基本情報
遺跡名称 | 中世墓碑ステチュツィの墓所群 |
遺跡名称(英語) | Stećci Medieval Tombstone Graveyards |
国名 | ボスニア・ヘルツェゴビナ |
登録区分 | 文化遺産 |
登録基準(登録基準とは) | (iii)(vi) |
世界遺産登録年 | 2016年 |
資産面積 | 49.15ha |
世界遺産「中世墓碑ステチュツィの墓所群」の登録理由や特徴について
「Stećci Medieval Tombstone Graveyards(中世のステチ墓地)」は、ボスニア・ヘルツェゴビナ、西セルビア、西モンテネグロ、中央および南クロアチアに位置する28の遺跡からなる世界遺産です。この地域の特徴的な中世の墓石、つまり「ステチ」を代表しています。これらの墓地は、12世紀から16世紀にかけて築かれ、ヨーロッパ中世の一般的な習慣に従って整然と横に並べられています。
ステチは主に石灰岩から彫られており、その表面には多様な装飾的なモチーフや碑文が刻まれています。これらの装飾は、ヨーロッパ中世のアイコノグラフィーにおける連続性を示す一方で、この地域特有の伝統をも反映しています。具体的には、宗教的な象徴や日常生活のシーン、さらには抽象的なデザインなどが見られ、これらは中世における人々の信仰や文化、生活様式を物語っています。
遺体を埋葬する際には、ステチが重要な役割を果たしており、これらの墓石は故人の社会的地位や職業、さらには個人的な信仰を示す手段でした。特に、貴族や有力者の墓には、より豪華で複雑な装飾が施されることが多く、周囲の墓と区別されました。これにより、ステチは単なる墓石ではなく、地域社会の歴史や価値観を反映する文化的な象徴となっています。
世界遺産としての「Stećci Medieval Tombstone Graveyards」は、その独自性と保存状態の良さから評価されています。これらの墓地は、ヨーロッパの墓石文化の発展を理解する上で貴重な資料を提供しており、特に中世の東南ヨーロッパ地域における死後の世界観や霊的信念の理解に寄与しています。
現在、この遺産は観光客にとっても魅力的な目的地となっており、訪れる人々は中世の歴史や文化遺産に触れることができます。ステチは、その美しさだけでなく、深い歴史的背景を持つため、訪問者にとって思索を促す場所ともなっています。地域経済にとっても、観光業は重要な要素であり、地元の人々は訪問者を迎え入れることによって、伝統や文化を広める機会を得ています。
「中世墓碑ステチュツィの墓所群」はどこにある?