国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータによると、南アフリカのCO2排出量は1990年の約4億6,350万トンから2020年の約5億8,950万トンと、全体的に増加しましたが、ピークに達した2008年の約6億8,480万トンから減少傾向にあります。2020年の数値は、経済活動の低下が影響した可能性がありますが、依然として高い排出量を維持しています。
「南アフリカ」のCO2排出量推移
年度 | CO2排出量 |
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2020年 | 589,530,827トン |
2019年 | 627,230,073トン |
2018年 | 612,273,369トン |
2017年 | 631,279,714トン |
2016年 | 623,878,797トン |
2015年 | 617,958,901トン |
2014年 | 650,955,938トン |
2013年 | 622,953,131トン |
2012年 | 626,336,626トン |
2011年 | 637,588,339トン |
2010年 | 634,555,030トン |
2009年 | 683,790,330トン |
2008年 | 684,818,688トン |
2007年 | 656,147,568トン |
2006年 | 634,355,774トン |
2005年 | 602,407,146トン |
2004年 | 623,217,835トン |
2003年 | 572,688,359トン |
2002年 | 523,236,224トン |
2001年 | 533,486,890トン |
2000年 | 566,421,643トン |
1999年 | 533,636,749トン |
1998年 | 535,498,869トン |
1997年 | 542,383,042トン |
1996年 | 517,008,720トン |
1995年 | 511,048,602トン |
1994年 | 481,321,857トン |
1993年 | 462,066,994トン |
1992年 | 446,533,216トン |
1991年 | 474,409,640トン |
1990年 | 463,507,921トン |
南アフリカのCO2排出量データを詳細に分析すると、1990年代には4億トン台後半で推移していた排出量が、2000年代に入ると急激に増加し、2008年に約6億8,480万トンとピークを迎えました。その後は、わずかに減少する傾向が見られますが、2020年でも依然として5億8,950万トンの排出量を記録しており、国際的な脱炭素化の要請に応えるにはまだ課題が多い状況です。
特に2000年代初頭からの排出量増加は、国内経済の成長や人口増加、エネルギー需要の拡大が背景にあります。南アフリカは石炭をエネルギーの主力として依存しており、石炭火力発電は同国のエネルギー供給の約80%を占めています。このことがCO2排出量の主要因となっており、再生可能エネルギーや他の低炭素エネルギーへの移行が進まない限り、大きな変更は見込めないと推測されます。
一方、2018年以降は排出量が減少傾向を示しています。これは、南アフリカの経済成長が鈍化したことや、2020年には新型コロナウイルス感染症のパンデミックが影響し、工業活動や輸送部門が停滞したことが要因と考えられます。しかし、こうした一時的な下落が持続可能な低炭素社会への道筋を意味しているわけではなく、緩和策が求められます。
国際的な文脈において、南アフリカのCO2排出量は、同じ新興国であるインド(約25億トン)や中国(約100億トン)に比べれば少ないですが、日本(約10億トン)やドイツ(約7億トン)など成熟した先進国の水準には及びません。このギャップは、エネルギー構造や技術的進展の差に起因しています。さらに、資源依存型経済が脱炭素化を阻む要因となっており、不平等な経済構造も課題の一つです。
今後、南アフリカが再生可能エネルギーやクリーンテクノロジーをより積極的に採用し、国際的な支援を得てエネルギー転換を進めることが不可欠です。具体的には、国として再生可能エネルギーへの投資を拡大するとともに、多国籍企業や国際機関との連携を深め、革新的な炭素削減技術の導入を目指すべきです。また、地域の石炭依存度が高い労働者層への教育や職業訓練プログラムの整備も重要です。エネルギー転換期における公正な移行政策が社会的不安を軽減する鍵になるでしょう。
さらに、地球規模での協力が求められます。エネルギー転換や産業改革には大規模な資金と技術が必要であり、G20加盟国としての南アフリカが国際的な場で持続可能なエネルギー政策を強く打ち出すことが期待されています。世界全体でのCO2排出課題を解決するためには、南アフリカのような石炭依存国が脱炭素化を進めるための具体的支援が欠かせないと言えます。
結論として、南アフリカは過去30年間のCO2排出量の推移から、経済的な発展とエネルギー構造の変化に伴う課題を抱えてきました。今後は、クリーンエネルギー技術の導入、石炭からの脱却、国際的なパートナーシップを通じて、持続可能な発展を実現するための取り組みを加速する必要があります。これにより、国際社会全体の脱炭素目標に貢献し、地域社会の発展にもつなげることができるでしょう。