Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が2024年11月に更新した最新データによると、クロアチアのCO2排出量は、1992年から2020年で一貫性のある変動を見せています。1992年の25,737,517トンから2007年の34,517,619トンまで増加した後、長期的には減少傾向にあります。2020年では24,821,307トンと、過去30年で最も低い値を記録しました。この間、経済成長と共に一時的な増加が見られたものの、近年は省エネ政策や化石燃料削減などが影響して排出量は安定して減少しています。
「クロアチア」のCO2排出量推移
年度 | CO2排出量 |
---|---|
2020年 | 24,821,307トン |
2019年 | 26,179,377トン |
2018年 | 26,003,787トン |
2017年 | 27,070,762トン |
2016年 | 26,291,554トン |
2015年 | 26,327,672トン |
2014年 | 25,644,340トン |
2013年 | 26,208,285トン |
2012年 | 26,807,832トン |
2011年 | 29,205,258トン |
2010年 | 29,636,148トン |
2009年 | 30,230,842トン |
2008年 | 33,335,559トン |
2007年 | 34,517,619トン |
2006年 | 32,725,250トン |
2005年 | 31,779,699トン |
2004年 | 31,669,691トン |
2003年 | 31,075,936トン |
2002年 | 29,468,585トン |
2001年 | 28,234,361トン |
2000年 | 27,201,206トン |
1999年 | 27,755,427トン |
1998年 | 27,527,624トン |
1997年 | 27,385,576トン |
1996年 | 25,337,370トン |
1995年 | 25,449,652トン |
1994年 | 25,094,101トン |
1993年 | 25,580,489トン |
1992年 | 25,737,517トン |
クロアチアのCO2排出量データは、1992年から2020年までに経済や政策、そして社会的状況に大きく関連して変動してきました。1992年の25,737,517トンは、冷戦後の市場再編期と社会的移行期における記録で、この時期には工業の再構築とエネルギー政策の見直しが進行していました。その後、1997年から2007年にかけては一貫して増加傾向が見られ、特に2007年には過去最多となる34,517,619トンを記録しました。この増加は経済の回復、インフラ投資の活性化、およびエネルギー需要の増大によるものと考えられます。
しかし、2008年以降は大きな変化が見られます。この時期、2008年のリーマンショックを引き金に世界的な経済危機が発生し、工業活動やエネルギー使用の縮小が各国で進みました。それに続くクロアチアの排出量減少は、経済活動の縮小だけではなく、その後実施された環境政策や再生可能エネルギーの利用増加とも関係しています。特に2012年以降、年間排出量はおおむね26,000,000トン前後で安定しつつあります。
2020年には新型コロナウイルス感染症の流行が影響し、産業の収縮や交通の減少などが広がり、24,821,307トンという過去最低の水準に達しました。他国でも同様の現象が見られ、中国やアメリカなど主要排出国も一時的にCO2排出量を削減しました。これらのデータは、産業やエネルギーの需要が大きく社会の状況によって左右されることを示しています。
一方、クロアチアの排出量減少傾向の背景には、欧州連合加盟後の環境政策の強化や、再生可能エネルギーの利用推進があることも重要です。ヨーロッパ全体で進められている、温室効果ガスを削減する取り組みと進展に伴い、クロアチアも化石燃料から太陽光発電や風力発電へのシフトを進めています。このように環境に配慮した政策が奏功してきたと言えるでしょう。
一方で、クロアチアの排出量減少は十分ではないとの課題もあります。他の欧州諸国と比較すると、例えばフランスやドイツが技術革新やグリーンエネルギー推進において著しい成果を挙げているのに対し、クロアチアはまだ再生可能エネルギーへの依存度を大幅に高める必要があります。また、地政学的にはバルカン半島特有のエネルギー供給問題や周辺国との協力不足が懸念点として挙げられます。
将来的には、政策のさらなる強化が求められます。例えば、再生可能エネルギーへの投資拡大や省エネ技術の普及、一般市民へのエネルギー効率化啓発活動が効果的でしょう。また、EU全体の環境目標に合わせた長期的な戦略の策定が重要です。他にも、隣国とのエネルギー協力の強化や、国際的なグリーンエネルギー投資促進政策への参加が有望です。
結論として、クロアチアのCO2排出量は1992年以降、経済・社会情勢や政策に大きく左右されてきたものの、特に2012年以降は減少傾向に向かっています。今後も排出量削減を確実に進めるためには、再生可能エネルギーへの転換を加速し、環境目標と整合する具体的な政策を策定する必要があります。この課題に取り組むことで、クロアチアはより持続可能で環境に優しい社会へと進化できるでしょう。