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ラトビア

Latvia

ラトビアのCO2排出量推移

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年11月に公開した最新データによると、ラトビアのCO2排出量は1992年から2020年までの約30年間で大幅に減少しています。特に1992年には約2,187万トンだったCO2排出量が、2020年には約1,304万トンに削減されています。この期間で排出量はおよそ40%削減されました。一方で、2015年における約2,165万トンという異常な増加やその後の断続的な変動も見られる点が注目されます。

「ラトビア」のCO2排出量推移

年度 CO2排出量
2020年 13,039,013トン
2019年 14,152,546トン
2018年 13,663,124トン
2017年 13,886,668トン
2016年 14,001,932トン
2015年 21,650,930トン
2014年 13,947,079トン
2013年 13,943,395トン
2012年 14,014,184トン
2011年 14,065,383トン
2010年 14,665,098トン
2009年 13,663,599トン
2008年 14,343,145トン
2007年 14,764,302トン
2006年 14,178,327トン
2005年 13,291,477トン
2004年 12,761,324トン
2003年 12,467,392トン
2002年 11,775,525トン
2001年 11,854,183トン
2000年 11,261,181トン
1999年 11,789,114トン
1998年 12,858,716トン
1997年 13,245,073トン
1996年 13,770,349トン
1995年 13,979,765トン
1994年 15,779,143トン
1993年 18,696,902トン
1992年 21,869,459トン

ラトビアのCO2排出量推移データを分析すると、おおむね下降傾向が見られます。この減少は、急激な経済構造の転換が進んだ1990年代初頭の脱ソビエト連邦期に起因するものです。この時期、ラトビアではエネルギー効率の低い産業が縮小し、経済の形態が重工業を基盤としたものからサービス業中心の構造に変化しました。この大規模な産業構造の転換が、CO2排出量の顕著な削減に寄与したと考えられます。

その後も緩やかな変動を繰り返しながら、2015年には突如として排出量が約2,165万トンまで増加しています。この要因としては、寒冷な冬季による暖房需要の増加や、一時的なエネルギー需要の急増などが考えられます。また、この異常値はデータの記録方法変更や突発的な出来事(例えば一部エネルギー政策の一時停止など)が影響した可能性もあり、さらに精査が必要とされます。

2020年には、約1,304万トンの排出量が記録されています。この減少は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による世界的なパンデミックの影響と直接関連していると考えられ、ラトビアでも経済活動の減速や移動の制限が排出量削減に大きく寄与したと推測されます。

ラトビアのCO2排出量の推移を他国と比較すると、日本やドイツなどの産業大国が近年にわたり削減努力を継続してきた一方、ラトビアはすでに急激な経済構造改革を遂げた国であるため、排出量全体が比較的低水準に抑えられている点が特徴的です。ただし、韓国や中国などの新興国がエネルギー多消費型の経済に舵を切る中で、ラトビアは他国にとって排出削減モデルとなる事例を提供できる可能性があります。

しかし、ラトビアにも課題が存在します。同国のエネルギー供給は、再生可能エネルギー源が大きく寄与しているものの、依然として化石燃料の依存はゼロとはいえません。この構造的問題の解決には、再生可能エネルギー資源のさらなる導入や、エネルギー効率化の推進が必要です。また、森林資源に恵まれたラトビアではカーボンクレジット制度(温室効果ガスの排出削減クレジット市場)の活用が他国に比べて有望であり、これを拡充することで経済的な利益を得ながら、持続可能なCO2削減を達成することができます。

さらに、地域間協力も課題を克服する鍵となります。バルト三国のエストニアやリトアニアと連携し、エネルギー政策の一体化を図ることで、共同で効率的なエネルギー供給網を構築することが期待されます。加えて、ロシアとの地政学的関係も重要な影響を及ぼす可能性があります。ロシアからのエネルギー輸入の依存を減らす戦略は、ラトビアのエネルギー安全保障を強化するとともに、エネルギー市場における環境負荷を軽減するための重要な打開策となります。

総じて、ラトビアのCO2排出量に関するデータは、大幅な削減が達成されているものの、気候変動に対応するさらなる努力が求められる状況を示しています。今後、継続的な政策的取り組みと地域的な協力を通じて、ラトビアが低炭素経済における先進的なモデル国としての役割を果たす可能性が十分にあります。