基本情報
遺跡名称 | サラズムの遺跡 |
遺跡名称(英語) | Proto-urban Site of Sarazm |
国名 | タジキスタン |
登録区分 | 文化遺産 |
登録基準(登録基準とは) | (ii)(iii) |
世界遺産登録年 | 2010年 |
資産面積 | 15.93ha |
世界遺産「サラズムの遺跡」の登録理由や特徴について
サラズム(Sarazm)は、「土地の始まり」を意味する言葉であり、中央アジアにおける人間の集落の発展を証明する考古学的遺跡です。この遺跡は、紀元前4千年紀から紀元前3千年紀末までの間に形成されました。サラズムは、中央アジアにおける初期のプロト・アーバニゼーション(都市化の初期段階)の発展を示す重要な遺跡であり、地域の集落の中心地の一つとされています。
サラズムは、遊牧民による牛の飼育に適した山岳地帯と、初期の定住民による農業や灌漑の発展に適した広大な谷間との間に位置しています。この地理的位置は、集落の発展にとって非常に重要であり、農耕と牧畜の両方が共存する環境を提供しています。これは、当時の人々が自然環境を利用して生計を立て、社会を形成していく過程を物語っています。
また、サラズムは商業や文化の交流、さらには広範な貿易関係の存在も示しています。この遺跡からは、中央アジアやトルクメニスタンの草原地帯、イラン高原、インダス渓谷、そしてインド洋に至るまでの広い地域との関係性が明らかになっており、当時の人々がどのようにして経済的・文化的ネットワークを構築していたかを理解する手がかりとなります。
この遺跡が持つ重要性は、単に展示された物理的な構造だけでなく、当時の人間社会の多様性や複雑さ、そして彼らがどのように環境に適応し、相互に影響を及ぼしながら生きていたのかという点にもあります。サラズムは、これらの要素が結びついた例として、考古学的遺産としての価値が高いとされています。
UNESCOの世界遺産リストにも登録されているサラズムは、過去の文明を理解する上で欠かせない場であり、同時に教育や観光の重要な資源でもあります。この遺跡を訪れることで、訪問者は古代の人々の生活や文化、商業活動を肌で感じることができ、歴史の深さを実感することができるでしょう。サラズムは、中央アジアの人類の歴史を知るための窓口として、未来の世代に向けてその価値を伝え続けています。
「サラズムの遺跡」はどこにある?