Skip to main content

ブラジル

Brazil

ブラジルのCO2排出量推移

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによれば、ブラジルの二酸化炭素(CO2)排出量は1990年から2020年にかけて増加傾向を示しています。1990年の723,159,109トンから2020年には1,225,082,845トンとなり、30年間で約70%の増加が見られています。ただし、2015年以降のデータでは排出量がやや安定しており、微減の兆候も確認できます。このデータは、ブラジルの経済発展や産業構造、エネルギー政策、土地利用の変化を反映したものといえます。

「ブラジル」のCO2排出量推移

年度 CO2排出量
2020年 1,225,082,845トン
2019年 1,242,731,587トン
2018年 1,234,593,388トン
2017年 1,258,490,746トン
2016年 1,247,099,750トン
2015年 1,260,121,872トン
2014年 1,281,379,617トン
2013年 1,240,254,623トン
2012年 1,204,992,565トン
2011年 1,171,714,920トン
2010年 1,157,319,616トン
2009年 1,062,383,859トン
2008年 1,090,211,095トン
2007年 1,073,845,083トン
2006年 1,047,667,815トン
2005年 1,051,965,785トン
2004年 1,038,575,008トン
2003年 988,250,951トン
2002年 967,763,099トン
2001年 943,938,203トン
2000年 918,882,740トン
1999年 896,543,895トン
1998年 883,253,350トン
1997年 856,870,266トン
1996年 828,374,001トン
1995年 820,565,339トン
1994年 795,424,905トン
1993年 771,051,813トン
1992年 755,749,480トン
1991年 744,886,886トン
1990年 723,159,109トン

1990年から2020年までのブラジルのCO2排出量の推移を見ると、1990年の723百万トンから2004年の1,038百万トンまで、安定した増加傾向にあります。この期間の上昇は、ブラジルの人口増加や経済活動の拡大に伴うエネルギー消費量の増加、さらには森林伐採が主因と考えられます。ブラジルはアマゾン熱帯雨林を抱えており、これは地球規模の二酸化炭素吸収源として重要な役割を果たしています。一方で、土地開発や農地転用などによる森林減少がCO2排出を顕著に増加させたことがわかります。

2004年以降も増加が続き、2014年には1,281百万トンに達しました。しかし、2015年以降は排出量がわずかに減少し始め、2020年には1,225百万トンに低下しています。この減少は電力分野での再生可能エネルギー導入の進展や、経済の停滞・成長鈍化、さらには新型コロナウイルスのパンデミックによる経済活動の抑制などが要因となっている可能性があります。ブラジルのエネルギー構成は水力発電に大きく依存しており、このことが他国に比べて排出量削減の効果を一部緩和させていると言えるでしょう。

また、ブラジルの排出量推移を他国と比較することで理解が深まります。産業中心の国々、たとえば中国やインドは急速な経済成長とともにCO2排出量が劇的に増加しています。一方で、ドイツやフランス、イギリスなどの欧州諸国では、再生可能エネルギーの普及や産業構造の転換により、最近の排出量は減少しています。アメリカは総排出量が多いものの、州政府レベルでの環境規制と技術革新が影響し微減傾向にあります。このような国々の取り組みはブラジルにとって今後の参考になるでしょう。

ブラジルにおける最大の課題は、土地利用の問題、特にアマゾン熱帯雨林の保護です。2020年時点においても、無許可伐採や違法な農地開発が依然として深刻な問題であり、これが排出量の押し上げ要因となっています。また、大都市での交通分野の温室効果ガス排出や、産業セクターの効率性改善不足も大きな課題です。地政学的に見ると、国際的圧力が森林保護政策に影響を与える可能性があり、外部からの投資や技術支援の受け入れにも大きな機会と可能性が存在します。

未来に向けて、ブラジルが取るべき具体的対策としていくつか挙げられます。まず、土地利用に関する規制を徹底し、森林伐採を減少させることが重要です。そのために、AIやドローン技術を利用した監視体制の整備が求められます。さらに、都市部での交通政策を見直し、公共交通機関の電動化や都市計画の見直しを進めることで排出削減が可能です。また、エネルギー分野では、すでに高い普及度を誇る水力発電とともに、風力や太陽光発電へのさらなる投資を強化すべきです。これにより、他国と比べても低炭素型の経済を一層実現できます。

結論として、ブラジルのCO2排出量は増加から安定化への移行期にありますが、長期的に持続可能な削減にはさらなる努力が必要です。国内外のさまざまなステークホルダーと連携し、規制や財政的支援を組み合わせた総体的な政策が求められます。これにより、ブラジルは地球温暖化対策のリーダーシップを発揮する立場に立つことができるでしょう。