Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、タイのCO2排出量は1990年から2020年にかけて増加の傾向を示しています。具体的には、1990年の193,339,724トンから2020年の430,399,419トンまで増加しました。ただし、2020年には直近の数年間と比較して若干の減少が見られ、この背景には新型コロナウイルスの影響による経済活動の縮小があると考えられます。
「タイ」のCO2排出量推移
年度 | CO2排出量 |
---|---|
2020年 | 430,399,419トン |
2019年 | 441,993,321トン |
2018年 | 444,336,251トン |
2017年 | 440,836,336トン |
2016年 | 436,565,503トン |
2015年 | 433,441,204トン |
2014年 | 437,517,985トン |
2013年 | 447,878,263トン |
2012年 | 433,715,841トン |
2011年 | 413,286,728トン |
2010年 | 416,977,903トン |
2009年 | 393,475,452トン |
2008年 | 375,430,696トン |
2007年 | 377,900,622トン |
2006年 | 363,238,590トン |
2005年 | 357,022,793トン |
2004年 | 346,904,472トン |
2003年 | 330,167,850トン |
2002年 | 315,149,230トン |
2001年 | 304,189,288トン |
2000年 | 289,312,217トン |
1999年 | 285,819,545トン |
1998年 | 273,973,479トン |
1997年 | 296,950,709トン |
1996年 | 286,105,688トン |
1995年 | 267,827,162トン |
1994年 | 248,045,331トン |
1993年 | 234,756,393トン |
1992年 | 218,326,724トン |
1991年 | 206,866,380トン |
1990年 | 193,339,724トン |
タイのCO2排出量は1990年から2020年にかけて一貫した増加傾向を見せています。このトレンドは、タイの経済成長とエネルギー消費の増加が密接に関係しています。特に1990年から2010年の間には著しい伸びを記録しており、この期間中にCO2排出量はほぼ倍増しました。これは工業生産の拡大、自動車保有台数の増加、そして人口の増加など、多方面の要因が重なった結果といえます。しかし、2010年を過ぎると年ごとの増加ペースは鈍化し、2015年以降はほぼ横ばい状態にあります。
2020年、タイのCO2排出量は前年の441,993,321トンから約2.6%減少しました。この要因として、世界的な新型コロナウイルスのパンデミックによる経済活動の制限や旅行・交通の減少が挙げられます。同様の傾向は他国でも見られ、日本やアメリカ、ドイツなど主要経済国でも排出量の減少が起きました。しかし、この減少は一時的なものであり、経済が回復するにつれ、再び排出量が上昇する可能性があります。
タイのCO2排出量は、アジア地域の他国と比較しても成長率が高い方に位置しています。中国やインドのような大規模で急速な工業化を遂げる国々ほどには増加していないものの、その増加ペースはインドネシアやマレーシアなどの中規模経済国と類似しています。一方で、日本やドイツといったエネルギー効率対策を積極的に進める国に比べると、排出削減への取り組みが課題となっていることが明らかです。
タイでは経済成長に伴いエネルギー需要が増大し、その多くを化石燃料に依存しています。石炭や石油による発電が主要なエネルギー源となっており、再生可能エネルギーの割合は依然として低い水準にとどまっています。このエネルギー供給構造を転換することが、将来の政策課題として浮かび上がります。
ここで、地政学的背景としてタイ周辺地域の状況を考慮すると、東南アジア全体でエネルギー資源をめぐる競争が顕著になります。この競争が環境政策や国際的なルール整備に逆行することなく、地域協力の枠組みとして機能することが重要です。例えば、再生可能エネルギーの共同開発や電力の共有といった取り組みは、CO2排出削減だけでなく地域の経済的安定にも寄与します。
タイにおける未来の課題としては、再生可能エネルギー導入の加速、全産業にわたるエネルギー効率の改善、そして公共の交通インフラ強化が挙げられます。国際的な支援や投資を取り入れ、例えば隣国からの再生可能エネルギーの技術移転や、国際的なカーボンクレジット制度の活用も有効です。また地元での環境意識を高める教育や啓発キャンペーンの実施を通じて、企業や個人が自発的にCO2排出削減を進める動きが求められます。
結論として、CO2排出量推移のデータはタイのエネルギー構造の課題と可能性を明確に示しています。持続可能な社会を目指す上で、政府や企業、市民が一丸となり、具体的な行動を取ることが重要です。そして、東南アジア全体での協力を通じて、全地域規模での環境問題への解決を図ることがタイの競争力を高める鍵になるでしょう。