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タジキスタン

Tajikistan

タジキスタンのCO2排出量推移

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した2024年11月更新の最新データによると、タジキスタンのCO2排出量は1992年の18,116,084トンをピークとして一度は減少し、2000年以降は再び増加傾向を示すようになりました。2020年には16,349,591トンに達しており、近年の排出量は1990年代の水準に接近しています。

「タジキスタン」のCO2排出量推移

年度 CO2排出量
2020年 16,349,591トン
2019年 16,628,548トン
2018年 16,578,513トン
2017年 17,481,780トン
2016年 15,877,608トン
2015年 14,231,994トン
2014年 13,116,261トン
2013年 11,240,523トン
2012年 11,032,704トン
2011年 10,027,103トン
2010年 10,458,601トン
2009年 10,279,728トン
2008年 10,454,499トン
2007年 10,199,075トン
2006年 9,403,781トン
2005年 8,710,075トン
2004年 8,580,452トン
2003年 7,655,822トン
2002年 7,286,388トン
2001年 7,850,972トン
2000年 7,971,871トン
1999年 8,249,023トン
1998年 8,312,583トン
1997年 8,430,554トン
1996年 9,297,657トン
1995年 9,763,210トン
1994年 10,174,412トン
1993年 13,517,922トン
1992年 18,116,084トン

タジキスタンのCO2排出量のトレンドは、1990年代初頭の独立後、急速な経済変化や社会不安の影響を受け、大きな変遷を遂げています。1992年に18,116,084トンという高い排出量を記録しましたが、その後は製造業やエネルギー部門の縮小に伴い、2000年には7,971,871トンまで減少しました。この時期の減少は、経済活動の停滞と資源利用の制限が原因と考えられます。

2000年代半ば以降、タジキスタンの経済が回復し始め、工業化が進むにつれてCO2排出量は増加傾向に転じました。2017年には17,481,780トンまで達し、1990年代の水準に近づきました。その後、2018年以降の排出量は16,000,000トン台で横ばいとなっています。新型コロナウイルスの影響による経済活動の縮小が2020年のわずかな減少に寄与した可能性もあります。

タジキスタンのCO2排出量の増加の背景には、急速な都市化、経済成長、エネルギー需要の拡大があります。同国は主に水力発電に依存していますが、石炭や天然ガスといった化石燃料の使用も増加しており、これが環境負荷を高める一因となっています。また、農業部門での土地利用の変化や伝統的なエネルギー利用方法の持続も、排出増加の一要因として考えられます。

こうした状況と他国の事例を比較してみると、タジキスタンの1人あたりのCO2排出量は日本やアメリカ、西ヨーロッパ諸国と比べて依然低い水準にあります。しかし、その増加率の高さは、発展途上国特有の環境負荷拡大の典型的な例といえます。世界平均を上回る排出量増加率は、適切な対策を講じなければ将来的に温室効果ガスの排出源として懸念される可能性があります。

地域的な課題は、隣国とのエネルギー確保の争いに起因する地政学的リスクや、水力発電に依存する点からの気候変動の影響です。主要なエネルギー源である水力発電は乾燥化や水資源の変動に大きく左右され、安定供給と環境保護のバランスの維持が課題となっています。また、この地域の地政学的な緊張や経済的な不安定性が長期的な環境政策を妨げる要因となる可能性も指摘されています。

未来に向けて、タジキスタンが持続可能な発展モデルへ移行するためには、いくつかの重要な対策が考えられます。一つは、再生可能エネルギーへの取り組みをさらに深化させ、水力発電に加え太陽光エネルギーや風力の導入を促進することです。また、エネルギー効率向上や省エネ技術の導入による排出削減も有効です。さらに、国際的な支援や周辺国との協調を通じた環境保護枠組みの構築も重要と言えます。これにより、国内のCO2排出量を抑制しつつ、持続可能な経済成長を実現できるでしょう。

結論として、タジキスタンのCO2排出量の推移は、社会経済的変化による影響を強く受けながらも、近年は増加傾向にあります。この傾向に歯止めをかけるためには、長期的な視点でエネルギー政策を見直し、再生可能エネルギーと国際的な協力を軸とした持続可能な発展を目指す取り組みが不可欠と考えられます。