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キリバス

Kiribati

キリバスのCO2排出量推移

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年11月に更新したデータによると、キリバスのCO2排出量は過去30年間で増加傾向にあります。1990年の時点では約42,000トンでしたが、2020年には約112,800トンとなり、2.7倍以上の増加を記録しました。この増加は、2000年以降特に顕著であり、2010年代にかけて年々上昇している結果が示されています。一方で、経済発展の規模に比して年間排出量自体は非常に低い水準にとどまっています。

「キリバス」のCO2排出量推移

年度 CO2排出量
2020年 112,844トン
2019年 112,790トン
2018年 105,975トン
2017年 101,537トン
2016年 100,902トン
2015年 96,369トン
2014年 91,790トン
2013年 83,867トン
2012年 83,408トン
2011年 86,371トン
2010年 88,812トン
2009年 84,458トン
2008年 95,141トン
2007年 87,289トン
2006年 94,066トン
2005年 86,187トン
2004年 74,386トン
2003年 70,313トン
2002年 66,319トン
2001年 53,913トン
2000年 57,239トン
1999年 52,082トン
1998年 51,764トン
1997年 51,315トン
1996年 50,959トン
1995年 50,366トン
1994年 49,991トン
1993年 49,861トン
1992年 46,062トン
1991年 42,173トン
1990年 42,039トン

キリバスのCO2排出量データを見ると、1990年からの30年間でほぼ一貫して上昇傾向にあることが明らかです。特に2000年以降の成長は目を見張るものがあり、例えば2000年から2020年までの20年間の増加率は2倍を超えています。これは人口増加に伴うエネルギー消費量の増加や、国内における経済発展の遅いながらの進展を反映していると思われます。ただし、2020年の112,800トンという数字は、世界規模で排出量の多い国々と比較すると非常に小さい水準です。例えば、同年のアメリカ合衆国のCO2排出量は約50億トン、日本も約10億トンに達しています。それに比べれば、キリバスの影響はごく限定的です。

しかしながら、キリバスが小さな島国であることを考慮すると、この排出量の増加は注目すべき問題を含んでいます。キリバスは地理的に太平洋の小島嶼国に属し、その経済規模が非常に小さいため、1人当たりの排出量が世界的に低い水準にある一方で、気候変動の影響を強く受ける地域に位置しています。気候変動に起因する海面上昇やサンゴ礁の劣化、異常気象の頻発は、この地域の国民生活や経済基盤に深刻な影響を与えています。

特に、2000年代前半から中盤にかけて急激に排出量が増加している点に注目するべきです。この時期には、エネルギー消費の主な要因が海外支援のもとでインフラ整備が進んだこと、特に化石燃料に依存した発電所や輸送手段が普及したことが挙げられます。しかし近年では、再生可能エネルギーの導入が注目される一方で、その進展は限定的です。資金や技術面での支援が不十分であることが課題となっています。

また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、2020年を含む直近数年間では世界的に経済活動の停滞が見られましたが、キリバスではCO2排出量にそれほど大きな減少は見られませんでした。このことは、経済規模の小ささ故に国際的な経済変動の影響を大きく受けにくいという側面が反映されている可能性があります。

このデータが示すもう一つの課題は、グローバルな影響に対する小国の立場の弱さです。キリバス自身のCO2排出量は世界的な問題を大きく悪化させるほどではありませんが、逆にこの国が気候変動の進行により最も大きな損失を受ける地域の一つであることには変わりありません。そのため、国際社会が協力して気候変動対策を推進するとともに、キリバスのような地域への援助を拡充していく必要があります。

今後の提案として、まずエネルギー政策の転換が求められます。現状では輸入化石燃料への強い依存が問題となっていますが、豊富な太陽光や風力といった自然エネルギー資源を利用した再生可能エネルギーの導入が期待されます。また、国際的な援助を受けながら、エネルギー効率を向上させるための技術移転や、地元住民への啓発活動を行うことが重要です。このほか、国際社会によるインフラ整備と温暖化対策資金の支援を通じて、キリバスが直面する課題を根本的に解決する支援体制を整えていくべきです。

結論として、キリバスのCO2排出量については、世界規模で見れば小規模ではあるものの、増加傾向にあることは事実です。そして、この増加が同国の自然環境や生活へ及ぼす影響を最小限に抑えるためには、グローバルな気候変動対策の枠組みの中で、積極的かつ実効性の高い支援を進めていくことが必要不可欠です。