Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、日本のCO2排出量は、1990年の1,275,010,551トンから2007年の1,448,864,233トンをピークに増加していました。しかし、それ以降は全体として減少傾向にあり、2020年には1,246,301,290トンと、1990年の水準を下回る結果となりました。この間には世界的な環境政策の進展、エネルギー需要の変化、経済危機、新型コロナの影響など、さまざまな要因が影響しています。
「日本」のCO2排出量推移
年度 | CO2排出量 |
---|---|
2020年 | 1,246,301,290トン |
2019年 | 1,330,847,229トン |
2018年 | 1,365,987,749トン |
2017年 | 1,392,164,191トン |
2016年 | 1,384,330,076トン |
2015年 | 1,396,454,235トン |
2014年 | 1,438,819,839トン |
2013年 | 1,460,161,230トン |
2012年 | 1,440,303,390トン |
2011年 | 1,392,672,272トン |
2010年 | 1,377,568,785トン |
2009年 | 1,300,252,826トン |
2008年 | 1,416,317,710トン |
2007年 | 1,448,864,233トン |
2006年 | 1,435,216,948トン |
2005年 | 1,431,984,612トン |
2004年 | 1,447,091,102トン |
2003年 | 1,427,723,008トン |
2002年 | 1,405,604,036トン |
2001年 | 1,382,624,120トン |
2000年 | 1,405,800,725トン |
1999年 | 1,387,240,586トン |
1998年 | 1,350,851,633トン |
1997年 | 1,407,926,083トン |
1996年 | 1,411,158,900トン |
1995年 | 1,399,263,061トン |
1994年 | 1,367,142,309トン |
1993年 | 1,304,535,104トン |
1992年 | 1,305,042,378トン |
1991年 | 1,281,863,370トン |
1990年 | 1,275,010,551トン |
日本のCO2排出量について振り返ると、1990年から2000年代初頭にかけては、産業活動の活発化や電力需要の増加を背景に、排出量が上昇しました。この傾向の中で、1997年の京都議定書採択後も一時的に増加傾向が続きましたが、2008年のリーマンショックや2009年の経済危機の影響を受けて、CO2排出量は一時的に減少することが確認されました。
2011年には東日本大震災とそれに伴う福島第一原子力発電所事故が発生しました。この出来事により、日本は原子力発電が減少し、電力供給を火力発電に大きく依存するようになりました。そのため、CO2排出量はその影響を受け、2011年から2013年にかけて再び増加傾向を示しています。この時期は、1,400,000,000トンを超える高い排出量が維持されました。
一方、2013年以降は、再生可能エネルギーの導入や省エネ法の強化、さらには産業の効率化により、CO2排出量は減少に転じました。また、2015年のパリ協定の影響で、日本も温室効果ガス削減への取り組みを一層強化し、この流れが継続していることがわかります。2019年に1,330,847,229トン、さらには2020年には新型コロナウイルス感染症の影響で産業活動や交通量が低下したこともあり、1990年を下回る1,246,301,290トンまで減少しました。この減少は他国でも同様の傾向が見られ、世界全体でCO2排出量が一時的に減少したことを反映しています。
日本と近隣諸国、またアメリカやヨーロッパ諸国と比較すると、CO2排出量の削減速度や政策の効果には違いが存在します。中国やインドなどの新興経済国は排出量が依然として増加傾向を示しており、日本やヨーロッパ諸国との差が顕著です。一方、ドイツやフランスを中心とするヨーロッパでは、再エネ導入の進展が目立ち、2010年代後半から大きな削減効果を生み出す政策を実施しています。これに対して日本は削減努力をしているものの、化石燃料への依存からの脱却には欧州ほどの進展がみられません。
将来的な課題として、日本はまず脱炭素社会を目指すため、再生可能エネルギーのさらなる導入が鍵となります。特に、洋上風力発電や太陽光発電の拡大、エネルギーインフラの革新が重要です。また、建築物や交通のエネルギー効率化を進めることで、排出量を削減する取り組みが必要です。これは日本だけでなく、地球規模で温暖化対策を共有する枠組みの一部となることで実現可能です。
地政学的背景としては、海外からのエネルギー供給リスクに対応するため、国内エネルギーの自給率向上も緊急の課題です。エネルギー安全保障の強化や、アジア諸国とのグリーンエネルギー技術協力は、近隣諸国や地域情勢とも密接に関わります。また、近い将来では脱化石燃料に向けた国際協調に遅れをとらないよう、革新的な技術の開発と普及を進めることが期待されます。
結論として、日本は過去の経済活動や災害、政策の結果としてCO2排出量にかなりの変動が見られる国です。この間に培った経験と技術を他国と共有しつつ、さらなる削減に向けた挑戦を続けることが重要です。政治的・社会的な取り組みの充実度が今後の平和と持続可能性を左右するため、市民・国家・企業が連携して行動する必要があります。