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ベラルーシ

Belarus

ベラルーシのCO2排出量推移

最新データによると、ベラルーシのCO2排出量は、1992年の126,208,821トンをピークとして、その後2000年代初頭まで減少傾向を示しました。しかし2000年代中盤から増加に転じ、2019年には116,488,959トンと近年のピークに達しました。2020年には新型コロナウイルス感染症の影響を受けてやや減少し、112,778,313トンとなっています。このデータは、ベラルーシの経済構造や産業の変遷、政策の影響、地政学的背景を反映したものです。

「ベラルーシ」のCO2排出量推移

年度 CO2排出量
2020年 112,778,313トン
2019年 116,488,959トン
2018年 113,603,289トン
2017年 108,680,925トン
2016年 107,339,498トン
2015年 108,228,919トン
2014年 112,251,293トン
2013年 112,442,618トン
2012年 112,030,276トン
2011年 111,887,238トン
2010年 97,535,481トン
2009年 95,067,226トン
2008年 97,392,681トン
2007年 93,319,672トン
2006年 95,078,223トン
2005年 91,281,043トン
2004年 90,408,139トン
2003年 86,068,715トン
2002年 85,047,634トン
2001年 85,216,272トン
2000年 86,148,308トン
1999年 88,946,351トン
1998年 90,961,550トン
1997年 92,488,136トン
1996年 93,579,547トン
1995年 94,078,173トン
1994年 99,366,170トン
1993年 113,089,564トン
1992年 126,208,821トン

国際連合食糧農業機関の発表した最新データから、ベラルーシのCO2排出量推移を詳しく見てみましょう。まず1992年から2000年にかけて、ベラルーシのCO2排出量は大幅な減少を記録しています。この期間は旧ソ連崩壊後の経済難崖が影響し、多くの重工業が縮小または停止したため、エネルギー消費全体が抑えられたことに起因すると考えられます。しかしながら、2000年代以降、徐々に排出量が増加に転じています。この背景には、国内経済の回復および工業生産の増加、またエネルギー効率の向上が進んだ一方で依然として化石燃料に依存した産業構造が影響しています。

2011年以降のデータでは注目すべき特徴が見られます。この年を境にCO2排出量が大幅に上昇し、それ以降は再び高止まりの傾向を示しています。この上昇の一因として、ベラルーシ国内でのエネルギー需要の継続的な増大が挙げられます。加えて、エネルギー供給の約70%以上を天然ガスが占めている現状も関係しています。天然ガスは石炭や石油よりも比較的低いCO2排出量となるものの、依然として炭素を多く含むため、持続可能なエネルギーシステム構築には課題が残ります。

また、2020年に見られる排出量の減少は新型コロナウイルス感染症による経済活動の停滞の影響を受けたものであると考えられます。世界的に同様の傾向が見られており、経済規模の大幅な縮小が一時的に排出量削減をもたらした事例です。他国と比較してみると、例えば日本では2020年の排出量が約11億トン、ドイツでは約6億トンであり、ベラルーシの排出量規模はこれら主要先進国と比べると低いものの、一人当たりの排出量に着目すると、国際平均を超えていることも判明します。

今後、ベラルーシが直面する主な課題は、再生可能エネルギーへの移行を進めることと、産業およびエネルギー分野における排出削減技術の導入です。特に風力や太陽光発電への投資を加速させるべきでしょう。しかし地政学的リスクも考慮に入れる必要があります。ベラルーシはロシアからエネルギーを主に輸入しており、エネルギー供給の多様化を進めることが難しい状況です。これに加えて、隣国との関係悪化や制裁措置が経済的選択肢を制限する可能性も否定できません。

また、農業分野のCO2排出量も軽視すべきではありません。農業部門は直接的にエネルギーを消費するだけでなく、家畜育成や窒素肥料の使用から間接的な温室効果ガスの排出も引き起こしています。そのため、持続可能な農業技術の導入や肥料利用の最適化などの実施が望まれます。

結論として、ベラルーシはエネルギー政策を転換する必要に迫られています。地域協力を強化し再生可能エネルギーの技術交換や支援を受けること、内需型経済の推進、そして新たな産業イノベーションへの投資が喫緊の課題となるでしょう。また、国際社会との連携を維持しながら、環境負荷を下げながらも持続可能な経済成長を実現する道筋を描くことが求められます。