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中国

China

中国のCO2排出量推移

FAO(国際連合食糧農業機関)の最新データによると、中国のCO2排出量は1990年から2020年の30年間で、約3.8億トンから13.7億トンへと大幅に増加しました。この期間中、排出量は約3.5倍に達しています。特に2000年代から急速に増加しており、2020年には観測史上最大値を記録しました。これは、工業化や都市化の進展、エネルギー需給構造の変化などが要因となっています。一方、2015年から2017年には増加が一時停滞する傾向も見られました。

「中国」のCO2排出量推移

年度 CO2排出量
2020年 13,753,384,023トン
2019年 13,530,919,786トン
2018年 13,153,368,971トン
2017年 12,863,218,697トン
2016年 12,621,191,819トン
2015年 12,778,913,599トン
2014年 12,881,734,679トン
2013年 12,733,148,400トン
2012年 12,443,373,634トン
2011年 12,136,010,815トン
2010年 11,093,845,378トン
2009年 10,278,985,250トン
2008年 9,859,892,582トン
2007年 9,311,831,812トン
2006年 8,785,992,063トン
2005年 8,026,147,323トン
2004年 7,234,963,424トン
2003年 6,397,939,962トン
2002年 5,604,335,849トン
2001年 5,178,417,389トン
2000年 5,079,319,996トン
1999年 4,952,346,526トン
1998年 4,888,772,970トン
1997年 5,057,133,652トン
1996年 5,045,197,063トン
1995年 4,888,041,875トン
1994年 4,528,714,015トン
1993年 4,291,322,632トン
1992年 4,099,469,363トン
1991年 3,993,822,676トン
1990年 3,864,642,567トン

CO2排出量の増加は、中国の経済成長に深く関連しています。1990年代から中国は経済改革と市場開放を加速し、2020年には世界第二位の経済大国となっています。この成長過程でエネルギー消費が急増し、特に石炭を主なエネルギー源として利用してきたことが、CO2排出量増加の主な要因となっています。データを詳しく見ると、2000年から2010年の10年間で排出量が顕著に増加しており、2000年の約5.0億トンから2010年には約11.0億トンと、10年間でほぼ2倍近くになっています。この時期は、中国が世界の「工場」としての役割を果たし、製造業が急成長した期間に該当します。

また、2015年から2017年にかけて排出量がやや減少もしくは横ばいとなる動きが見られます。この背景には、再生可能エネルギーの導入拡大や環境規制の強化、一部産業の低炭素化が挙げられます。ただし、2018年以降は再び増加傾向を示しており、成長志向の経済政策やエネルギー需要のさらなる増加が影響している可能性があります。このような中、中国政府は「2030年までに排出量のピークを迎え、2060年までにカーボンニュートラルを達成する」と明言しています。

他国と比較すると、中国のCO2排出量は他を圧倒的に上回っています。たとえば2020年時点で、アメリカの排出量は約5.0億トン程度とされ、これは中国の40%弱にすぎません。また、インドやドイツ、イギリス等の排出量も中国に比べれば大幅に少なく、中国の地球環境への影響は非常に大きいことがわかります。

中国が直面している最大の課題は、急速な都市化や産業構造の多様化によるエネルギー需要の増大と、それに伴う環境負荷の抑制です。この脱炭素化は容易ではありませんが、再生可能エネルギーのさらなる導入や、エネルギーの効率化、そして産業構造の転換が鍵となります。具体的には、太陽光発電や風力発電といったクリーンエネルギーの更なる推進、EV(電気自動車)の普及加速、企業における排出権取引市場の拡大などが考えられます。

さらに地政学的背景を考えると、中国は多くの資源を輸入に依存しており、エネルギー政策は国際関係の影響を受けやすい構図にあります。例えば、近年の世界的なエネルギー危機や地政学的緊張は、石油や天然ガス供給先の多様化やエネルギー安全保障を強化する必要性を高めています。また、気候変動対策に関する国際的な枠組みの下での責任も高まっており、国際協力を軸とした取り組みが求められます。

一方で、CO2排出量の増加が健康被害や自然環境の破壊に及ぼす悪影響も深刻です。このため、地域全体での環境アセスメントを実施し、政策として公害対策や気候変動適応策を組み込むことも重要です。特に新型コロナウイルス感染症のパンデミック以降、経済回復の過程で持続可能性を欠いた開発が進む懸念がありますが、2030年排出ピーク達成の努力を現状からさらに強化することが期待されます。

総じて、中国におけるCO2排出量推移のデータ分析から、持続可能なエネルギー政策の必要性が浮き彫りとなります。国際社会と協調しつつ、自国経済と地球環境の両立を目指す具体的な施策を強化することが急務です。これは、世界の気候目標達成にも直接寄与します。未来に向けて、中国だけでなく世界全体が共同で脱炭素社会を実現する枠組みを築くことが必要不可欠です。