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コンゴのプランテン・調理用バナナ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新した最新データによると、コンゴのプランテン・調理用バナナの生産量は、1961年の27,000トンから2023年の84,831トンまで着実に増加してきました。1990年代初頭から2000年代にかけては大幅な年次増加が見られましたが、2010年代後半から安定した水準に達しており、2022年の生産量は84,861トンとなっています。過去数十年における生産量の推移は、増加と安定期を繰り返しており、農業政策や社会経済条件、地政学的要因がその背景として挙げられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 84,831
-0.03% ↓
2022年 84,861
0.09% ↑
2021年 84,783
0.09% ↑
2020年 84,705
0.16% ↑
2019年 84,565
-0.17% ↓
2018年 84,708
-0.06% ↓
2017年 84,762 -
2016年 84,765
-0.2% ↓
2015年 84,933
-0.29% ↓
2014年 85,182
-0.23% ↓
2013年 85,376
-0.16% ↓
2012年 85,509
4.6% ↑
2011年 81,750
0.8% ↑
2010年 81,100
0.93% ↑
2009年 80,350
2.23% ↑
2008年 78,600
7.67% ↑
2007年 73,000
4.42% ↑
2006年 69,908
7.55% ↑
2005年 65,000
5.92% ↑
2004年 61,365
4.4% ↑
2003年 58,779
-2.04% ↓
2002年 60,000
-15.49% ↓
2001年 71,000
0.99% ↑
2000年 70,304
3.94% ↑
1999年 67,638
-4.46% ↓
1998年 70,793
-7.39% ↓
1997年 76,438
1.24% ↑
1996年 75,500
-1.72% ↓
1995年 76,821
-1.07% ↓
1994年 77,648
3.62% ↑
1993年 74,936
2.6% ↑
1992年 73,034
4.1% ↑
1991年 70,155
3.48% ↑
1990年 67,798
10.07% ↑
1989年 61,597
-1.9% ↓
1988年 62,790
-1.8% ↓
1987年 63,944
8.09% ↑
1986年 59,158
8.59% ↑
1985年 54,476
-2.15% ↓
1984年 55,673
0.93% ↑
1983年 55,162
7.19% ↑
1982年 51,462
-10.85% ↓
1981年 57,726
3.9% ↑
1980年 55,560
38.9% ↑
1979年 40,000
14.61% ↑
1978年 34,900
1.16% ↑
1977年 34,500
0.88% ↑
1976年 34,200
1.18% ↑
1975年 33,800
2.42% ↑
1974年 33,000
3.13% ↑
1973年 32,000 -
1972年 32,000
10.34% ↑
1971年 29,000 -
1970年 29,000 -
1969年 29,000 -
1968年 29,000 -
1967年 29,000 -
1966年 29,000
3.57% ↑
1965年 28,000 -
1964年 28,000 -
1963年 28,000
3.7% ↑
1962年 27,000 -
1961年 27,000 -

コンゴではプランテン、いわゆる調理用バナナが重要な食料作物の一つとして位置付けられています。その生産量は、1961年の27,000トンから2023年の84,831トンまで約3倍に増加しました。この長期的な増加傾向の背後には、人口増加に伴う国内需要の拡大や農業技術の改善、国際市場の需要拡大の影響が見られます。他方で、1970年代から1980年代にかけては穏やかな成長が続きましたが、1980年代後半から1990年代にかけて、より急激な生産量の成長が顕著になりました。特に1990年の67,798トンから1994年の77,648トンへと急上昇した点は、農業政策の変更や輸送インフラの改善、需要の変動といった複数の要因が影響していると考えられます。

しかし、2002年には60,000トン、翌年の2003年にはさらに58,779トンまで落ち込む一時的な減少が見られます。この時期の減少要因には、国内での政治的な不安定さや農業生産の効率性低下が挙げられます。特に、地域的な衝突や経済混乱が農作物の生産と流通に悪影響を及ぼしたと考えられます。それ以降、2000年代後半から2010年代にかけては生産量は回復基調に乗り、2010年代半ばには85,000トン前後の安定した水準を維持しています。

近年、コンゴのプランテン生産量は比較的安定している一方で、今後取り組むべき課題も明らかです。一つ目の課題は、農業技術やインフラの一層の近代化です。現在の生産量が安定している要因は、小規模農家の努力や既存の農業技術によるところが大きいですが、気候変動の影響を受けやすい農産物において、気象リスクへの耐性を強化するための灌漑システムの整備や品種改良が不可欠です。二つ目の課題は、生産過程での効率的なサプライチェーンの構築です。特に農作物の保存や輸送における課題が指摘されており、これらは市場競争力の向上のために重要となります。

また、地政学的背景も無視できません。コンゴでは長年にわたり内戦や紛争が断続的に発生しており、こうした社会不安要因が農業生産に直接・間接的な影響を及ぼしています。地域内の安定化政策は、プランテンの生産安定化にも寄与すると考えられます。また、同地域で広がる自然災害リスクへの対応として、早期警報システムや被害低減のための政策的支援が必要です。

他国と比較する際、日本やヨーロッパ諸国では気候条件上、プランテンの生産は限定的であるため主に輸入に依存しています。これに対して、コンゴのように自国で生産基盤を持つ国では、国内消費用や物流市場への供給で優位性があります。そのため、コンゴが国内支援政策を充実させ、アフリカ大陸内の他国と協力体制を強化することが、経済的な視点からも地域の安定に大きく寄与すると予測されます。

結論として、コンゴにおけるプランテンの生産量は長期的にみると成長を達成してきましたが、今後、持続的な生産を確保しながらさらなる生産性向上を目指す必要があります。具体的には、農業支援政策、国際協力の推進、気候変動対策、そして地政学的リスク軽減への取り組みが重要です。国際機関や周辺諸国との連携も含め、これらの課題に対処することで、コンゴの農業分野の持続的発展が期待されます。