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カンボジア

Cambodia

カンボジアのCO2排出量推移

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、カンボジアのCO2排出量は過去30年間にわたり全体的に増加しています。1990年の19,109,846トンから2020年には47,596,537トンに達し、おおよそ2.5倍に増加しました。この成長は、とりわけ2000年以降の経済成長や工業化の進展が関与しています。一方で、カンボジアのCO2排出量の上昇は、気候変動や環境保全の課題に対して新たな対応を求める状況を浮き彫りにしています。

「カンボジア」のCO2排出量推移

年度 CO2排出量
2020年 47,596,537トン
2019年 47,778,934トン
2018年 44,625,558トン
2017年 42,963,090トン
2016年 39,610,874トン
2015年 37,389,408トン
2014年 35,108,479トン
2013年 34,639,326トン
2012年 34,584,605トン
2011年 35,026,792トン
2010年 33,615,803トン
2009年 32,806,077トン
2008年 30,233,497トン
2007年 29,579,535トン
2006年 28,707,109トン
2005年 27,193,815トン
2004年 25,593,527トン
2003年 26,267,727トン
2002年 24,548,315トン
2001年 23,752,924トン
2000年 23,635,386トン
1999年 24,768,706トン
1998年 23,427,086トン
1997年 22,811,139トン
1996年 22,670,672トン
1995年 22,315,359トン
1994年 18,959,707トン
1993年 20,310,631トン
1992年 19,381,802トン
1991年 18,797,241トン
1990年 19,109,846トン

カンボジアのCO2排出量データを長期的に観察してみると、1990年から2020年にかけて排出量が急激に上昇していることが分かります。1990年代初頭には年間20,000,000トン未満で推移していた排出量は、2000年代中盤以降約30,000,000トンを超え、2010年頃からはさらに焼き増し的に成長しました。2020年には47,596,537トンに達し、全体として2.5倍以上の規模となっています。これは同時期の人口増加、都市化、電力需要の拡大、そして工業化に伴う化石燃料使用の増加が要因として指摘されます。

他国との比較を行うと、カンボジアのCO2排出量は世界的にはまだ比較的小規模ですが、その増加率には注目が必要です。同じ東南アジア地域のベトナムやタイも経済成長に伴い排出量を増加させていますが、カンボジアは工業化が近年急速に進んでいる点が一つの特徴といえます。日本の約1億トン、中国の約90億トン(2020年)という規模感と比較するとまだ小さいものの、このペースでの成長は将来的にカンボジア特有のリスクにつながる可能性があります。

また、2009年から2019年にかけてはほぼ一貫して増加傾向にあることも分かります。この期間には国内の経済成長に拍車がかかり、特に輸出向け製造業やインフラ整備の需要が高まったことが挙げられます。しかし2020年では、COVID-19パンデミックの影響が反映され、排出量は若干減少しています(2019年の47,778,934トンから2020年の47,596,537トンへ)。一方、このような一時的な減少は緩やかなものであり、基調としての増加トレンドには大きな変化はありません。

地域的な課題として、特にエネルギー構造が影響しています。カンボジアでは石炭や木材燃料による発電が主要エネルギー源であるため、これが大量のCO2排出の原因となっているのが現状です。また、違法伐採や森林資源の消耗も、地域の炭素排出効率の悪化を助長する要因として挙げられます。他国では再生可能エネルギーの導入が進んでいますが、カンボジアではこの分野で技術や資金面での課題に直面しています。

将来への具体策として、まずエネルギー政策の方向性を再生可能エネルギーへとシフトすることが求められます。特に太陽光発電や河川を活用した水力発電の普及推進がカギとなるでしょう。また、国際的な支援を受けながら技術移転を行い、化石燃料依存からの脱却を進めるべきです。それに加えて森林保全プログラムを強化し、違法伐採の徹底的な取り締まりと植林計画の推進を組み合わせることが重要です。

地政学的観点では、カンボジアが属する東南アジア地域は気候変動の影響を受けやすい地域の一つです。CO2排出量の増加は、気温上昇や豪雨、洪水といった地域特有の災害リスクを高める恐れがあります。また、国際的な気候政策のプレッシャーを受けながら、地域間協力を通じた低炭素社会の実現が求められるでしょう。ASEAN(東南アジア諸国連合)の枠組みで協力することで、より効率的な資源管理や技術共有が可能となるかもしれません。

結論として、カンボジアのCO2排出量増加は、地域や地球規模の環境問題と直結する重要な課題といえます。今後、持続可能なエネルギー政策の策定と実行、多国間協力による技術移転、そして国内の法整備による自然環境の保全を通じて、より健全な発展を目指すことが不可欠です。