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え?!ブラジルの車はサトウキビで走るって本当?驚愕のエネルギー事情を徹底解説!

サトウキビが車の燃料に?知られざるブラジルの「緑の革命」
「サトウキビ=砂糖の原料」と思っていませんか?実はブラジルでは、そのサトウキビから車が走るのです。地球温暖化対策の最前線に立つブラジルのエネルギー事情は、驚きとユニークな工夫に満ちています。本記事では、サトウキビが自動車燃料に変わるまでのプロセスや国民の生活への影響、さらに日本にも応用できるヒントを、最新データとともに解説します。

サトウキビから車の燃料ができる?ブラジルのエネルギー革命

ブラジルは世界最大のサトウキビ生産国であり、そのサトウキビから作られるのが再生可能燃料「バイオエタノール」です。この国家戦略は、1970年代の石油危機をきっかけに始まった「プロアルコール計画(Proálcool)」によって本格化しました。

目的は「輸入石油への依存からの脱却」。サトウキビの搾りかすや発酵工程からエタノールを抽出し、精製して自動車燃料として使用します。結果として、ブラジルの車の多くがこの「植物由来のエネルギー」で走るようになりました。

フレックス燃料車(FFV)が街を走る!その驚きの効果とは?

2003年に登場したフレックス燃料車(FFV=Flex-Fuel Vehicle)は、ガソリンでもエタノールでも走行可能です。現在、ブラジル国内で販売される新車の約85%がこのFFVとなっており、その普及率は世界トップクラスです。

ブラジルでは、FFVの導入によって次のような成果が得られています。

  • ガソリン使用量を41.7%削減
  • CO₂排出量を累計約6億3,000万トン削減
  • 森林換算で約40億本の植樹と同等の効果

これは「走る森林」とも表現できるほどの環境インパクトです。経済性と環境配慮の両立を図った、ブラジルらしい大胆な取り組みといえるでしょう。

ガソリンとエタノール、どう選ぶ?消費者の賢い燃料選び

ブラジルではすべてのガソリンに27%のエタノールを混合することが義務づけられています(Anidroエタノール)。さらに、エタノール100%(Hydrousエタノール)も市場で選択可能です。

消費者がどちらを選ぶかは「価格比」で決まります。一般に「エタノール価格がガソリン価格の70%以下」であれば、燃費効率を踏まえてエタノールが得とされています。多くのブラジル国民がスマホアプリでガソリンスタンドの価格を比較して燃料を選択しています。

このような「自分で選ぶエネルギー」が、再生可能資源を支える力になっているのです。

サトウキビ産業の今とこれから

ブラジルのサトウキビ産業は、砂糖とエタノールの二本柱で構成されています。中でも最大の生産地であるサンパウロ州は、気候条件とインフラが整っており、効率的な生産が可能です。

さらに注目すべきは、発電にも搾りかす(バガス)を利用している点です。工場の電力を自給し、排出ゼロの「循環型モデル」を実現しています。

現在ではセルロース由来の「第2世代バイオ燃料」も研究段階に入り、環境省やEMBRAPA(ブラジル農業研究公社)を中心に新技術が育まれています。ブラジルは世界のグリーンエネルギー地図の中でも、最先端を走る存在といえるでしょう。

一見奇抜に見える「サトウキビで走る車」ですが、そこには経済・環境・社会を同時に支える確かな戦略が存在します。再生可能エネルギーの活用に成功したブラジルは、世界中のエネルギー政策の参考になる存在です。

日本も、地方でのバイオマス活用や再生可能エネルギー導入に課題を抱えています。今こそ、サトウキビから学ぶ「地産地燃」の可能性を見直してみてはいかがでしょうか。

ブラジルを訪れる機会があれば、ぜひガソリンスタンドで「Etanol」の表示を探してみてください。未来を走るクルマの姿が、そこにあります。