ブータンの1950年～2100年総人口推移｜実データと未来予測を徹底解説

出典：国連事務局(United Nations) World Population Prospects 2024

国連経済社会局人口部のデータに基づき、ブータンの総人口は1950年の約17万人から2023年には約79万人と著しい増加を遂げました。しかしながら、2100年の時点では総人口は約69万人に減少すると予測されています。この推移の中で、1991年から1995年にかけて人口減少が見られる一時的な時期と、2050年以降の長期的な減少傾向が今後の重要な課題として浮き彫りになります。

「ブータン」総人口推移（過去）

「ブータン」総人口推移（未来予測）

ブータンってどんなところ?

正式名称: ブータン王国
英語名: Bhutan
首都: ティンプー（Thimphu）
地域: アジア /南アジア
総人口: 78万人
面積: 38,140 ㎢

「ブータン」の総人口推移について

ブータンの人口推移データを分析すると、同国は長きにわたり人口増加を続けてきたものの、多くの国と同様、2050年以降は減少に向かうことが予測されています。1950年には約17万人だった人口は、その後70年以上にわたり着実に増加を続け、2023年には約79万人となりました。この成長は、医療の向上による死亡率の低下や経済の安定化とそれに伴う生活環境の改善が主因であると考えられます。

しかし、データからはこの増加傾向が1990年代初頭に一時的に停滞し、一部では減少していたことが分かります。特に1992年から1995年にかけては、人口が55万人程度で横這いまたは減少に転じました。この時期、ブータン国内では地政学的課題が浮き彫りになり、特にネパール系住民に関連する社会的不安や移住に起因する影響が一因として挙げられます。これらの状況は、人口動態に直接的に影響を与えたと考えられます。

2023年時点では人口は引き続き増加中ですが、2050年以降に人口がピークに達し、その後は減少傾向に転じるとされています。この減少は、高齢化や出生率の低下が主因と考えられます。先進国で見られる傾向と同様に、教育水準の向上や生活水準の改善が出生率に影響を与える可能性が高いです。例えばブータンでは、女性の社会参画や職場での活躍の増加によって家族計画が重視されるようになり、順位の出生数が減少していくと予測されます。

また、人口減少が進むことで国の経済や社会に大きな影響を及ぼすことが懸念されます。現在、ブータンのGDP（国内総生産）は成長を続けていますが、少子高齢化によって労働人口が減少すれば、国内の消費活動や税収にも影響が及ぶでしょう。加えて、医療費の拡大や年金制度への負担が増し、国の財政に圧力をかけることが予想されます。

これに対処するためには、いくつかの具体的な政策を講じることが必要です。第一に、出生率を支えるための家族支援策が重要です。例えば、家族手当や育児休暇制度の整備、幼児教育の無料化などを進めることで、若年層の子育てを支援することが可能です。第二に、人口減少の緩和には移民政策の活用も選択肢となります。特に、近隣のインドやネパールとの地域間協力を強化し、労働力の輸入を促進するとともに、移民の社会適応を支援する施策を導入するとよいでしょう。

さらに、長期的な視点では経済構造の改革が欠かせません。ブータンでは近年観光産業が経済の柱となっていますが、労働効率を上げるためのデジタル技術の導入や農業の近代化も重要な課題です。これにより経済成長を維持しつつ、高齢化が進む中でも生産性を高めることが期待できます。

なお、地政学的なリスクも引き続き監視が必要です。隣国である中国やインドとの関係は、人口動態や移民政策にも間接的な影響を与えることがあります。例えば、国境問題や水資源の争奪などが生じた場合、それが社会不安や移民流出を生む可能性もあるため、外交政策の安定化を図ることも重要な要素です。

誰一人取り残さず、持続可能な社会を目指すことは、ブータンのみならずすべての国が直面する課題です。国際機関や近隣諸国との連携を深めながら、包括的な政策を展開することでブータンはこの人口減少に立ち向かうことができるでしょう。人口減少という課題を解決する過程で、新たな成長の契機を見出すことが期待されます。

1950年から2100年までの「ブータン」の総人口推移

年度	総人口	人口変化	増加率
1950年	16万人	+4,514	2.656% ↑
1951年	17万人	+4,722	2.705% ↑
1952年	17万人	+4,838	2.697% ↑
1953年	18万人	+5,067	2.749% ↑
1954年	18万人	+5,174	2.731% ↑
1955年	19万人	+5,416	2.781% ↑
1956年	20万人	+5,559	2.776% ↑
1957年	20万人	+5,772	2.803% ↑
1958年	21万人	+5,941	2.806% ↑
1959年	21万人	+6,174	2.835% ↑
1960年	22万人	+6,364	2.840% ↑
1961年	23万人	+6,673	2.894% ↑
1962年	23万人	+7,393	3.111% ↑
1963年	24万人	+7,648	3.120% ↑
1964年	25万人	+8,014	3.168% ↑
1965年	26万人	+8,413	3.221% ↑
1966年	26万人	+8,826	3.271% ↑
1967年	27万人	+9,238	3.313% ↑
1968年	28万人	+9,680	3.358% ↑
1969年	29万人	+10,126	3.396% ↑
1970年	30万人	+10,502	3.404% ↑
1971年	31万人	+10,863	3.403% ↑
1972年	33万人	+11,244	3.405% ↑
1973年	34万人	+11,638	3.406% ↑
1974年	35万人	+12,027	3.402% ↑
1975年	36万人	+12,479	3.412% ↑
1976年	37万人	+12,921	3.414% ↑
1977年	39万人	+13,377	3.416% ↑
1978年	40万人	+13,830	3.413% ↑
1979年	41万人	+14,083	3.360% ↑
1980年	43万人	+14,326	3.306% ↑
1981年	44万人	+14,537	3.246% ↑
1982年	46万人	+14,762	3.192% ↑
1983年	47万人	+15,188	3.181% ↑
1984年	49万人	+15,461	3.138% ↑
1985年	50万人	+15,755	3.099% ↑
1986年	52万人	+16,109	3.073% ↑
1987年	54万人	+16,355	3.026% ↑
1988年	55万人	+16,503	2.963% ↑
1989年	57万人	+16,698	2.911% ↑
1990年	58万人	+14,704	2.495% ↑
1991年	59万人	+6,289	1.049% ↑
1992年	57万人	-50,308	-8.713% ↓
1993年	55万人	+4,105	0.740% ↑
1994年	55万人	-4,455	-0.803% ↓
1995年	54万人	-8,562	-1.562% ↓
1996年	54万人	+10,151	1.850% ↑
1997年	55万人	+9,675	1.732% ↑
1998年	56万人	+11,802	2.073% ↑
1999年	58万人	+14,486	2.487% ↑
2000年	59万人	+14,082	2.359% ↑
2001年	61万人	+13,781	2.256% ↑
2002年	62万人	+13,447	2.154% ↑
2003年	63万人	+13,063	2.049% ↑
2004年	65万人	+12,699	1.952% ↑
2005年	66万人	+9,943	1.502% ↑
2006年	67万人	+7,925	1.181% ↑
2007年	67万人	+7,758	1.143% ↑
2008年	68万人	+7,663	1.116% ↑
2009年	69万人	+7,610	1.097% ↑
2010年	70万人	+7,678	1.094% ↑
2011年	70万人	+7,812	1.101% ↑
2012年	71万人	+7,993	1.114% ↑
2013年	72万人	+7,994	1.102% ↑
2014年	73万人	+7,739	1.056% ↑
2015年	74万人	+7,218	0.975% ↑
2016年	74万人	+7,278	0.973% ↑
2017年	75万人	+5,659	0.750% ↑
2018年	75万人	+5,190	0.683% ↑
2019年	76万人	+4,940	0.646% ↑
2020年	77万人	+5,424	0.704% ↑
2021年	77万人	+5,447	0.702% ↑
2022年	78万人	+5,499	0.704% ↑
2023年	78万人	+5,442	0.692% ↑
2024年	79万人	+4,837	0.611% ↑
2025年	79万人	+5,477	0.687% ↑
2026年	80万人	+5,588	0.697% ↑
2027年	80万人	+4,514	0.559% ↑
2028年	81万人	+4,639	0.571% ↑
2029年	81万人	+4,220	0.517% ↑
2030年	82万人	+4,626	0.564% ↑
2031年	82万人	+4,929	0.597% ↑
2032年	83万人	+4,821	0.581% ↑
2033年	83万人	+4,458	0.534% ↑
2034年	83万人	+3,656	0.436% ↑
2035年	84万人	+4,661	0.553% ↑
2036年	84万人	+4,339	0.512% ↑
2037年	85万人	+3,942	0.463% ↑
2038年	85万人	+3,487	0.408% ↑
2039年	85万人	+3,237	0.377% ↑
2040年	86万人	+3,183	0.369% ↑
2041年	86万人	+2,873	0.332% ↑
2042年	86万人	+3,125	0.360% ↑
2043年	87万人	+2,764	0.317% ↑
2044年	87万人	+2,514	0.288% ↑
2045年	87万人	+2,353	0.269% ↑
2046年	87万人	+1,618	0.184% ↑
2047年	87万人	+977	0.111% ↑
2048年	88万人	+1,093	0.124% ↑
2049年	88万人	+796	0.090% ↑
2050年	88万人	+1,013	0.115% ↑
2051年	88万人	+1,086	0.123% ↑
2052年	88万人	-120	-0.014% ↓
2053年	88万人	-615	-0.070% ↓
2054年	88万人	+499	0.056% ↑
2055年	88万人	-580	-0.066% ↓
2056年	88万人	-1,206	-0.137% ↓
2057年	88万人	-97	-0.011% ↓
2058年	88万人	-1,320	-0.150% ↓
2059年	87万人	-1,274	-0.145% ↓
2060年	87万人	-1,884	-0.215% ↓
2061年	87万人	-2,078	-0.237% ↓
2062年	87万人	-2,258	-0.258% ↓
2063年	87万人	-1,933	-0.222% ↓
2064年	86万人	-2,211	-0.254% ↓
2065年	86万人	-3,247	-0.374% ↓
2066年	86万人	-3,496	-0.405% ↓
2067年	86万人	-3,416	-0.397% ↓
2068年	85万人	-3,508	-0.409% ↓
2069年	85万人	-3,866	-0.453% ↓
2070年	84万人	-3,657	-0.430% ↓
2071年	84万人	-4,387	-0.519% ↓
2072年	84万人	-4,639	-0.552% ↓
2073年	83万人	-5,175	-0.619% ↓
2074年	83万人	-5,194	-0.625% ↓
2075年	82万人	-4,815	-0.583% ↓
2076年	82万人	-4,716	-0.574% ↓
2077年	81万人	-4,703	-0.576% ↓
2078年	81万人	-5,453	-0.672% ↓
2079年	80万人	-5,768	-0.716% ↓
2080年	79万人	-5,727	-0.716% ↓
2081年	79万人	-5,969	-0.752% ↓
2082年	78万人	-5,597	-0.710% ↓
2083年	78万人	-6,018	-0.769% ↓
2084年	77万人	-5,440	-0.700% ↓
2085年	77万人	-5,535	-0.718% ↓
2086年	76万人	-5,631	-0.735% ↓
2087年	75万人	-6,279	-0.826% ↓
2088年	75万人	-5,909	-0.784% ↓
2089年	74万人	-6,054	-0.810% ↓
2090年	74万人	-5,845	-0.788% ↓
2091年	73万人	-5,981	-0.813% ↓
2092年	73万人	-5,558	-0.761% ↓
2093年	72万人	-5,083	-0.701% ↓
2094年	71万人	-5,233	-0.727% ↓
2095年	71万人	-5,206	-0.729% ↓
2096年	70万人	-4,686	-0.661% ↓
2097年	70万人	-4,761	-0.676% ↓
2098年	70万人	-4,458	-0.637% ↓
2099年	69万人	-4,862	-0.699% ↓
2100年	69万人	-5,102	-0.739% ↓