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都市交通か?観光か?ロープウェイ最前線を制する国はどこだ

空を行き交うロープウェイが、いま都市交通と観光の両面で世界的に注目を集めています。ロープウェイの新時代、その覇者はどこでしょうか?

ロープウェイの主役交代!?都市と観光の「空中戦」が熱い

かつて「ロープウェイ」といえば、観光地の山に登るための乗り物というイメージが強かったですが、今や世界の空では全く異なる進化を遂げています。観光だけでなく、都市交通インフラとしてロープウェイを活用する国も増えています。果たして、空を制するのは「観光ロープウェイ」でしょうか?それとも「都市型ロープウェイ」でしょうか?世界中の最新データをもとに徹底比較してみました。

ロープウェイとは?基本をおさらい

ロープウェイとは、ケーブル(索道)を用いてゴンドラやキャビンを空中移動させる輸送手段の総称です。大きく分けて2種類あります。

  • 観光型ロープウェイ:観光地の山岳やリゾート地に設置され、景観やアクセスの利便性を提供します。
  • 都市型ロープウェイ:主に都市部の交通渋滞解消や、スラム地域などアクセス困難エリアの移動手段として活用されます。

近年は都市型ロープウェイが注目を集め、開発競争が加速しています。

世界の観光ロープウェイ最前線

ベネズエラ:メリダ・ケーブルカー(12.5km・高低差3,188m)

世界最大の標高差と総延長を誇ります。アンデス山脈を駆け抜けるこのケーブルカーは、まさに「空中の登山鉄道」です。標高4,765m地点にまで到達するスケールは圧巻です。

ベトナム:ホントム・ケーブルカー(7.9km)

2018年に開通した「ホントム・ケーブルカー」は、海上ロープウェイとしては世界最長の7.9kmを誇ります。南国リゾート・フーコック島とホントム島を結ぶこのゴンドラでは、海と島々の絶景を空から満喫できます。

スイス:グリンデルワルト~メンリッヒェン(6km)

スキーリゾートと絶景を結ぶヨーロッパ屈指の路線です。観光と実用を兼ね備え、冬はスキーヤーで賑わいます。

世界の都市型ロープウェイはここまで進化している!

横浜エアキャビン(YOKOHAMA AIR CABIN)
横浜エアキャビン(YOKOHAMA AIR CABIN)

メキシコ:Cablebús L2(10.55km)

2021年、メキシコシティに開業したこの路線は、世界最長の都市型ロープウェイです。全長10.55kmで、通勤・通学を空から快適にする未来型交通インフラとして活躍しています。

コロンビア:メデジン・メトロカブレ

スラム街の移動手段として成功を収めた都市型ロープウェイの先駆けです。治安改善・経済活性化に寄与したモデルケースとしても知られています。

フランス:グルノーブル都市型ロープウェイ

都市中心部と丘陵地を結ぶ公共交通機関です。既存のトラムやバスとの接続性も高く、欧州での都市型拡張の先例となっています。

日本:横浜エアキャビン(YOKOHAMA AIR CABIN)

2021年に開業した横浜エアキャビンは、日本初の本格的な都市型ロープウェイとして注目を集めました。桜木町駅と新港地区を約5分で結び、都市観光と交通機能を兼ね備えた設計が特徴です。風景と融合したスマートデザインも国内外から高い評価を得ています。

また、日本では他にも箱根や蔵王、立山黒部アルペンルートなど、観光型ロープウェイが豊富であり、都市と観光の両方において独自の進化を遂げています。

ロープウェイ事情を制するのはどこでしょうか?

  • 観光で攻める国:ベトナム、ベネズエラ、スイス、日本
  • 都市インフラで進化する国:メキシコ、コロンビア、フランス、日本

特にメキシコは、都市型ロープウェイを国家プロジェクトとして開発しており、2030年までに都市全体に網の目のように広がる計画もあります。

一方、ベトナムはホントム・ケーブルカー、ファンシーパン、バーナーヒルズといった大型観光ロープウェイを短期間で次々に開業しています。観光に特化したロープウェイ大国といえるでしょう。

ロープウェイのメリット・デメリット

観光型
  • メリット:絶景・話題性 → 観光収入に直結します
  • デメリット:季節・天候に左右されやすいです
都市型
  • メリット:地上インフラ不要 → 渋滞回避、CO2削減に貢献します
  • デメリット:初期投資が高額で、景観との調和が課題です

世界の空中戦、その先へ

今後のトレンドは、観光と都市交通のハイブリッド型ロープウェイです。観光地で生活する人々の移動と観光の両立を図るモデルが期待されています。アフリカや東南アジアの新興国では、低コスト・環境負荷の少ない都市型ロープウェイが注目されており、次なる「ロープウェイ新興大国」が生まれる可能性もあります。

環境・社会への影響も見逃せない

ロープウェイは、環境負荷が相対的に少ない移動手段とされており、持続可能な観光モデルとして国連WTOでも注目されています。

また、山岳部や少数民族地域に新たな雇用と産業をもたらし、インフラ整備の一環としても評価されています。

ロープウェイは単なる観光アトラクションではなく、世界各国で「空のインフラ」へと進化しています。ベトナムは観光型ロープウェイの覇者であり、メキシコやコロンビアは都市型のパイオニアとして名乗りを上げています。そして日本も、観光と都市型の融合に向けて静かに動き出しています。あなたが次に旅行する国では、もしかすると“空の通勤”が当たり前になっているかもしれません。旅の計画を立てる際には、その地のロープウェイ事情もぜひチェックしてみてください。

観光で乗ってみたいロープウェイはどこですか?コメントで教えてください!
都市型ロープウェイに乗ってみたい方は、メキシコ・メデジン・フランス・横浜の交通網もチェックしてみてください!