国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、グレナダのCO2排出量は1990年の161,157トンから2020年の339,754トンに増加しました。この間、特に2013年から2019年にかけて排出量が顕著に増加し、373,847トンに達しています。一方で2020年には新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、排出量がやや減少しました。
「グレナダ」のCO2排出量推移
年度 | CO2排出量 |
---|---|
2020年 | 339,754トン |
2019年 | 375,252トン |
2018年 | 363,435トン |
2017年 | 354,903トン |
2016年 | 340,257トン |
2015年 | 331,816トン |
2014年 | 306,004トン |
2013年 | 375,847トン |
2012年 | 341,261トン |
2011年 | 322,839トン |
2010年 | 328,814トン |
2009年 | 321,674トン |
2008年 | 321,287トン |
2007年 | 305,164トン |
2006年 | 297,388トン |
2005年 | 282,121トン |
2004年 | 269,964トン |
2003年 | 280,969トン |
2002年 | 268,342トン |
2001年 | 256,978トン |
2000年 | 253,486トン |
1999年 | 256,293トン |
1998年 | 237,099トン |
1997年 | 229,861トン |
1996年 | 213,399トン |
1995年 | 208,689トン |
1994年 | 201,089トン |
1993年 | 177,734トン |
1992年 | 173,347トン |
1991年 | 165,770トン |
1990年 | 161,157トン |
グレナダのCO2排出量の推移を分析すると、過去30年間で排出量がほぼ倍増していることが確認できます。1990年代初頭のCO2排出量は約16万トン台でしたが、2000年には25万トンを超え、2010年にはさらに32万トンを突破しました。その後も順調に増加傾向が続き、2019年には37万5千トンに達しています。これらの数値から、経済成長やエネルギー消費の拡大に伴う排出増加が顕著であると考えられます。
1990年代から2000年代にかけての排出量の増加は、特に観光業の発展や輸送業務の拡大、エネルギー需要の増加が背景に挙げられます。グレナダは観光を主な産業としており、多くの施設やインフラが化石燃料に依存しています。また、島国であることから輸入品の輸送業務が多く、これが排出量増加の一因となっています。
2013年から2019年の間には、持続可能なエネルギーの活用を進める努力が見られたものの、化石燃料の依存は依然として高い状況が続きました。特に2013年は375,847トンと突出して高い数値を記録しましたが、これは経済活動が活性化したことや、発電分野での効率性の問題が影響しているとみられます。逆に2020年には新型コロナウイルスのパンデミックによる経済活動の停滞や観光業の縮小が影響し、一時的に排出量が減少しました。339,754トンを記録しているものの、直近の減少は一時的なものであり、構造的な改善には至っていないと考えられます。
排出量が増加傾向にあるグレナダですが、世界的な視点では日本や中国、アメリカなど産業規模が大きい国々に比べれば総量自体は限定的です。たとえば、日本の2020年のCO2排出量は約11億トン、中国は約98億トンに達しています。しかし、一人当たりの排出量や環境への負荷を考慮すると、小国であるグレナダも地球環境への貢献義務を果たす必要があります。
将来的な課題として、大規模なインフラ改修や再生可能エネルギーへの移行が挙げられます。風力や太陽光エネルギーを活用した発電所の建設、省エネルギー技術の導入、また排出削減目標を設定した政策フレームワークの策定が求められます。さらに他のカリブ諸国との協調的な取り組みを強化し、資源の共有や技術開発を進めることも効果的です。加えて、観光業の構造転換を図り、「低炭素型観光」を推進することも産業の持続性を高める対策となるでしょう。
新型コロナウイルスの影響を受けた2020年の減少は、産業構造を見直す一つの契機と捉えることができます。この好機を利用し、国際機関や多国間協力を通じて、適切なエネルギー政策を発展させることが長期的な解決に繋がるでしょう。グレナダの取り組みは他の小規模島嶼国にとってもモデルケースとなり得るため、リーダーシップを発揮して地球規模の環境問題への取り組みに寄与することが期待されます。