ボツワナの通貨は「プラ」
ボツワナ共和国は、南部アフリカにある内陸国です。
国内で使われる通貨の基本単位は「プラ(Pula)」で、国際的な通貨コードは「BWP」、金額を表す記号には「P」が使われます。
1プラは100テベです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 通貨名 | プラ |
| 英語・セツワナ語表記 | Pula |
| 通貨コード | BWP |
| 通貨記号 | P |
| 補助通貨 | テベ(Thebe) |
| 換算 | 1プラ=100テベ |
| 導入日 | 1976年8月23日 |
ボツワナ政府も、公式の国情報で「通貨はプラで、100テベに分けられる」と説明しています。
「プラ」は雨と祝福を意味する
ボツワナ中央銀行によると、「Pula」はセツワナ語で「雨」または「祝福」を意味します。
通貨名を決める際には国民の意見が調査され、「プラ」という名称が圧倒的な支持を集めました。
日本語では「雨という意味の通貨」と紹介されることが多いものの、単に空から降る水だけを指す言葉ではありません。
ボツワナ政府の広報誌は、「プラ」には雨のほか、祝福や幸福という意味もあると説明しています。雨の訪れを喜ぶ気持ちが、幸運や繁栄を願う言葉へ広がったと考えると分かりやすいでしょう。
なぜ雨がそれほど大切なのか
ボツワナ政府は同国の気候を「半乾燥」と説明しており、一年の多くは暑く乾燥しています。雨は主に11月から3月の夏季に降り、1月と2月ごろに多くなります。
ボツワナ統計局によると、同国は乾燥・半乾燥地域に分類され、干ばつが起こりやすい国です。年間降水量は南西部の約250ミリメートルから北部の約650ミリメートルまで地域差があり、年ごとの変動も大きいとされています。
雨は次のようなものを支えます。
- 人々が利用する水
- 農作物の生育
- 牛などの家畜
- 草原や森林
- 野生動物の生息環境
- 河川、湿地、貯水池
降雨が少なければ、農業や牧畜だけでなく、人々の暮らしにも大きな影響が及びます。
そのため、雨は単なる天気の変化ではなく、生命と繁栄をもたらす「恵み」なのです。
「プラ」はボツワナの国家標語でもある
プラという言葉は、通貨だけに使われているわけではありません。
ボツワナの国章を見ると、下部の帯に「PULA」と記されています。これは同国の国家標語です。
国章の中央には3本の青い波があり、水を表しています。ボツワナ政府の説明では、この波と国家標語の「プラ」は、半乾燥地域であるボツワナにとって雨が重要であることを象徴しています。
つまり「プラ」は、次の3つの役割を持つ言葉です。
- 自然現象としての雨
- 祝福や幸福を願う言葉
- 国を象徴する国家標語
- 国民が日常的に使う通貨の名前
国の自然環境と価値観が、一つの言葉に凝縮されています。
補助通貨「テベ」は盾という意味
1プラは100テベに分けられます。
「Thebe」は、セツワナ語で「盾」を意味します。ボツワナ中央銀行は、通貨の基本単位を雨や祝福を意味するプラ、補助単位を盾を意味するテベと説明しています。
複数形では「ディテベ(dithebe)」となりますが、通貨単位として日本語で紹介する場合は「テベ」と表記すれば十分でしょう。
「恵み」を意味するプラと、「守るもの」を意味するテベ。2つの通貨単位が、どちらもセツワナ語から選ばれている点も特徴です。
独立当初は南アフリカのランドを使っていた
ボツワナは1966年9月30日、イギリスから独立しました。
しかし、独立した日に自国通貨が誕生したわけではありません。
当時のボツワナはランド通貨圏に加盟しており、南アフリカの通貨「ランド」を国内通貨として使用していました。
自国のお金を持たないということは、紙幣や硬貨のデザインだけでなく、通貨政策の多くを他国の制度に依存することでもあります。
独立後の国家づくりを進めるなかで、ボツワナは自国の経済に合った通貨と金融制度を整える必要がありました。
1974年に独自通貨の導入を決定
ボツワナ政府は1974年9月6日、ランド通貨圏から離れ、独自通貨を導入する方針を発表しました。
新しい通貨を造るには、名称を決めるだけでも足りません。
- 通貨単位と補助単位の名称
- 紙幣と硬貨の額面
- デザイン
- 偽造防止技術
- 印刷・鋳造の発注
- ランドから新通貨への交換方法
- 通貨を管理する中央銀行
- 国民への周知
こうした準備を経て、自国通貨のプラが誕生しました。
通貨名に外国語の一般的な単位を流用せず、セツワナ語の「プラ」と「テベ」を採用したことには、新しい国の通貨を国民自身のものにする意味もあったと考えられます。
1976年8月23日は「プラ・デー」
プラは1976年8月23日に正式導入されました。この日は「プラ・デー」と呼ばれています。
最初に発行された紙幣は次の4種類です。
- 1プラ
- 2プラ
- 5プラ
- 10プラ
硬貨は次の5種類でした。
- 1テベ
- 5テベ
- 10テベ
- 25テベ
- 50テベ
導入後の100日間は、ランドからプラへ交換するための移行期間が設けられました。中央銀行によると、交換は想定より早く進み、多くのランドが数週間のうちにプラへ交換されました。
政府広報誌には、新しい自国通貨を手にした国民の強い誇りが記録されています。
通貨の導入は、買い物に使うお金が変わっただけではありません。独立から10年を経たボツワナが、自国の名と文化を反映した通貨を持った出来事でした。
2026年に導入50周年
1976年8月23日に導入されたプラは、2026年8月23日に50周年を迎えます。
なお、「ボツワナ中央銀行の50周年」と「プラ導入50周年」は別の節目です。
- ボツワナ中央銀行:1975年設立、2025年に50周年
- プラ:1976年導入、2026年に50周年
ボツワナ中央銀行は2025年、自行の設立50周年を記念した限定P50紙幣を発表しました。これは中央銀行の周年記念であり、プラの導入50周年記念ではありません。
両者は時期が近いため、記事公開時には混同しないよう注意が必要です。
現在のプラ紙幣
ボツワナ中央銀行によると、現在の紙幣シリーズは2009年8月に導入されました。
主な額面は次の5種類です。
| 額面 | 通貨記号による表記 |
|---|---|
| 10プラ | P10 |
| 20プラ | P20 |
| 50プラ | P50 |
| 100プラ | P100 |
| 200プラ | P200 |
紙幣には、ボツワナの歴史的人物、教育、観光、産業など、国を表す題材が使われています。また、主要な偽造防止要素として、立ち上がったシマウマの透かしが採用されています。
紙幣の肖像や細部は改刷によって変わる可能性がありますが、「プラ」という通貨名には1976年から変わらない国の物語が残されています。
お金の名前から国の環境が見える
世界の通貨名には、その国の歴史や文化が反映されています。
たとえば、グアテマラの通貨「ケツァル」は同国を象徴する鳥、南アフリカの「ランド」は金鉱地帯ウィットウォーターズランドに由来します。
ボツワナの「プラ」は、自然環境から生まれた通貨名です。
雨が少なく、その訪れが人や家畜、農地、野生動物を支える国だからこそ、「雨」は祝福や繁栄を表す言葉になりました。
通貨名を調べると、金額や為替だけでは分からない、その国の自然や価値観まで見えてきます。
まとめ
ボツワナの通貨「プラ」には、雨と祝福という意味があります。
- 「プラ」はセツワナ語で雨・祝福
- 1プラは100テベ
- 「テベ」は盾という意味
- ボツワナは乾燥・半乾燥地域で、雨は貴重な恵み
- 「PULA」は国章に記された国家標語でもある
- 独立当初は南アフリカのランドを使用していた
- 1976年8月23日にプラを導入
- 2026年8月23日に導入50周年を迎える
普段何気なく使われている通貨の名前には、その国が大切にしてきたものが表れています。
ボツワナのプラは、雨の一滴が生命と繁栄をもたらすことを伝える通貨なのです。
記事クイズ
第1問
ボツワナの通貨「プラ」は、どのような意味でしょう?
- A. 星
- B. 雨・祝福
- C. 大地
- D. ダイヤモンド
答え:
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正解:B. 雨・祝福
プラはセツワナ語で雨を意味し、祝福や恵みを表す言葉としても使われます。
第2問
1プラの100分の1に当たる「テベ」は、どのような意味でしょう?
- A. 盾
- B. 牛
- C. 太陽
- D. 川
答え:
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正解:A. 盾
セツワナ語の「Thebe」は盾という意味です。1プラは100テベに分けられます。
第3問
ボツワナでプラが正式に導入された年はいつでしょう?
- A. 1966年
- B. 1974年
- C. 1976年
- D. 2009年
答え:
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正解:C. 1976年
ボツワナは1966年に独立しましたが、当初は南アフリカのランドを使用していました。プラの導入は1976年8月23日です。