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エチオピアのマンゴー・マンゴスチン・グアバ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年7月更新の最新データによると、エチオピアのマンゴー、マンゴスチン、グアバの生産量は1998年には3,500トンだったものの、2023年には143,986トンまで増加しました。大きな成長が見られる一方で、一部の年度では増減や停滞が観察されており、特に2010年代後半から2020年代にかけては生産量が不安定な傾向があります。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 143,986
-5.73% ↓
2022年 152,731
5.25% ↑
2021年 145,110
33.45% ↑
2020年 108,734
-0.2% ↓
2019年 108,948
-20.46% ↓
2018年 136,980
26.62% ↑
2017年 108,181
3.15% ↑
2016年 104,874
-7.13% ↓
2015年 112,923
19.5% ↑
2014年 94,493
29.38% ↑
2013年 73,037
4.71% ↑
2012年 69,751
-4.13% ↓
2011年 72,753
10.82% ↑
2010年 65,652
0.05% ↑
2009年 65,620
48.6% ↑
2008年 44,158
-8.83% ↓
2007年 48,436
-22.64% ↓
2006年 62,611
14.4% ↑
2005年 54,729
81.39% ↑
2004年 30,172
3.23% ↑
2003年 29,228
16.91% ↑
2002年 25,000
26.24% ↑
2001年 19,803
32.02% ↑
2000年 15,000
130.77% ↑
1999年 6,500
85.71% ↑
1998年 3,500 -

エチオピアのマンゴー、マンゴスチン、グアバの生産量は、全体的に急激な成長を遂げています。1998年にはわずか3,500トンだった初期値が、特に2000年代半ば以降の急速な拡大により2023年には143,986トンと、25年間で約41倍の規模に達しました。この成長は、農業技術の改良、農地の拡大、政府や国際機関からの支援による果樹栽培の強化などが背景にあると考えられます。特に2014年以降、生産量が加速度的に増える傾向が見られ、食品加工業の進展や輸出市場の拡大が影響を及ぼしています。

しかし、一貫して増加の一途をたどったわけではなく、特定の年度では生産量が減少または停滞しています。例えば2006年と2007年、2018年以降のいくつかの年は増減が見られました。こうした変動には、気候変動による天候不順や災害、農業インフラの整備不十分さ、さらには地域紛争が生産に影響を及ぼした可能性があります。また、2019年以降からのパンデミックによる輸送網の混乱や人材の不足も、間接的に原因の一つとして考えられます。このような外的要因により、エチオピアの果物生産は安定性を欠く傾向が見られるのが現状です。

他国との比較を行うと、中国やインドなどの主要生産国に比べれば、生産量は依然として小規模にとどまっています。ただし、エチオピアが属するアフリカ地域全体では比較的高い生産量を誇り、地域リーダーとしての役割を果たしています。周辺国と連携を深めることで、輸出市場の活用がさらに成功する可能性があります。加えて、グローバル市場における新興品種の需要増にも対応した生産体制の構築が重要となるでしょう。

今後の課題として、気候変動対策や水資源管理の強化が挙げられます。マンゴー、マンゴスチン、グアバはいずれも水分を多く必要とする作物であるため、持続可能な灌漑技術の普及や効率的な水管理がますます求められます。また、加工食品の生産体制を強化して付加価値の高い果物製品を生み出すことも、国際市場競争力を高めるうえで有効な戦略の一つです。これにより、生産量だけでなくエチオピア国内での雇用創出にも貢献することが可能です。

さらに、地域間協力の強化も対策として期待されています。アフリカ東部では農業生産における地政学的リスクが多く、特にエチオピアは隣国との水利問題や治安課題が農業発展を阻害する要因となることがあります。こうした問題を解決するために、国際的な協力を背景とした農業参入の枠組みづくりや、地域レベルでの政策調整が急務といえます。

これらを総合的に考えると、エチオピアは今後も果物生産において成長が期待される一方で、生産の安定性を保つためには気候変動や地政学的問題に対応する具体的な政策が欠かせません。国だけでなく、地域全体および国際社会との連携を深めながら、持続可能な農業基盤の構築と市場拡大を図るべきです。特に輸送インフラの改善や研究開発への投資強化によって、この生産量のさらなる拡大が確実なものとなるでしょう。