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アルゼンチン

Argentina

アルゼンチンのCO2排出量推移

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、アルゼンチンのCO2排出量は1990年以降、全体的に増加傾向を示しています。1990年の275,966,557トンから2008年の377,847,648トンに急増し、その後も高水準を保ちながら推移しました。2019年以降はやや減少傾向に転じ、2020年には357,204,630トンとなっています。一時的な減少は新型コロナウイルス(COVID-19)による影響が関係していると考えられます。

「アルゼンチン」のCO2排出量推移

年度 CO2排出量
2020年 357,204,630トン
2019年 365,137,890トン
2018年 376,449,847トン
2017年 379,196,170トン
2016年 374,999,636トン
2015年 372,132,832トン
2014年 368,505,703トン
2013年 366,137,207トン
2012年 365,909,967トン
2011年 360,512,891トン
2010年 355,592,382トン
2009年 356,737,407トン
2008年 377,847,648トン
2007年 366,250,523トン
2006年 367,663,331トン
2005年 350,309,167トン
2004年 347,777,113トン
2003年 322,316,905トン
2002年 299,296,747トン
2001年 303,900,819トン
2000年 311,923,582トン
1999年 313,686,541トン
1998年 301,159,474トン
1997年 303,094,824トン
1996年 296,533,296トン
1995年 293,576,057トン
1994年 284,361,856トン
1993年 278,226,858トン
1992年 286,127,229トン
1991年 279,807,531トン
1990年 275,966,557トン

アルゼンチンのCO2排出量推移を見ると、1990年から2020年にかけて顕著な増加が確認されます。1990年の275,966,557トンから2008年の377,847,648トンに至るまでの18年間で約37%増加しました。この増加は、主に経済成長とそれに伴う工業・輸送分野のエネルギー需要の高まりに起因します。アルゼンチンは農業と牧畜が主要産業であり、それに関連する加工業や燃料使用もCO2排出に寄与しています。

2009年以降は一部の年で減少も見られるものの、全体的には350,000,000トン以上という高水準を維持しています。2020年の排出量の減少は、COVID-19の影響により経済活動が制限されたことが大きな要因として挙げられます。同状況は世界的にも似た傾向を見せており、例えばアメリカやEU加盟国でも大幅なCO2排出量の減少が報告されました。

地域的な観点では、アルゼンチンは南米の中でも比較的工業化が進んだ国であり、同地域の中ではブラジルに次ぐ排出国と言えます。例えば、ブラジルは同期間中も着実に増加を続けており、また人口大国であるインドやエネルギー消費量の多い中国では、さらに急激な増加率が見られる状況です。

一方で、先進諸国では再生可能エネルギーの推進や燃費効率の向上により、比較的低い増加率、または減少傾向も確認されています。例えばドイツやイギリスでは、再生可能エネルギーの普及が進み、工業部門の脱炭素化が進展している状況です。この点で、アルゼンチンも将来的な課題としてエネルギー構造の転換が挙げられるでしょう。

アルゼンチン固有の問題として、温室効果ガスの排出源は電力生産や工業だけでなく、農業・牧畜分野からのメタンガス排出量も大きな割合を占めています。そのため、カーボンニュートラル(排出量実質ゼロ)の目標を掲げる場合は、単に化石燃料の削減だけでなく、農業の効率化や技術革新も重要な柱となります。国内外の研究機関や国際的な支援を活用することで、持続可能な農業技術の導入が可能です。

また、地政学的な背景もアルゼンチンのエネルギー政策に影響を与えます。アルゼンチンは現在、豊富な天然ガス資源を有していますが、これに過度に依存するのはリスクを伴います。国際的な化石燃料需要の縮小や市場価格の変動が、自国経済に負の影響を与えかねないからです。そのため、再生可能エネルギーへの転換や、省エネルギー政策を強化することが長期的な安定と成長につながるでしょう。

結論として、アルゼンチンのCO2排出量の推移は国内の経済構造やエネルギー資源の特性を反映しています。将来的な課題として、農業・牧畜の環境影響を軽減しつつ、工業・輸送のエネルギー効率を向上させ、再生可能エネルギー利用を拡充する必要があります。具体的な対策としては、エネルギー効率の高い技術の導入、再生可能エネルギーの普及促進、そして国際的な枠組みを活用した技術交換が有効です。