 | 26,539,156トン |
2006年 | 25,316,851トン |
2005年 | 25,076,235トン |
2004年 | 23,118,295トン |
2003年 | 21,197,932トン |
2002年 | 20,503,641トン |
2001年 | 19,441,639トン |
2000年 | 18,911,545トン |
1999年 | 18,061,530トン |
1998年 | 17,959,725トン |
1997年 | 17,714,058トン |
1996年 | 17,346,384トン |
1995年 | 16,751,225トン |
1994年 | 16,601,773トン |
1993年 | 15,185,013トン |
1992年 | 15,190,974トン |
1991年 | 12,798,233トン |
1990年 | 13,043,643トン |
ヨルダンのCO2排出量推移を振り返ると、1990年代から継続的な増加が見られ、特に2000年代中盤には急激な伸びを記録しています。2012年から2014年にかけて記録的な排出量に達し、33,065,431トンを記録した2014年が最大となっています。一方で2016年以降、特に2018年以降は緩やかな減少が確認され、その背景には国内での経済活動の変化やエネルギー政策の影響、さらには2020年には新型コロナウイルスによる経済停滞が関連していると考えられます。
このデータから読み取れる課題として、ヨルダンは長期にわたりCO2排出量が増加してきたことが挙げられます。これは、同国が経済拡大や都市化を進める中で、化石燃料に大きく依存したエネルギー消費構造をとってきたためと考えられます。また、人口増加といった社会的要因も排出量の増加を後押ししてきた要因の一つです。
ヨルダンの地政学的な文脈を考えると、エネルギー資源の多くを輸入に頼る状況が影響しています。近隣諸国との関係や中東地域特有の不安定な情勢がエネルギー政策の柔軟性を制限し、再生可能エネルギーへの転換を進めるうえでの一つの障壁となっている可能性があります。ただし、同国は太陽光や風力といった再生可能エネルギー源に恵まれており、これを積極的に活用することで排出量削減に寄与できる余地があります。
他国との比較でみると、ドイツやイギリスなどの先進国は、産業のエネルギー効率向上や再生可能エネルギーの導入を進めることでここ10年以上排出量を減少させています。一方で、日本ではエネルギー需要の高さに起因して依然としてCO2排出量が多い状態にあり、韓国や中国では都市化と経済成長に伴って排出量が上昇しています。ヨルダンの現状は、こうした経済成長途上の国々と類似する部分が見られるものの、日本や欧米諸国で実施されているような政策を取り入れることで持続可能な発展を目指すことが可能です。
将来的にヨルダンが取り組むべき課題として、まずは国内のエネルギー構造の転換が挙げられます。具体的には太陽光発電や風力発電の導入を加速することが重要です。同時に、省エネルギー技術の導入や産業の効率化を進める必要があります。これにより、エネルギー消費量そのものを抑え、CO2排出量削減と環境保護を両立することが可能です。また、国際社会との協力を通じて技術援助や資金の確保を目指し、再生可能エネルギー分野でリーダーシップを発揮することも一つの方向性となり得ます。
最後に、政策の安定性を確保するため、ヨルダン政府にはエネルギー政策の中長期計画の策定と実行が求められます。これは他国の成功事例を参考にしつつ、ヨルダンの地理的条件や経済的基盤に合わせた現実的な計画を採用することで実現可能です。国際的な努力と協力を通じて、同国が持続可能で低炭素な社会を構築する一助になることを期待します。