国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ガーナにおけるキュウリ類の生産量は、1987年から2023年にかけて全体的に増加傾向を示しています。特に、1992年以降に顕著な成長が見られ、2000年代には比較的安定した生産量の拡大が確認できます。しかし、2010年代から2023年にかけては、生産量が横ばい、もしくは緩やかな増減を繰り返しています。このデータは、ガーナの農業技術や外部環境の影響を直接映し出していると考えられます。
ガーナのキュウリ類生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 132 |
-2.24% ↓
|
2022年 | 135 |
1.35% ↑
|
2021年 | 133 |
-2.48% ↓
|
2020年 | 136 |
1.02% ↑
|
2019年 | 135 |
5.79% ↑
|
2018年 | 127 |
-0.28% ↓
|
2017年 | 128 |
-1.97% ↓
|
2016年 | 130 |
-3.04% ↓
|
2015年 | 134 |
3.38% ↑
|
2014年 | 130 |
2.73% ↑
|
2013年 | 127 |
5.45% ↑
|
2012年 | 120 |
-0.82% ↓
|
2011年 | 121 |
-3.21% ↓
|
2010年 | 125 |
10.59% ↑
|
2009年 | 113 |
7.26% ↑
|
2008年 | 105 |
5.38% ↑
|
2007年 | 100 |
25% ↑
|
2006年 | 80 |
9.32% ↑
|
2005年 | 73 |
8.33% ↑
|
2004年 | 68 |
11.93% ↑
|
2003年 | 60 |
11.7% ↑
|
2002年 | 54 |
12.31% ↑
|
2001年 | 48 |
18.09% ↑
|
2000年 | 41 |
4.14% ↑
|
1999年 | 39 |
17.8% ↑
|
1998年 | 33 |
13.5% ↑
|
1997年 | 29 |
26.45% ↑
|
1996年 | 23 |
34.69% ↑
|
1995年 | 17 |
52.98% ↑
|
1994年 | 11 |
100.89% ↑
|
1993年 | 6 |
77.46% ↑
|
1992年 | 3 |
117.24% ↑
|
1991年 | 1 |
-96.78% ↓
|
1990年 | 45 |
-10% ↓
|
1989年 | 50 | - |
1988年 | 50 | - |
1987年 | 50 | - |
ガーナにおけるキュウリ類の生産量に関する統計は、この国の農業の進展とその課題を理解するための重要な手がかりを提供しています。当初の1987年から1989年には生産量が50トンで横ばいでしたが、1990年の45トンを境に急激な減少が見られ、その後1991年の1トンという著しい低下が記録されています。このような急減は、天候不順、農業政策の不備、あるいは土地や資源の適切な管理が行われなかった可能性が示唆されます。その後、1992年以降は徐々に回復しており、1994年以降の堅調な成長が見られます。
2000年以降は、相対的に安定した生産量の増加が確認されており、2007年には100トンを突破しました。これは、インフラ整備、農業技術の導入、あるいは政府やNGOによる農業支援プログラムの成果である可能性があります。ガーナの農業振興において重点を置いた農家教育や灌漑設備の導入などが、この時期の生産量増加に寄与したことが考えられます。
一方で、2010年代後半以降のデータを見ると、一時的に生産量が減少したり横ばいに転じたりする傾向が見られます。2013年の127トン以降、2023年時点では132トンと、明らかに伸びが鈍化しています。これには、土壌肥沃度の低下、気候変動の影響、あるいは市場価格の停滞や輸送インフラの未整備など、複数の要因が影響していると考えられます。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行により、農業生産が一部の年で影響を受けた可能性も否定できません。
ガーナ国内外の比較では、アフリカ地域内でのキュウリ類生産は全体的にまだ規模が小さく、例えば同地域の主要生産国である南アフリカの生産量と比較すると、ガーナの生産規模はマイナーな位置づけにあると言えます。また、アジア地域の主要キュウリ生産国である中国やインドと比べると、その差は圧倒的です。2023年の中国のキュウリ生産量が数千万トンに達していることを考えると、ガーナにおけるキュウリ産業の成長にはまだ多くの課題が残されています。
未来へ向けて、いくつかの具体的な取り組みが必要と認識されます。まず、農業生産技術の一層の向上が挙げられます。多収量品種の導入や土壌分析を基にした適切な施肥計画の作成は効果的です。さらに、灌漑インフラを充実させることで、乾季における栽培の効率を大幅に向上させることが期待されます。次に、農家への経済的支援や教育を通じて、より多くの小規模農家がキュウリ類の栽培に参加できる環境整備が重要です。
加えて、需要拡大のための国内外市場の確保も重要な課題です。冷蔵輸送技術を活用し、ガーナ国内市場のみならず近隣諸国に向けた販路を拡大することで、農家の収益性が高まる可能性があります。さらに、気候変動への対応として、耐乾燥性の高い品種の開発を進め、政策面でも気候変動適応戦略を組み込むことが必要です。
結論として、ガーナのキュウリ類生産は過去数十年にわたり着実な進展を見せていますが、現在は伸び悩みの段階にあると言えます。この状況を克服するには、技術革新、インフラ整備、政策支援の三つの柱が鍵となるでしょう。これにより、ガーナは将来的にキュウリ類生産のさらなる拡大と農業の持続可能な発展を実現できる可能性があります。