Food and Agriculture Organization(FAO)が発表した最新データによると、ハイチの二酸化炭素排出量は1990年以降増加傾向にあります。1990年の排出量は6,489,223トンでしたが、2020年には15,830,554トンと約2.4倍に増加しました。この間、特に2005年以降の増加ペースが顕著であり、経済活動の変化やエネルギー利用の増大が影響していると考えられます。ただし、2020年には新型コロナウイルス感染症の影響による経済停滞が見られ、2019年の16,010,687トンからやや減少する動きも記録されています。
「ハイチ」のCO2排出量推移
年度 | CO2排出量 |
---|---|
2020年 | 15,830,554トン |
2019年 | 16,010,687トン |
2018年 | 15,203,377トン |
2017年 | 15,198,592トン |
2016年 | 15,103,906トン |
2015年 | 14,807,742トン |
2014年 | 14,390,928トン |
2013年 | 13,811,511トン |
2012年 | 13,467,895トン |
2011年 | 13,160,402トン |
2010年 | 12,929,452トン |
2009年 | 12,908,274トン |
2008年 | 12,791,217トン |
2007年 | 12,629,205トン |
2006年 | 12,126,264トン |
2005年 | 11,926,288トン |
2004年 | 9,522,543トン |
2003年 | 9,210,408トン |
2002年 | 9,280,949トン |
2001年 | 9,038,056トン |
2000年 | 8,575,070トン |
1999年 | 8,358,302トン |
1998年 | 8,191,060トン |
1997年 | 8,243,831トン |
1996年 | 7,802,046トン |
1995年 | 7,468,495トン |
1994年 | 6,692,474トン |
1993年 | 6,894,540トン |
1992年 | 7,100,452トン |
1991年 | 6,736,632トン |
1990年 | 6,489,223トン |
ハイチのCO2排出量推移を振り返ると、安定的な増加傾向が認められます。1990年から2000年の10年間で、排出量は年間6,489,223トンから8,575,070トンまで増加しました。この時期は全体的に緩やかな増加がみられましたが、2005年以降は急速に増加が加速し、特に2010年には12,929,452トン、2019年には16,010,687トンという高水準に達しました。この急増には、化石燃料の利用拡大と森林伐採による自然吸収能力の低下が関係していると推測されます。ハイチはエネルギー供給において主に伝統的なバイオマス燃料(木材)に依存しており、これが森林破壊と排出の増加を引き起こしている一因となっています。
2020年に排出量が15,830,554トンに若干減少した背景には、新型コロナウイルス感染症のパンデミックによる経済活動の減速が影響していると考えられます。多くの他国でも同様の減少傾向が観察されており、ハイチもその例外ではありませんでした。しかしこれが一時的な現象である可能性が高く、正常化後には成長傾向が再び現れることが懸念されています。
地域的課題として、ハイチではエネルギーインフラが脆弱であり、電化率が低い一方で、木材の燃焼に大きく依存することがCO2排出量の増加に拍車をかけています。また、森林伐採による土壌劣化や洪水リスクの上昇といった環境問題をもたらしており、全体的な生態系のバランスが崩れつつある点も問題視されています。地政学的に見ると、ハイチは政治不安や災害復旧活動において国際社会の支援を受ける位置づけにあり、これらが持続可能な環境政策の導入を難しくしている背景があります。
今後の課題としては、経済活動を拡大しつつもCO2排出量を抑制するために、クリーンエネルギーの導入が不可欠です。太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーの活用を促進し、バイオマス依存からの脱却を進めることが求められます。また、持続可能な森林管理や植林プロジェクトを通して、炭素吸収能力の回復を図る必要があります。このほかにも国際的な支援を活用し、技術や資金源を確保してエネルギーの多様化を進めることが重要です。
結論として、ハイチのCO2排出量増加は経済活動、森林破壊、エネルギー利用構造の複合的な要因が絡む結果です。これを抑制するためには、国際的な枠組みの中で整合性のある政策を策定し、再生可能エネルギーへの転換を主軸とした取り組みが急務です。同時に、長期的な視点で環境保全と経済成長を両立させる戦略を打ち出すことが重要です。