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スリランカ

Sri Lanka

スリランカのCO2排出量推移

FAO(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、スリランカのCO2排出量は1990年に17,195,384トンであったのに対し、2020年には38,698,051トンとなり、この30年間で約2.25倍に増加しました。同期間では、2000年代以降の排出量の増加率が特に顕著であり、2015年以降の変動も特徴的です。2000年の22,867,819トンから2019年の39,023,280トンまで、そのペースは加速しています。他方で、2020年には若干の減少が見られましたが、これは特殊な外的要因が影響した可能性もあります。

「スリランカ」のCO2排出量推移

年度 CO2排出量
2020年 38,698,051トン
2019年 39,023,280トン
2018年 36,585,198トン
2017年 36,639,016トン
2016年 37,676,601トン
2015年 35,204,832トン
2014年 32,262,652トン
2013年 29,834,428トン
2012年 31,090,627トン
2011年 29,928,404トン
2010年 27,811,745トン
2009年 27,031,090トン
2008年 26,643,568トン
2007年 25,578,782トン
2006年 25,452,307トン
2005年 25,608,482トン
2004年 24,849,679トン
2003年 23,990,076トン
2002年 23,709,947トン
2001年 22,832,878トン
2000年 22,867,819トン
1999年 21,293,156トン
1998年 19,975,944トン
1997年 20,670,404トン
1996年 20,025,754トン
1995年 19,544,551トン
1994年 19,202,285トン
1993年 18,372,438トン
1992年 18,229,572トン
1991年 16,959,841トン
1990年 17,195,384トン

スリランカのCO2排出量の推移を観察すると、1990年から2020年の約30年間にわたって持続的な増加傾向が見られます。このデータは、スリランカの経済や社会、そしてエネルギー利用の変化を裏付けるものといえます。1990年代前半は緩やかな増加傾向にあったものの、2000年代に入ってからは特に目立つようになり、2010年代後半ではさらに明確な上昇が続きました。ただし、2020年には直近の2019年に比べて約32万5千トンの減少が見られます。これは、同年に世界的に影響を及ぼした新型コロナウイルス感染拡大による経済活動の縮小が要因であると考えられます。

こうした長期的増加の背景には、経済発展に伴ったエネルギー需要の拡大、特に石炭や石油といった化石燃料への依存があると考えられます。スリランカは発電の一部に再生可能エネルギーを取り入れてはいますが、主に依存しているのは化石燃料であり、この傾向が排出増加を加速させていると分析されます。隣国であるインドでは、同じように経済成長に伴うエネルギー消費の増加がCO2排出量に影響してきましたが、スリランカの成長ペースとそのパターンには若干の違いがあります。また、中国やアメリカのような大国に比べると絶対量は小さいものの、国土面積や人口規模を考慮すれば、スリランカが直面する課題は重大と言えます。

地域ごとの課題として、スリランカは地理的にインド洋に囲まれた島国であり、気候変動による直接的な影響を受けやすい状況にあります。海面上昇や台風の頻発によって、農業や水資源管理における課題が拡大します。このため、CO2排出量の抑制はスリランカの持続可能な経済と生活環境の維持に直結すると言えます。さらに、エネルギー政策が温室効果ガス削減の側面からだけでなく、持続可能性や経済的競争力向上とも密接に関連しているため、より構造的な変革が求められる局面です。

課題に対する一例として、再生可能エネルギーのさらなる導入や、省エネルギー技術の普及が挙げられます。すでに水力発電などの自然エネルギー資源を一部活用しているスリランカですが、太陽光や風力といった他のエネルギー資源を大規模に拡充することで、さらに化石燃料への依存を減らすことが可能です。また、地域軸の枠組みとして、インド、バングラデシュなどの近隣諸国と技術協力を進めることも一つの方策です。これには、電力網の統合やエネルギー貿易の仕組みを活用する可能性も含まれます。

さらに、スリランカ内での長期的な排出削減目標を設定し、規制強化だけでなく、市民や企業の行動変容を促進する政策が不可欠です。例えば、日本が経験した省エネ家電推進や生活スタイルの見直し運動は一つの参考例として活用可能です。併せて、国際社会との協力を強め、投入された資金や技術によって長期的な低炭素経済を構築すべきです。

結論として、スリランカのCO2排出量増加の要因は複合的ですが、これに対する緩和措置には、再生可能エネルギー戦略の拡充や地域間連携の構築が必要です。また、長期的に見て、国全体でのエネルギー使用効率を高めることと、教育や啓発を通じて環境意識を高めるアプローチが重要です。この課題への取り組みは、スリランカ国内の持続可能な発展だけでなく、地域全体や地球規模の課題解決にも寄与するものと言えるでしょう。