プラスチック規制が注目される理由
いま、プラスチックごみは地球規模の課題です。海洋汚染やマイクロプラスチックの拡散が、魚や鳥、人間の健康にも影響を及ぼす可能性が指摘されています。2025年4月時点で、世界各国は環境保護と資源の持続可能性を目指し、プラスチックの使用削減やリサイクル促進に取り組んでいます。この記事では、信頼できる情報をもとに、各国の最新動向や技術革新、個人でできることを分かりやすくお伝えします。
たとえば、国連環境計画(UNEP)によると、毎年800万トン以上のプラスチックが海に流れ込み、海洋生物の命を脅かしています。こうした現状を変えるため、どんな動きが起きているのでしょうか。
世界のプラスチック規制:3つの注目エリア
欧州連合(EU)の先進的な取り組み
EUはプラスチック削減の先駆者です。2019年に始まった「使い捨てプラスチック指令」では、ストローや使い捨てカトラリーなどのプラスチック製品が禁止され、紙や竹製の代替品が普及しました。さらに、2026年8月から適用される「包装・包装廃棄物規則(PPWR)」では、包装ごみの削減やリサイクル可能な素材の使用が義務付けられます。
スーパーでは、プラスチック包装を減らした「ゼロウェイスト」の売り場が増え、消費者の意識も変わりつつあります。EUの公式発表によると、2030年までにプラスチック包装の55%をリサイクルする目標が掲げられています。
アメリカの州ごとの挑戦
アメリカでは、州や市が独自のプラスチック規制を進めています。カリフォルニア州は2022年に「プラスチック汚染防止および包装の生産者責任に関する法案(SB 54)」を導入し、2032年までに使い捨てプラスチックを25%削減する計画です。一方、連邦レベルでは、2023年に提案された「発泡製品さらば法案」が注目を集め、2026年以降、発泡スチロール製の食品容器を禁止する動きがあります。
全米のコーヒーチェーンでは、紙ストローや「ストローなし」の提供が広がり、消費者のライフスタイルも変化しています。米国環境保護庁(EPA)のデータでは、プラスチックごみのリサイクル率は依然として9%程度と低く、さらなる努力が求められています。
日本の循環型社会への一歩
日本は2022年に「プラスチック資源循環促進法」を施行し、プラスチックの設計から廃棄までを見据えた取り組みを進めています。2030年までにバイオマスプラスチックを約200万トン導入し、再生利用を倍増させる目標を掲げています。
コンビニやスーパーでは、プラスチック袋の有料化や紙製容器の導入が進み、消費者もエコな選択を意識するようになりました。
環境と資源:プラスチック問題の核心
海洋と健康への影響
プラスチックごみは、特に海洋環境に深刻なダメージを与えます。5ミリ以下のマイクロプラスチックは、魚や貝を通じて食物連鎖に入り込み、人間の体内にも蓄積するリスクがあります。2024年の科学誌『Nature』の研究では、マイクロプラスチックが人間の血液や肺で検出された事例が報告され、注目を集めました。
海に漂うプラスチックは、ウミガメや海鳥の命を奪うことも。世界自然保護基金(WWF)は、2050年までに海洋プラスチックが魚の量を超える可能性を警告しています。
リサイクルの壁と課題
日本は2022年に「プラスチック資源循環促進法」を施行し、プラスチックの設計から廃棄までを見据えた取り組みを進めています。2030年までにバイオマスプラスチックを約200万トン導入し、再生利用を倍増させる目標を掲げています。
コンビニやスーパーでは、プラスチック袋の有料化や紙製容器の導入が進み、消費者もエコな選択を意識するようになりました。環境省の取り組みにより、プラスチックごみの削減が進んでおり、着実な成果が見られます。
未来を変える技術と国際協力
バイオプラスチックの可能性
植物由来のバイオプラスチックは、石油依存を減らし、環境負荷を下げる有望な選択肢です。日本は、サトウキビやトウモロコシを使ったバイオプラスチックの普及を進め、2030年までに200万トンの導入を目指しています。
すでに、食品容器やレジ袋にバイオプラスチックが使われ、見た目も使い心地も従来のプラスチックとほぼ変わりません。国際エネルギー機関(IEA)の報告では、バイオプラスチック市場は今後10年で3倍に成長すると予測されています。
リサイクル技術の進化
化学的リサイクル技術の進歩により、従来リサイクルが難しかったプラスチックも再利用可能になりつつあります。たとえば、ペットボトルを分解して新たなプラスチック製品や衣類に変える技術が実用化されています。
近年、化学的リサイクルを導入した企業は、リサイクル率を大幅に向上させた事例もあります。この技術が普及すれば、プラスチックごみを大幅に減らせそうです。
世界が手を取り合う動き
プラスチック問題は国境を越えた課題です。国連環境計画(UNEP)は、2025年8月5日から14日にスイス・ジュネーブ(Geneva, Switzerland)で開催される第5回政府間交渉委員会(INC-5.2)で、プラスチック汚染を減らす国際条約の策定を目指しています。
すでに、一部の島国では「プラスチックごみゼロ」を掲げ、ビーチの清掃やプラスチックフリーの観光を推進しています。こうした取り組みは、国際的な協力を後押しする一歩です。
~~私たちにできること~~
世界の取り組みが進む中、私たちの行動も大切です。マイバッグやマイボトルを使い、レジ袋を断る。分別を丁寧に行い、リサイクルを意識する。こうした小さな習慣が、大きな変化を生みます。
たとえば、環境団体によると、マイボトルを1年間使うだけで、ペットボトル約150本分のごみを減らせます。身近なところから始めて、地球に優しい選択をしてみませんか。