なぜエベレスト山頂では水の沸点が低いのか?
1. 沸点と気圧の関係
水は通常100℃で沸騰しますが、これは標準気圧(1気圧=1013hPa)のもとでの話です。実際には、気圧が低くなると水の沸点も下がる性質があります。エベレスト山頂の気圧は約330hPa(地表の約1/3)しかありません。この低圧環境では、水が約71℃で沸騰するのです。
2. 標高が高いほど沸点が下がる
以下の表は、標高ごとの水の沸点の変化を示したものです。
標高(m) | 気圧(hPa) | 沸点(℃) |
---|---|---|
0(海面) | 1013 | 100 |
2,500 | 747 | 91 |
3,776(富士山山頂) | 630 | 88 |
5,000 | 540 | 84 |
8,848(エベレスト山頂) | 330 | 71 |
標高が高くなるにつれ、気圧が下がり、水がより低い温度で沸騰することがわかります。
【おまけ】
日本の富士山(標高3,776m)では気圧が約630hPaとなり、水の沸点は約88℃になります。エベレストほど極端ではないものの、標高が高くなることでお湯の温度が下がる現象が見られます。ただし、富士山は国立公園の特別保護地区に指定されており、指定された場所以外での火気の使用は禁止されています。そのため、登山中の調理には十分な注意が必要です。登山を計画する際は、自治体や関係機関の最新情報を確認しましょう。
エベレスト登山の意外すぎる真実!
1. 山頂での調理は困難
エベレスト山頂付近では、水の温度が上がらないため、食材を十分に加熱できません。そのため、登山者は主に乾燥食品やエネルギーバーなど、火を使わずに食べられる食品を携行します。
2. 低温と低気圧の影響
エベレストの山頂は平均気温が-36℃にもなり、酸素濃度は地上の約1/3しかありません。そのため、登山者は酸素ボンベを持参し、高山病を防ぐために高度順応を慎重に行う必要があります。
3. 体内の水分蒸発が早い
気圧が低い環境では、体内の水分が蒸発しやすく、脱水症状を引き起こすリスクが高まります。特に、呼吸による水分損失が大きいため、登山中の水分補給は不可欠です。
エベレストの過酷な環境
エベレストでは気圧の低さによって水の沸点が大幅に下がり、71℃で沸騰するという驚きの現象が起こります。この影響で調理が困難になったり、脱水症状が起こりやすくなったりと、登山者にとっては多くの課題が伴います。次にエベレストの映像を目にしたときは、そんな過酷な環境を思い出してみてください。