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ギリシャ

Greece

ギリシャのCO2排出量推移

国連食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ギリシャのCO2排出量は1990年から2005年にかけて増加傾向が見られましたが、2006年以降は減少に転じています。特に2010年以降は著しい減少が見られ、2020年には71,345,926トンと、1990年の排出量と比較して約29%の削減が達成されています。一方で、2018年には一時的に増加が見られるなど、近年の変動にも注目が必要です。これらの現象には経済的要因や政策変更が背景として影響していると考えられます。

「ギリシャ」のCO2排出量推移

年度 CO2排出量
2020年 71,345,926トン
2019年 82,955,381トン
2018年 86,643,433トン
2017年 72,238,515トン
2016年 84,984,664トン
2015年 88,270,235トン
2014年 91,347,131トン
2013年 93,150,693トン
2012年 103,980,558トン
2011年 103,491,285トン
2010年 107,965,745トン
2009年 116,200,988トン
2008年 121,181,492トン
2007年 122,274,997トン
2006年 121,759,633トン
2005年 124,880,433トン
2004年 123,224,086トン
2003年 121,635,259トン
2002年 119,703,534トン
2001年 117,540,636トン
2000年 118,477,123トン
1999年 115,056,944トン
1998年 115,168,448トン
1997年 110,586,199トン
1996年 107,218,678トン
1995年 105,392,801トン
1994年 104,164,861トン
1993年 101,644,471トン
1992年 102,711,565トン
1991年 101,029,481トン
1990年 100,981,191トン

ギリシャのCO2排出量推移を観察すると、1990年から2005年にかけて、全体的に着実な増加傾向が続いています。この時期は、ギリシャ経済が安定成長期にあり、特にエネルギー消費の増加や産業活動の活発化が排出量の増加に寄与したとみられます。例えば、2005年の124,880,433トンは1990年の排出量と比較して約24%の増加です。また、1990年代後半には115,000,000トンを超え、2000年代に入るとエネルギー需要のさらなる拡大と相まって120,000,000トンを上回っています。

しかし、2006年以降、排出量は減少に転じています。この時期の背景には、2008年の世界金融危機が深い関係があります。この危機によってギリシャ経済は長期的な財政問題に直面し、産業活動や消費活動が大きく抑制されました。その結果としてCO2排出量も減少したと考えられます。特に、2010年から2016年にかけてのCO2削減は顕著であり、2020年には71,345,926トンと、全期間の中で最も低い排出量を記録しました。

加えて、再生可能エネルギー政策の推進や、低炭素型産業への転換も重要な要因として挙げられます。ギリシャはEU加盟国として、2030年までの温室効果ガス削減目標や温暖化対策を推進しており、この動きが一定の成果を上げていると言えます。ただし、2018年には一時的に排出量が増加しており、この時期の排出量は86,643,433トンと、前年の水準から約20%の増加を示しています。これは、一部産業の再活性化や一過性のエネルギー需要の高まりが影響した可能性があります。

今後の課題として、ギリシャの排出量削減の継続的な進展には、経済的基盤を支えながら、さらなる再生可能エネルギーの普及や脱炭素技術の推進が必要です。例えば、太陽光発電や風力発電を活用した地域エネルギー政策を強化しつつ、電動車両のインフラ整備を進めることで、持続可能な脱炭素社会の実現が可能となります。また、建築物の断熱性能を高める政策も消費エネルギーの削減に寄与すると考えられます。

ギリシャ以外の国々との比較に目を向けると、日本やドイツなどでは既に進んだ脱炭素社会の取り組みがかかげられていますが、それらの国々と同様に、ギリシャもエネルギー効率化施策を加速する必要があります。EU内における国際協力も鍵となるでしょう。特に、これまで取り組みの遅れが指摘されている部分の改善には、資金援助や技術提供を活用することで、長期的な削減目標の達成が可能になります。

総じて、過去30年間にわたるギリシャのCO2排出量推移を見ると、経済の影響が大きいながらも、政策・技術の進歩が確実に実を結びつつあることが分かります。将来的には、より広い国際的な連携と国内経済の再生を両立させる形で、新たな持続可能な社会モデルを築くことが期待されます。