ランゲル島保護区の自然生態系

ヨーロッパ / ロシア連邦 / 自然遺産

基本情報

遺跡名称	ランゲル島保護区の自然生態系
遺跡名称(英語)	Natural System of Wrangel Island Reserve
国名	ロシア連邦
登録区分	自然遺産
登録基準(登録基準とは)	(ix)(x)
世界遺産登録年	2004年
資産面積	1916300ha

世界遺産「ランゲル島保護区の自然生態系」の登録理由や特徴について

ラングル島自然保護区（Natural System of Wrangel Island Reserve）は、北極圏の真上に位置する特異な生態系を有する世界遺産です。この地域は、ラングル島（面積7,608 km²）、ヘラルド島（面積11 km²）、およびその周辺水域を含んでいます。ラングル島は、第四紀の氷河時代に氷河に覆われることがなかったため、この地域の生物多様性は非常に高く評価されています。

ラングル島は、世界最大の太平洋ゴマフアザラシの生息地であり、また、極地で最も多くの北極グマの巣穴が見られる場所としても知られています。この島は、メキシコから移動するオオクジラの重要な餌場であり、さらに多くの絶滅危惧種を含む100種の渡り鳥の最北端の繁殖地でもあります。これにより、ラングル島は国際的にも重要な生態系としての地位を確立しています。

また、ラングル島には417種以上の維管束植物が確認されており、これは同規模の他の北極ツンドラ地域の2倍以上の数です。そして、これらの植物の中には広範囲に分布している大陸型の種もあれば、最近の交雑によって生まれた種もあり、さらに23種はこの島特有の固有種とされています。これらの豊かな植物相は、島の生態系の複雑さとその保全の重要性を強調しています。

ラングル島自然保護区は、動植物の保護に加え、地域の生態系の健全性を保つために、多くの研究活動が行われており、学術的に貴重な資料や情報を提供しています。このように、ラングル島は自然の美しさだけでなく、科学的研究にも寄与しているのです。

保護区内の環境は非常に厳しいですが、その自然のバラエティは観光客や研究者にとって極めて興味深いものとなっています。訪れる人々は、北極圏特有の風景や野生動物に触れることができ、貴重な体験を得ることでしょう。自然の生態系を守ることの重要性を理解することは、おそらくこの地を訪れるすべての人にとって意義深いことです。ラングル島自然保護区は、その独特な環境と生物多様性により、地球上の貴重な自然遺産として保護され続けるべき場所です。