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モンゴルの大麦生産量推移(1961年~2023年)

モンゴルの大麦生産量の推移データを見ると、1961年から2023年までの間で生産量が大きく変動していることがわかります。特に1980年代中盤には約14万トンに達するピークが見られた一方で、その後の1990年代以降は急激な減少が発生し、最低値では1999年の約1,400トンまで落ち込みました。2000年代後半以降はいくらか回復が見られましたが、安定した成長軌道には至っておらず、最新の2023年には約6,500トンの生産量となっています。この変動には、経済体制の転換、気候条件、農業技術の導入状況が複雑に影響していると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 6,518
57.98% ↑
2022年 4,126
-64.7% ↓
2021年 11,687
261.29% ↑
2020年 3,235
28.78% ↑
2019年 2,512
6.67% ↑
2018年 2,355
39.05% ↑
2017年 1,694
-73.88% ↓
2016年 6,483
163.54% ↑
2015年 2,460
-71.16% ↓
2014年 8,531
93.58% ↑
2013年 4,407
-25.62% ↓
2012年 5,925
35.8% ↑
2011年 4,363
1% ↑
2010年 4,320
134.27% ↑
2009年 1,844
32.28% ↑
2008年 1,394
-64.33% ↓
2007年 3,908
-52.81% ↓
2006年 8,282
314.1% ↑
2005年 2,000
11.11% ↑
2004年 1,800
-6.98% ↓
2003年 1,935
7.68% ↑
2002年 1,797
-0.17% ↓
2001年 1,800
7.66% ↑
2000年 1,672
16.6% ↑
1999年 1,434
-40.6% ↓
1998年 2,414
15.95% ↑
1997年 2,082
-49.55% ↓
1996年 4,127
-1.74% ↓
1995年 4,200
-31.15% ↓
1994年 6,100
-72.65% ↓
1993年 22,300
-36.29% ↓
1992年 35,000
-27.08% ↓
1991年 48,000
-46.01% ↓
1990年 88,900
-20.63% ↓
1989年 112,000
11.74% ↑
1988年 100,230
-1.71% ↓
1987年 101,978
-30.06% ↓
1986年 145,800
10.12% ↑
1985年 132,400
51.49% ↑
1984年 87,400
-1.58% ↓
1983年 88,800
31.36% ↑
1982年 67,600
106.1% ↑
1981年 32,800
-6.82% ↓
1980年 35,200
-36% ↓
1979年 55,000
13.17% ↑
1978年 48,600
-3.76% ↓
1977年 50,500
-5.96% ↓
1976年 53,700
-16.22% ↓
1975年 64,100
87.98% ↑
1974年 34,100
-28.81% ↓
1973年 47,900
176.88% ↑
1972年 17,300
-14.36% ↓
1971年 20,200
124.44% ↑
1970年 9,000
119.51% ↑
1969年 4,100
-31.67% ↓
1968年 6,000
-46.43% ↓
1967年 11,200
25.84% ↑
1966年 8,900
3.49% ↑
1965年 8,600
-24.56% ↓
1964年 11,400
-5% ↓
1963年 12,000
-29.41% ↓
1962年 17,000
54.55% ↑
1961年 11,000 -

モンゴルにおける大麦生産は過去60年以上にわたり、際立った変動を示しています。この変動には複数の要因が絡んでおり、それらを総合的に理解することが重要です。大麦は主に耐寒性や乾燥に強い穀物としてモンゴルの気候条件に適合しており、主食や家畜飼料として広く利用されています。しかし、このデータには厳しい自然環境や経済的、地政学的要因が大きな影響を及ぼしていることが読み取れます。

大麦生産量が大きく増加した1980年代には、ソビエト連邦との緊密な協力体制のもとで、インフラや農業技術が向上したことが影響したと考えられます。例えば、国営農場の効率的運営や化学肥料・農機具の供給体制が整っていたことで、大規模かつ安定した生産が可能となりました。しかし、1990年代の市場経済への移行は、農業生産に深刻な影響を与えました。ソビエト崩壊に伴う資金援助や農業支援の激減が要因となり、特に1994年以降の生産量は急落しました。この時期には大麦生産がモンゴル全体の課題となり、農業部門の脆弱性を露呈しました。

さらに、モンゴルのような厳しい気候の地域では、気象条件も生産量に大きな影響を及ぼします。特に干ばつの頻発や気温の急激な変化は、大麦の生育を阻害する重要な要素です。一部のデータでは2000年代後半から近年の生産回復の兆しが見られるものの、大麦の収穫量は依然として年ごとに大きく変動しています。この不安定性は、気候変動の影響がさらに顕著になっていることを示唆しています。

現在の課題として挙げられるのは、持続可能な農業技術の導入が限定的であることです。近隣諸国である中国やロシアと比較しても、モンゴルの農業インフラは未発達であり、最新の灌漑技術や効率的な栽培方法の導入が進んでいない現状が生産性の低迷につながっています。また、地域紛争や新型コロナウイルスの影響による物流の停止も、農業資材の調達や収穫後の輸送に悪影響を及ぼしました。

将来の大麦生産量の安定と向上には、具体的かつ多面的な対策が必要です。例えば、政府主導で気候変動適応型の耐乾性品種の開発を進めることが挙げられます。また、国際協力の強化も重要であり、特に技術移転の促進や資金援助に注力すれば、中長期的な生産量向上につながるでしょう。さらに、農家への融資や補助金制度を充実させることで、小規模農家も近代的な農業装備を利用できる環境を整備する必要があります。

地政学的な背景を考慮すると、中国やロシアとの協調的な貿易関係の構築が鍵となります。特にモンゴルは内陸国であるため、隣国との輸出入ルートの確保が安定的な生産と市場アクセスを支える重要な要素です。一方で、気候変動の長期的影響に対応するためには、国際的な取り組みへの参加も欠かせません。

結論として、モンゴルの大麦生産量の安定化には、農業政策や技術革新、国際協力が一体となった対応が不可欠です。将来的にはこれらの課題を克服し、穀物自給率の向上や地域経済の発展に寄与できる生産体系の構築が望まれます。モンゴルのみならず、国際社会全体がこれを後押しすることが求められます。