Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)の2024年11月時点での最新データによると、大韓民国の二酸化炭素(CO2)排出量は、1990年から2018年にかけて着実に増加しましたが、2019年以降減少傾向を示しています。最も排出量が多かったのは2018年の738,715,233トンで、2020年には671,378,521トンまで減少しました。このデータは、韓国産業の発展やエネルギー政策の転換、さらにはパンデミックによる一時的な経済活動の停止などが影響していると推察されます。
「大韓民国」のCO2排出量推移
年度 | CO2排出量 |
---|---|
2020年 | 671,378,521トン |
2019年 | 712,920,353トン |
2018年 | 738,715,233トン |
2017年 | 722,688,349トン |
2016年 | 719,640,256トン |
2015年 | 690,765,896トン |
2014年 | 686,973,652トン |
2013年 | 684,367,660トン |
2012年 | 677,404,208トン |
2011年 | 677,691,425トン |
2010年 | 650,328,867トン |
2009年 | 590,159,592トン |
2008年 | 592,034,741トン |
2007年 | 582,182,818トン |
2006年 | 554,057,967トン |
2005年 | 551,719,586トン |
2004年 | 565,815,064トン |
2003年 | 549,185,421トン |
2002年 | 552,512,994トン |
2001年 | 534,946,933トン |
2000年 | 535,275,882トン |
1999年 | 486,915,976トン |
1998年 | 448,131,114トン |
1997年 | 509,767,688トン |
1996年 | 478,364,329トン |
1995年 | 445,355,427トン |
1994年 | 413,766,477トン |
1993年 | 390,819,885トン |
1992年 | 348,948,511トン |
1991年 | 331,385,083トン |
1990年 | 315,491,680トン |
大韓民国のCO2排出量推移を振り返ると、1990年から2018年にかけてほぼ一貫して増加しています。この期間には、韓国が経済的な急成長を遂げたことが排出量拡大の主要な要因として挙げられます。特に産業部門や製造業、エネルギー部門での石炭や石油の使用が中心となり、これがエネルギー由来の排出増加に直接的に結びつきました。例えば、1990年の排出量が約3億トンだった一方で、2018年にはその2倍以上の7億3千トン超えに達しており、短期間での急激な排出増が見て取れます。
しかし、2019年以降、この増加傾向に歯止めがかかりました。2019年から2020年にかけては約4,150万トンの減少が確認されますが、これは単に経済成長の停滞だけでなく、政府が取り組みを強化した政策的要因が絡んでいます。具体的には、気候変動問題への国際的な圧力が強まる中、韓国政府も再生可能エネルギーの導入促進や産業効率化を進めました。さらに2020年には、新型コロナウイルス感染症の世界的流行に伴う工場稼働率の低下や人的移動の減少も大きく影響しています。
また、韓国のこの増減の背景を他国との比較で見ると興味深い傾向が浮かび上がります。近隣の中国と比べれば、韓国の排出量水準は総量こそ少ないものの、GDP(国内総生産)当たりの排出換算ではなお高い部類に属します。日本や欧州諸国、特にドイツと比較しても、1人当たりの排出量が高いことが課題です。韓国が主要輸出国であることを考慮すると、モノを生産するためのエネルギー消費がこの傾向を加速させていることが分かります。
地政学的にも多くの側面で影響が見られます。韓国は国土が狭く人口密度が高いため、都市部での集中したエネルギー消費が二酸化炭素排出量に多大に影響しています。加えて、北東アジア、特に中国や日本との経済活動の相互関係が深く、地域全体のエネルギー政策の転換が韓国の排出量にも大きく波及する可能性があります。特に東アジアの石炭消費の減少やグリーンエネルギー投資が、地域全体での温暖化対策にどう貢献するかが注目点となるでしょう。
今後の課題としては、CO2排出量のさらなる減少を達成するためには、技術革新と政府政策の両方が鍵となります。特に、化石燃料依存の低減を進めるための再生可能エネルギー源へのシフト、一人当たりエネルギー消費量の低減、スマート都市の構築が挙げられます。また、製造業の脱炭素化や輸出品製造工程における省エネ技術の導入といった具体的な対策も必要です。これらに加えて、新しい国際的な協定や枠組み(例:気候変動枠組条約の強化版など)への対応や地域連携の強化が解決策として考えられます。
結論として、大韓民国のCO2排出量はこれまで経済成長と密接に関連してきましたが、最近では減少傾向が見られ、これは一定の成功を示します。とはいえ、この削減傾向が持続的に維持されるかどうかは、今後の政策次第と言えるでしょう。持続可能な社会を築くために、韓国だけでなく国際社会全体が協力し、長期視点での対策を進めることが重要と考えられます。