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サモアのサトイモ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したサモアのサトイモ生産量の推移データによると、サトイモ生産量は1961年の19,000トンから1980年代中盤にかけて徐々に増加しました。しかし、1990年代初頭に急激に減少し、その後長期間の低迷が続きました。2000年代後半以降は回復傾向を見せつつも、依然として生産量の変動幅が大きく、近年では2022年の22,084トンとやや安定してきたものの、依然として1960~1980年代の水準には及んでいません。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 21,389
-3.15% ↓
2022年 22,084
-2.49% ↓
2021年 22,648
32.97% ↑
2020年 17,032
8.16% ↑
2019年 15,747
-26.36% ↓
2018年 21,383
-7.77% ↓
2017年 23,184
-8.28% ↓
2016年 25,278
-11.17% ↓
2015年 28,457
11.64% ↑
2014年 25,489
6.48% ↑
2013年 23,939
3.94% ↑
2012年 23,033
3.26% ↑
2011年 22,306
7.39% ↑
2010年 20,770
2.58% ↑
2009年 20,248
8.66% ↑
2008年 18,634
-7.64% ↓
2007年 20,175
15.29% ↑
2006年 17,500
8.51% ↑
2005年 16,128
-3.75% ↓
2004年 16,755
-2.82% ↓
2003年 17,242
1.42% ↑
2002年 17,000
13.33% ↑
2001年 15,000 -
2000年 15,000 -
1999年 15,000
24.94% ↑
1998年 12,006
0.05% ↑
1997年 12,000
140% ↑
1996年 5,000
-39.58% ↓
1995年 8,275
175.82% ↑
1994年 3,000
-63.69% ↓
1993年 8,263
-17.37% ↓
1992年 10,000
-35.47% ↓
1991年 15,497
-38.01% ↓
1990年 25,000
-34.21% ↓
1989年 38,000 -
1988年 38,000
-0.78% ↓
1987年 38,300
0.26% ↑
1986年 38,200
0.26% ↑
1985年 38,100
0.26% ↑
1984年 38,000
2.7% ↑
1983年 37,000
0.27% ↑
1982年 36,900
4.24% ↑
1981年 35,400
1.14% ↑
1980年 35,000
2.94% ↑
1979年 34,000
3.03% ↑
1978年 33,000
3.13% ↑
1977年 32,000 -
1976年 32,000
7.74% ↑
1975年 29,700
10% ↑
1974年 27,000 -
1973年 27,000 -
1972年 27,000 -
1971年 27,000
8% ↑
1970年 25,000 -
1969年 25,000 -
1968年 25,000
8.7% ↑
1967年 23,000 -
1966年 23,000 -
1965年 23,000
4.55% ↑
1964年 22,000
1.85% ↑
1963年 21,600
2.86% ↑
1962年 21,000
10.53% ↑
1961年 19,000 -

サトイモはサモアにおける重要な農産物の一つであり、地元の食文化や農業経済において根幹を成しています。FAOが発表したデータからは、1960年代から1980年代にかけて、サモアのサトイモ生産量が堅調に増加していたことが読み取れます。この背景には、地元の人口増加や、家庭菜園を中心とした持続可能な農業基盤の充実が寄与していたと考えられます。しかし、1990年代以降には状況が一転し、生産量が急激に減少していることに気づきます。1990年の25,000トンから1994年にはわずか3,000トンにまで激減しており、これは国内外の自然災害や疫病の影響による生産基盤の崩壊が顕著な要因として挙げられます。

特に、大型サイクロンの襲来やタロいも疫病(トロピカルタロ・リーフブライト)の流行は、当時の生産に大打撃を与えました。この病害はサトイモ農園全体にわたって拡大し、収穫量が壊滅的な影響を受けました。このように、1990年代を通じて深刻な農業危機が発生していたものの、いくつかの改革と回復努力により、2000年代後半から一定の改善が見られています。

近年では、農業技術の普及と病害への耐性を持つ栽培品種の研究・導入を受けて、サトイモの生産は再び増加傾向を示しています。しかし、2019~2020年には再び減少が見られ、新型コロナウイルスの世界的パンデミックによって農業資材の供給が不足し、輸送および流通の制限が影響を与えていた可能性が考えられます。このような波を伴いながらも、2021年には22,648トンとやや回復し、2022年もその水準が維持されました。

こうした長期的なデータを分析すると、サモアのサトイモ生産は気候の変動、災害、病害、新しい農業技術の導入といった要因によって大きく左右される農業基盤の脆弱性を示唆しています。他国の例に目を向けると、例えばフィジーやインドネシアでは、農作物の回復を支援する政府主導の補助政策や、地域間の協力体制が比較的効果的に機能しています。サモアにおいても、同様の枠組みを強化し、耐病性品種の普及促進、持続可能な農法の模範拡大、気候変動への適応策の徹底が今後の課題となります。

また、国連や地域国際機関が中心となり、他国との農業技術の知見共有や災害リスク軽減のための早期警戒システムを構築することも欠かせません。地政学的リスクや自然災害が頻発するこの地域では、広域的な協力体制の確立がローカルな農民にも直接的な恩恵をもたらすでしょう。

今後の持続可能なサトイモ生産の発展には、環境に配慮した農業政策の策定、適切な資金援助、そして生産者たち自身の自立性と技術的能力の向上が不可欠です。これが達成されることで、サモアは単に消費地としてだけでなく、地域経済に貢献する重要な農業国としての地位を強化できる可能性があります。