国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年11月に更新した最新データによると、エリトリアのCO2排出量は1993年の4,650,906トンから2020年の7,262,726トンまで大幅に増加しています。この期間を通じて、一部の年度で微減を見せながらも全体的には着実に増加しており、特に2000年以降の排出量増加が顕著です。
「エリトリア」のCO2排出量推移
年度 | CO2排出量 |
---|---|
2020年 | 7,262,726トン |
2019年 | 7,256,925トン |
2018年 | 7,231,743トン |
2017年 | 7,114,172トン |
2016年 | 7,002,385トン |
2015年 | 6,925,042トン |
2014年 | 6,865,874トン |
2013年 | 6,801,896トン |
2012年 | 6,702,125トン |
2011年 | 6,572,004トン |
2010年 | 6,267,337トン |
2009年 | 6,341,931トン |
2008年 | 6,211,574トン |
2007年 | 6,346,439トン |
2006年 | 5,990,682トン |
2005年 | 6,335,301トン |
2004年 | 6,215,250トン |
2003年 | 6,095,094トン |
2002年 | 5,822,114トン |
2001年 | 5,865,600トン |
2000年 | 6,150,898トン |
1999年 | 5,957,348トン |
1998年 | 5,789,452トン |
1997年 | 5,990,492トン |
1996年 | 5,533,170トン |
1995年 | 4,964,080トン |
1994年 | 4,812,129トン |
1993年 | 4,650,906トン |
エリトリアのCO2排出量推移をみると、長期的な増加傾向がはっきりと示されています。このデータは、国全体のエネルギー使用方法、経済成長、及び産業構造の変化を反映していると考えられます。特に、1993年から2020年にかけて排出量が約1.6倍に拡大していることから、多くの先進国と異なるエネルギーニーズの拡張が読み取れます。
1990年代から2000年代初頭にかけて、エリトリアのCO2排出量は年平均約3.6%の成長率で増加しました。この背景には、主に国内のエネルギー需要の増加や農業と工業基盤の拡大が関係していると推測されます。しかし、1998年に若干の減少を記録していることは、エリトリア・エチオピア国境紛争(1998~2000年)の影響を示している可能性があります。このような地域紛争は、経済活動の停滞やエネルギー需要の減少を招くため、CO2排出量に直結することがあります。
一方で、2000年以降、排出量は再び緩やかに増加傾向を示し、2020年には7,262,726トンに達しています。特に2015年以降の増加傾向は顕著であり、農業・輸送部門のエネルギー消費拡大、都市化やインフラ開発の進展が背景にあると考えられます。それに加えて、エリトリアは化石燃料に依存したエネルギーシステムが主流であり、このことも排出量の増加に寄与している要因です。周辺国であるエチオピアやスーダンも同様にCO2排出量の増加傾向を見せており、地域的なエネルギー政策や経済活動の類似性が見受けられます。
さらに、エリトリアのCO2排出量の増加は、同国経済の規模を考慮すると、特に著しい点が挙げられます。エリトリアは依然として低所得国で、世界の主要排出国と比較すると一人当たりの排出量は低い水準にあることが推定されます。しかしながら経済規模に対する排出量の増加率は、国際社会における脱炭素努力が進む中で、まだ十分に取り組まれていないエネルギー転換の課題を示唆しています。
今後の課題として、エリトリアが直面しているのは再生可能エネルギー導入の促進や、省エネルギー技術の普及など、低炭素なエネルギー供給システムの実現です。特に、太陽光発電や風力発電といった地域特性に合った自然エネルギーの導入が重要となります。同国はアフリカ大陸の東部に位置し、日射量が高い環境に恵まれているため、こうした再生可能資源を活用する可能性は非常に大きいと言えます。
また、周辺国とのエネルギー協力体制を築き、共有できるエネルギーネットワークの新設や、電力輸出入の拡大に取り組むことも推奨されます。これは、既存の地政学的な緊張を緩和しながら、地域全体の安定と持続可能な発展に寄与する施策です。
地政学的リスクとしては、エリトリアは政治的・経済的な不安定性や紛争の影響を受けやすいため、この点が今後の環境対策の進展を妨げる可能性があります。これを打破するためには、国際機関や非政府組織の協力を仰ぎつつ、持続的な技術移転や低炭素化を重視した投資を引き寄せる努力が必要です。また、大気汚染や干ばつといった気候変動の直接的な影響が、農業生産や人々の生活に与える影響を最小限に抑えるための適応策も欠かせません。
エリトリアが持続可能な発展を目指す上で、CO2排出量削減の取り組みは不可欠です。本データは現状の問題点を示すだけでなく、課題解決のための具体的な糸口を見つけるための重要な指標として活用できるでしょう。