国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新のデータによると、ニュージーランドのCO2排出量は1990年の約76,050,435トンから開始し、2020年には85,159,095トンとなっています。この期間の全体的な傾向として排出量が増加している一方、特定の時期には減少傾向も見られます。2020年には約85百万トンと過去数年間と比較して大幅に減少しており、新型コロナウイルス感染症の影響も考慮する必要があります。
「ニュージーランド」のCO2排出量推移
年度 | CO2排出量 |
---|---|
2020年 | 85,159,095トン |
2019年 | 90,885,292トン |
2018年 | 90,058,139トン |
2017年 | 90,618,906トン |
2016年 | 90,572,124トン |
2015年 | 91,416,650トン |
2014年 | 92,731,234トン |
2013年 | 90,174,642トン |
2012年 | 90,834,747トン |
2011年 | 86,885,134トン |
2010年 | 87,084,173トン |
2009年 | 87,168,631トン |
2008年 | 88,400,504トン |
2007年 | 88,729,256トン |
2006年 | 88,744,775トン |
2005年 | 89,208,835トン |
2004年 | 89,967,552トン |
2003年 | 89,232,170トン |
2002年 | 88,896,708トン |
2001年 | 88,623,769トン |
2000年 | 87,044,534トン |
1999年 | 87,185,595トン |
1998年 | 83,599,649トン |
1997年 | 85,419,084トン |
1996年 | 82,850,257トン |
1995年 | 81,728,302トン |
1994年 | 79,552,643トン |
1993年 | 78,303,652トン |
1992年 | 76,629,715トン |
1991年 | 76,224,409トン |
1990年 | 76,050,435トン |
ニュージーランドのCO2排出量の推移を振り返ると、1990年以降顕著に上昇する傾向が見られます。1990年から1999年にかけて、総排出量は約76百万トンから約87百万トンへと増加しました。この背景には、国内のエネルギー需要の拡大、特に化石燃料の消費増加が影響していると考えられます。また、農業や牧畜業が国内経済の重要な基盤となっているニュージーランドでは、その分野での温室効果ガスの排出も重要な要因となっています。
その後、2000年代中頃から2010年代にかけてCO2排出量はおおむね横ばいの状態が続いています。この安定の理由としては、再生可能エネルギーの利用促進など、政府や多方面からの取り組みが挙げられます。ニュージーランドは特に風力エネルギーや地熱エネルギーの活用に力を入れており、エネルギー分野での効率化が進展しました。しかし、工業部門や輸送部門では排出量の削減が十分には進まず、総量の顕著な減少にはつながりませんでした。
2012年以降は再び増加傾向に転じ、2014年には92,731,234トンとピークを迎えていますが、その後の数年間は徐々に減少しています。そして、最新のデータである2020年には85,159,095トンとなり、2019年からは約5.5%の減少を見せています。この急激な減少は、新型コロナウイルス感染症の拡大によるロックダウンや経済活動の停滞が主な要因と考えられます。特に航空輸送や観光業といったニュージーランドの主要産業が大きく影響を受けたことが、この排出量の減少に寄与しました。
ニュージーランドのCO2排出量の最大の特徴は、農業部門における排出が占める割合が高い点です。他の先進国と比べて、牧畜からのメタンガス排出が多いニュージーランドでは、これをいかに減少させるかが大きな課題となっています。また、地理的条件から輸送手段が限られていることも、排出量削減における障壁の一つとなっています。
今後の課題として、再生可能エネルギーのさらなる推進や電気自動車の普及などが挙げられます。また、牧畜業における温室効果ガス削減の技術革新や、持続可能な農業手法を導入することが求められます。例えば、メタンガス排出を抑える特殊な飼料の開発や、バイオテクノロジーの活用が鍵となるでしょう。さらに、国民に対する環境意識の啓発や、カーボンプライシング(炭素に価格をつける仕組み)の導入によって行動の変容を促すことも重要です。
ニュージーランド政府は、2050年までにネットゼロ(温室効果ガス排出の実質ゼロ)を達成するという目標を掲げており、それを達成するためには包括的な戦略が不可欠です。特に、小規模ではあれ地理的に孤立しがちな島国特有の課題を克服し、国際的な協力を通じて共通の目標に向かう必要があります。
結論として、ニュージーランドのCO2排出量は過去30年間で全体的に増加してきましたが、特に近年では減少傾向に転じつつあり、これは課題解決への一歩といえます。ただし、特定の部門への依存度の高さや政策の遅れなど課題を解消するにはさらに多くの努力が必要です。政府は国民、企業、そして国際社会と協力しながら、包括的な政策を打ち出し気候変動対策を進めるべきです。